進路選択物語

がんばらないけどあきらめない
  ―職種としてまだ確立されていない仕事を志望した学生のケース―


教育学部4年 藤原 絵里香
進路希望先:障がい学生支援専門の職員

筆者
▲ 本学障がい学生支援室のスタッフと打ち合わせをする筆者(左端)

 「障害のある学生の支援」を仕事にしたい。自分の望んでいる未来は見えるが、悩み続けている。

  大学入学後、手話を学び、手話を通じて多くの人と出逢い、聞こえない友人と共に過ごしてきた。彼らとの時間の中で、大学における障害のある学生への支援の必要性と大切さを知った。

  これまで学生の立場で自分にできること=ノートテイクや手話通訳をしてきたが、今後は自分が大学側の立場で、障がい学生の支援をしたいと考えるようになった。

  だが、どの大学でも障がい学生支援にしっかり腰を据えて取り組んでいるわけではない。学生も大学も手探り状態で、少しずつ支援体制を作っていくのが現状だ。早稲田でも、今年3月に「障がい学生支援室」が設置されたばかりだ。だから、私のやりたい障がい学生支援専門の職員という職種自体がほとんどない。どうしたらその仕事に就けるのか、そのために必要な専門知識や力をどう身に付けていけばいいのか。そんなことさえもつかめない。そうして立ち止まり考えている間にずいぶんと時間が過ぎてしまったように思う。 とはいえ、障がい学生支援は、今後確実に広まっていく兆しはある。長いスパンで考えればその仕事に就ける可能性はあるが、私の卒業は1年後。

  まだ結論は出ていない。けれど、これだけは自信を持って言えるということがある。私の譲れないもの、一番心に強く思うことは、「これから先もずっと障害のある人と共にありたい」ということだ。それをはっきりと自分の中で認識することができると、もう少し仕事に対して融通の利く考え方ができるようになった。それは、友人や先輩、社会人などのいろいろな人と「働くこと」について話したおかげでもある。自分の望む仕事を志望し続けるのも一つの在り方だけれど、「障害のある人と共にあること」が最も大事であるなら、別の形でそれを実現するというのも、れっきとした一つの在り方だ。そうしながら、新たなチャンスをうかがうのも悪くない。

  仕事はめぐりあわせ、やってみないと分からない。そう思うようになってから、「希望は持ち続けよう。まわり道をしたって構わない。今がむしゃらに頑張らなくとも、あきらめることだけはしない」とひそかに決意した。

(2006年6月15日掲載)

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First drafted 2006 June 15.