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東京国際アニメフェア2006 公募部門グランプリ受賞!  海老澤 和夫さん



えびさわ・かずお
1980年茨城県生まれ。茨城県立茨城東高校卒業。文星芸術大学を経て、川口芸術学校を今春卒業。2005年に第6回ユーリ・ノルシュテイン大賞ファイナリストとして同ワークショップ参加。東京国際アニメフェア2006公募部門グランプリ受賞。趣味は車、バイク。

 「受賞は特に意識していませんでした。尊敬するロシアのアニメーション作家、ユーリ・ノルシュテイン氏が来日すると聞いて、それに間に合うことだけを考えて制作に打ち込んだんです」。そう語る姿は、「真摯」という言葉がよく似合う。穏やかで大人びているが、言葉の端々に力強い想いと情熱を感じた。

  元は油絵専攻。大学時代に初めてアニメーションを手がけた。「絵は『怒り』なら『怒り』だけ、ひとつの描写を作りこんでいく。でもアニメーションは、『怒り』が始まってから終わるまでの流れを描かなければなりません」。そんな中で海老澤さんはキャラクターの設定、心理描写を最も重視するとか。受賞作『ふくをきたカラス』を制作した時は、毎日カラスを観察する日が続いた。カラスの友人となる幼い少女は4歳になる姪の花音ちゃんをモデルにしたという。「モデルだということを話したら、照れて『よく分からない』って言っていましたけれど(笑)」

  自然豊かな北関東で生まれ育ったため、田舎が大好き。山のない都会に出てきたとき、それまでの「当たり前」とのズレに驚いた。「『ふくをきたカラス』は東京に来たおかげでできた作品です。カラスを嫌いながら、結局ゴミを出してカラスを呼び寄せている矛盾を描こうと」。色のない作品が多いのは東京のイメージがモノトーンだからだ。しかし、いつかはカラーの作品にも挑戦してみたいという。「大学時代に訪れた日光で紅葉の美しさに圧倒されたんです。実物にはとても及びませんが、アニメにしてそれを多くの人に伝えられたらと…」。未来への展望は広がるばかり。それでも、謙虚な姿勢は崩さない。「受賞しても、作品を作らなければすぐに忘れられてしまいます。今後はプロの現場でアニメーション制作を学びながら、自主的にも活動を続けていきたい」

  こちらが恐縮してしまうほど丁寧で礼儀正しい海老澤さん。「姪に作品を見せたら、『もう一度見たい!』と言ってくれて、それが嬉しかったですね」と語った時の表情は、この日一番の笑顔。彼の描く世界同様、優しくあたたかかった。


受賞作「ふくをきたカラス」より
受賞作「ふくをきたカラス」より

(2006年4月27日掲載)

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First drafted 2006 April 27.