わせだかいわい

留学生と共に歩んで
 早稲田大学留学生寮管理人 (株)コスモスライフ 中村 順子さん


中村 順子さん
ひな祭りパーティーでは得意の「ちらし寿司」が並ぶ。ベジタリアンの留学生がいるため、エビはトッピングできるようにしてある
▲ ひな祭りパーティーでは得意の「ちらし寿司」が並ぶ。ベジタリアンの留学生がいるため、エビはトッピングできるようにしてある
食堂の片隅には中村さんが飾りつけた「ひな人形」もちゃんとある。寮生にとって、日本文化を知る良い機会だ
▲ 食堂の片隅には中村さんが飾りつけた「ひな人形」もちゃんとある。寮生にとって、日本文化を知る良い機会だ
留学生寮RA(Resident Assistant)の大久保さんと
▲ 留学生寮RA(Resident Assistant)の大久保さんと

 早稲田大学留学生寮は1997年、昔の野球部の宿舎「安部寮」の跡地に建てられた交換留学生のための寮だ。その寮の管理人を1998年からずっと務めているのが中村さん。

  留学生は宗教や文化などによって食べるものが非常に異なるため、留学生寮はすべて自炊。しかし調理師免許を持つ中村さんには、日本の季節のお祝いに得意の料理を寮生にふるまったり、風邪をひいた留学生にはおかゆを差し入れたりする細かい心遣いがある。寮の管理人に着任して間もないころ、寮生をお花見に誘って、手作りのおにぎりをふるまい、10日も経たないのにすぐに皆と仲良くなれた。ここで自信がついたという。「私はね、昔から食べることは、人間関係を円滑にする潤滑油だと思っています。誰だってそうでしょう?」と笑う。

  留学生の中には、メイドさんがいつも部屋を掃除してくれるような豊かな暮らしをしてきた学生もいる。そのため、悪気なく中村さんにお掃除の依頼をしてくるなんていう笑い話もある。そうした時、中村さんは頭ごなしに叱ることなく、その子の部屋に出向き一緒に掃除をする。「こうやって掃除するのよ。これからは自分でやらなくてはね、とお母さんのように教えるんですよ。初めはびっくりしている子も、ちゃんと教えてあげれば大丈夫ですよ」。何事も、共に歩むということが国際理解の一歩になることを教えてくれる。

  この仕事をしていて一番うれしかったのは、自分という人間が尊敬されていると感じたことだという。「誰かが心から尊敬してくれること、こんなにうれしいことはないですね。今まで、そんな経験をしたことがなかったんです。好かれたり、愛されたりすることはあっても、せいぜい人のいいおばちゃん、という程度の扱いで、本当に尊敬してもらうってことがなかったんです」。相手としっかり向き合い内面を見ようとする留学生の姿が、そこにはあるのかもしれない。

  中村さんは音楽も映画も大好きだ。サザンオールスターズが好きでコンサートにも足を運ぶ。最近はコブクロにはまっているとか。「日曜日は大抵映画に行きます。60歳過ぎたら、うれしいことに1,000円で観られるんですよ!」と年齢を感じさせないバイタリティーだ。どの国の学生と話をしても、話題に事欠かないのもうなずける。「でも私の一番の幸せは、サザンを聞きながらキッチンで料理をして、美味しいって言ってくれる留学生がいるってことですね」と満面の笑みを浮かべた。

  昔の留学生が、中村さんを訪れることもしばしば。「うれしいですよね。訪ねてくる子がいる限り、この仕事は辞められないなぁって思います」。寮生を愛してやまない中村さん、これからもずっと彼らに惜しみない愛情を注いでほしい。

(2006年4月20日掲載)

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First drafted 2006 April 20.