こんな授業! どんなゼミ?

2005年度後期分 目次






テーマカレッジ「華人と異文化交流」
 〜現場にぶつかって何かを発見しよう!〜


教育学部1年 福元 彩子

  華人社会や文化への理解を深め、複眼的に中国を見る目を養うこと、自分自身の文化を見つめなおすことを狙いとしているのがこの授業である。

  担当の国際教養学術院楊立明教授は、目ヂカラが強い。あまりにもじっと見つめてくださるので、最初は近眼なのかと心配したが、そうではなく探りを入れられているのだと気付く。目が合ったら最後、質問攻めにあってしまう。気さくで親しみやすいが、同時にほど良い緊張感を与えてくれる不思議な先生だ。学問自体も「華人」の定義、「老・新」の問題、「アイデンティティーの在り方」など未だ出口の見えない大変興味深い問いである。

  もともとはフィールドワークという響きにひかれて入ったこの授業。今年度も横浜、池袋、川口、神戸、大阪、(2月は中国を予定)と本当に多くの地を訪れた。団体で行動する割には、このゼミは事前準備というものをあまりしない。

  先生いわく、「準備しないで行ったほうが、わくわくするじゃないですか」なのだ。この「いきあたりばったり」が、成功につながるのが(失敗もあったが…)華人ゼミらしいところだと思う。先生はもちろん、長年このゼミを、逆に単位を犠牲にしつつ支えてくれている先輩方や、個性的な学生たちの生み出すパワーはものすごい。個々人の意識がとても高いのだ。実地調査のために池袋に引っ越そうとまでしている先輩や、先日行われた学会で発表できなかった1年生が、「マイクを握りたかった…」と悔しそうに呟いていた姿は忘れられない。

  団体での準備は皆無であっても、個々人では知識の蓄積を怠っていない。そこから現場にぶつかって何かを発見していこうとする―そんなスタンスで、素敵な楊先生と仲間と共に学べるこの授業は、興味がある方にはたまらないと思う。


横浜中華街の保育園小紅にて
▲ 横浜中華街の保育園小紅にて。後列右から3番目が楊先生、その左隣が筆者。

(2006年1月19日掲載)

Copyright (C) 2006 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2006 January 19.



小沼純一文学学術院助教授の「音楽2」
 〜学問としての《音楽》の 楽しみ方を学ぶ〜


その日聴かせた音楽について解説をする小沼先生
▲ その日聴かせた音楽について解説をする小沼先生
超満員の大教室。最前列で熱心に講義を受ける筆者(中央)
▲ 超満員の大教室。最前列で熱心に講義を受ける筆者(中央)

第二文学部4年 河村 壽仁

 二文の表現・芸術系専修機関誌『GRAMINEES/グラミネ』のWebサイトに、小沼先生が音楽の授業についてのインタビューで次のように答えた言葉がある。(要約転載) 「大学には物理学や経済学、文学が当たり前にあるが、音楽の講義となると異質な感じがしないだろうか? 小学校から音楽の授業はあるが実技的なものであるし、音楽にかかわるとしても個人的な『趣味』にとどまってしまう。珍しく大学にあったとしても非常につまらないことが多い(笑)」

  先生の講義は面白い。音楽、美術、文学、音響工学、楽器法などに非常に造詣が深く、常に一般的通俗的な音楽の話にとどまらず、知的好奇心を刺激してやまない話題に満ちている。授業の始め、先生は「今日は、まずこれを聴いてください」と音楽をかける。音楽が一通り終わると、「今の音楽は?」と語り始める。それはその日の講義の端緒の話で、例えば楽器の話であったり、音楽技法の話であったり、作曲当時の社会文化の話であったりする。

  前期「音楽1」のテーマは、坂本龍一氏の仕事から見えてくるもの。後期「音楽2」のテーマは、武満徹氏の仕事から見えてくるもの。

  前期の授業では、例えば河出書房名編集者だった坂本氏の父親、一亀氏の話が出た。一亀氏は、三島由紀夫氏、高橋和巳氏、中上健次氏といった作家の才能を発掘し開花させたことで知られる。黒板に坂本氏と三島由紀夫氏の年表を引いて講じられた彼らの芸術の背後に見える思想の相関の話は非常に興味深く印象に残っている。

  後期は、生前熱烈な映画ファンだった武満徹氏の多彩な音楽作品を聴きながら、「音楽とは無縁な育ち方をした武満氏がなぜ音楽を志し成功したのか」、「武満氏の心を惹きつけてやまなかった音楽の本質とは何か」について講じられている。毎回出席するのが楽しみな講義だ。

(2006年1月12日掲載)

Copyright (C) 2006 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2006 January 12.



「応用物理学研究ゼミナール」
 〜とても長い金曜5限〜



▲ 研究室ごとに分かれ、学生の発表を聞く筆者(左から森谷・鑓水・山本)
田崎先生
田崎先生 ▲
田崎先生とTAが教室を歩きながら、質問のある学生に個別指導を行う演習の授業風景。
▲ 田崎先生とTAが教室を歩きながら、質問のある学生に個別指導を行う演習の授業風景。

理工学部1年
 森谷 幸弘
 鑓水 裕刀
 山本 達也

 「では、私は他の授業がありますから…」最初の講義、そう言い残して田崎秀一先生(理工学部学術院教授)は行ってしまった。

  こうして金曜の夕方、応用物理学科1年生のとても長い5限が始まる。応用物理学研究ゼミナール(必修)は、講義と研究からなる通年科目である。普段は5限に大教室で1時間半講義を受け、その後、数名のTAに助けられながら、おのおのでさらに問題演習に取り組む。よって5限の時間帯で授業が終了することはまずない。講義で分かりやすく問題の解き方を学び、演習で問題と格闘していると8時をまわり、夜の帳が下りても問題が終わらなければ(まず終わらないが)、残りはレポート課題となる。

  この講義と演習に加えて、月に一度、この大人数クラスが、研究室単位で数人のグループに分かれ、研究を行う。つまりこの授業は、講義、演習、研究の三本立てなのだ! そのため、教室も流動的だ。

  その研究成果はクリスマスイヴに発表という、素晴らしいスケジュールでもある(泣)。わたしたちの所属する田崎研究室では、学生がそれぞれの分担を、初めに皆の前で授業形式で発表し、その後、グループで研究となる形態をとっている。研究室のテーマは「カオス理論」。中でも、わたしたち3人は、「磁気振り子の実験」をしている。これは振り子の先と、下の台に磁石をつけた振り子である。お察しの通り、どのように動くか全く予想できない。そのため、成果発表までに終わるかどうか不安な気持ちで、講義の入ってない日にも研究をし、なんとかクリアできるように日々努力している。

  講義で基礎能力を蓄え、演習問題で実力をつけ、並行して、こうした研究室の雰囲気に1年次より触れられるのが、この授業の特徴だ。

  盛りだくさんゆえに、こうしてとても長い「5限」は、まだまだ続く。

(2005年12月15日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 December 15.



テーマカレッジ「身体表象について考えよう」
 〈正解〉はいらない!


ディスカッションでは笑みもこぼれる。左が筆者。
▲ ディスカッションでは笑みもこぼれる。左が筆者。
先生も発言者の一人としてディスカッションに参加。
先生も発言者の一人としてディスカッションに参加。

第一文学部1年 大川 舞子

 「ダイエットで理想の体型に!」。雑誌をめくると必ずこの手の広告にぶつかる。身体は私たちの関心の的だ。早稲田にはこの〈身体〉をテーマに扱う授業があることをご存じだろうか。「身体表象? なんかむずかしそう…」と思われがちだが、そんなことはない。身体表象はごく身近なテーマなのだ。

  前期科目の「身体のイメージは『現実』の身体を超える」では、『下妻物語』、『アイロボット』、『攻殻機動隊』などの素材から読みとった〈身体〉のイメージを学生が共同発表し、問題意識を高めた。〈ファッション〉から〈死体〉まで、挙げられているテーマはさまざまだった。

  後期の「身体表象について考えよう」では、自分でテーマを設定し発表を行う。テーマの制限は一切ないので、学生が選ぶ素材は実に多様で生き生きとしている。本当にやりたいテーマを追求できるのだ。ひとつのテーマをまとめ上げるのは大変な作業だと思うかもしれない。だが行き詰まっても大丈夫。コーディネーター(発表補佐役の学生)や神尾達之先生(教育・総合科学学術院教授)が力を貸してくださるからだ。そのため前期を受講していない者も、心配はいらない。

  神尾先生が求めるのは、どこかの本からとってきたお上品な〈正解〉ではない。学生が自身で考えたナマナマしい発想なのだ。

  発表後のディスカッションは意外な意見が飛び出すこともあり、大変スリリングだ。授業後にメーリングリストで行われる意見交換のせいか学生の仲も良く、談笑を交えながらより多角的に、深くテーマをえぐることができる。「神尾、黙れ! 発言は学生が先!」くらい言ってもいいとは先生のお言葉。まさに学生がいなければ始まらない授業なのだ。 日常にあふれるあらゆる〈身体〉について、立ち止まって考えてみる木曜6限はいかがだろうか。

(2005年12月8日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 December 8.



法学部 島田陽一ゼミ ―早慶戦より早同戦!?―

*特別編*「他流試合に挑むゼミ」特集
 最近、他大学と合同でゼミや合宿を行うケースが増えてきている。他流試合で他大生と交流することから生まれる相乗効果への期待も大きい。「大海を知らない井の中の蛙」とならないためにも、有効な手段と言えるかもしれない。


発表に聴き入る筆者
▲ 発表に聴き入る筆者

法学部4年 五藤 祐子

 同志社大との合同合宿は今年で8回目。毎年東京と京都で交互に行われており、今年は東京に同大生を迎えるという形で10月29日に開催された。同志社大からは2つの労働法ゼミが参加し、3ゼミ・総勢120人による大規模な合同合宿となった。

  西早稲田キャンパス・8号館を会場に行われた合同ゼミでは、事前に与えられた2つの事例問題に対し3つのゼミが意見を戦わせた。内容は「勤務中の私用メールに対する懲戒処分と労働者のプライバシー」といった、非常に複雑かつデリケートなもの。島田ゼミでは夏休み中から臨時ゼミを開き、当日の意見発表者を中心に1カ月半にわたって意見を練り上げた。

  同志社大の両ゼミもこの日に向けて熱心に準備をしており、当日は3ゼミとも、両校の先生方が絶賛するほどの素晴らしいプレゼンテーションを披露。その後のディベートでは初めて顔を合わせる者同士、意思の疎通が図れず苦労する場面も見られたが、それぞれ一歩も譲らない白熱した議論を繰り広げた。同じ問題でもゼミによって視点は異なり、4時間に及んだこの合同ゼミを通じてさらに考察が深まることとなった。

  ゼミ終了後は船橋にある宿舎まで電車で大移動。全員そろっての夕食の後は懇親会が催された。島田ゼミによって企画されたゲーム大会では両校のゼミ生が入り混じって班を作り、今度は豪華商品を競っての激しいバトルが展開された。一時は討論以上にヒートアップするほどの盛り上がりを見せ、先生方を含め全員が大いに楽しみ、親交を深めることができた。

  今回の合宿の成功は、年度当初から準備にあたった幹事をはじめ、ゼミ生一同が協力し合った結果だろう。他校との交流によって新たな考え方を学び、仲間との絆は深まっていく。そんな合同合宿が島田ゼミの伝統としてこれからも続いていくことを願っている。


合宿を終えて宿舎の前で(中央が島田法学学術院教授)
▲ 合宿を終えて宿舎の前で(中央が島田法学学術院教授)

(2005年12月1日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 December 1.



法学部 勅使川原和彦ゼミ―合同ゼミの意義―

*特別編*「他流試合に挑むゼミ」特集
 最近、他大学と合同でゼミや合宿を行うケースが増えてきている。他流試合で他大生と交流することから生まれる相乗効果への期待も大きい。「大海を知らない井の中の蛙」とならないためにも、有効な手段と言えるかもしれない。


成城大の学生との討論で(中央が筆者)
▲ 成城大の学生との討論で(中央が筆者)
法廷教室で名古屋大・明治学院大の学生との討論の模様(左奥が勅使川原法学学術院教授)
▲ 法廷教室で名古屋大・明治学院大の学生との討論の模様(左奥が勅使川原法学学術院教授)

法学部4年 正木 はるな

 私たち「勅使川原民事訴訟法ゼミ」では、毎年他大学との合同ゼミを行うのが恒例となっている。今年も10月29日、成城、明治学院、筑波、名古屋と早稲田の5大学が参加し、民事手続法・国際民事手続法に関する最新の裁判所の判断に対し、他大のゼミを相手にその是非を討論した。

  討論の準備では、裁判所の判断に対する賛否の表明とその根拠の提示をすることになるのだが、最新の裁判例を取り扱うため、問題の事案に関する批評等の資料が乏しい。そのため、説得力ある理由付けを自分たちで一から考える必要がある。自ら考えず、ただ学説を援用しようという怠け心を起こそうものなら、「どうして?」「本当に?」という先生の厳しい質問が容赦なく飛んでくるのだ。

  一般に法学部の試験では、与えられた事案の法律上の論点を見いだし、それに関する法律の解釈を立論する必要があるが、実際の答案は事前に暗記した事案ごとの論点と、論点ごとの法律の解釈に関する学説を引用しているものがほとんどであると思う。そのような中で、合同ゼミに取り組むことは、実社会で現実に問題となる事案に関して自分で論点を見いだし、自分で法律の解釈を考える機会を与えてくれるという点で意義がある。

  このような事情のためか、合同ゼミで実際に他大学と討論をすると、重視する論点や立論の仕方、結論がゼミごとに全く異なるのだ。私は今回の討論を通じて、実社会で起こる問題にも、その社会の価値観の上に成り立っている法律の解釈に当たっても、絶対的な正解はないということをあらためて実感した。

  合同ゼミは、普段の勉強で行いがちな「机上の理論の無批判な引用」ではなく、「実社会の問題に対応する思考力を養う」ことのできる貴重な場であると思う。そして、ロースクールもその方向性を目指しているのだと思うが、こういった実社会に即した問題への法的な対処能力の育成こそが、現在の法学教育で必要とされるのではないだろうか。

(2005年12月1日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 December 1.



(株)日立製作所寄付講座 Corporate Case Study of Hitachi Ltd.
コーディネイター:中村清国際教養学術院教授、クリストファー・ポカリア国際教養学術院助教授
 新しい視点からビジネスを学ぶ!


Hitachi Global Storage Technologies, Inc. の Chairman and CEOである中西宏明氏
▲ Hitachi Global Storage Technologies, Inc. の Chairman and CEOである中西宏明氏
真剣に授業に聞き入る筆者(左から3番目)
▲ 真剣に授業に聞き入る筆者(左から3番目)

国際教養学部1年 青崎 みず樹

 教室の半分ほどを世界各国からの留学生が埋め尽くし、残り半分の日本人学生でさえも流暢な英語で発言をしている。そのようなインターナショナルでハイレベルな環境で行われているのが、国際教養学部で今期初めて開設された Corporate Case Study of Hitachi Ltd. の授業である。

  元来のマクロ的視点からビジネス概論等を学ぶのではなく、日立という一企業に焦点を置き、その視点からビジネスを学ぶこの授業では、毎回異なる講師の方を日立グループから招いて講義が行われている。しかし、私たちが学んでいるのは単に一企業に関することだけではない。グローバル化、IT革命など、社会が大きく変動していく中で、日立を含めた企業はどのような企業戦略を取っているのか。広義にビジネスといえども、実社会の中で何が行われているのか。第一線で活躍なさっている講師の方々から、毎回生きた情報を得ることで、もっと具体的で実生活に深く関係するビジネスを学んでいるのである。

  また、この授業は一方的に講義を受けるだけの授業ではない。学生が実際にグローバル企業を取り上げ、それについてプレゼンをする機会もある。留学生を含め、皆それぞれ母国の企業について発表し、それに対し講師の方が批評、他の学生たちも意見を述べる。欧米の大学院などではよく見かける授業形態だが、学部生の段階でこれほどインタラクティブな授業を受けられるのは、珍しいだろう。

  講師の方のジョークで笑う和やかな雰囲気とともに、授業中ひっきりなしに鋭い質問が飛び交うほど、学生も先生もとても熱意を持って真剣に取り組んでいる。この斬新で刺激的な授業は、ビジネスに興味のある人なら誰でも満足できる、最高に充実した授業だ。

(2005年11月24日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 November 24.



「自治体経営と地域自立」 in広島県三次市
 石田光義政治経済学術院教授・北川正恭公共経営研究科教授・藤井浩司政治経済学術院教授


市内視察前に市職員と入念に打ち合わせをしている様子
▲ 市内視察前に市職員と入念に打ち合わせをしている様子
吉岡市長にプレゼントした寄せ書き
▲ 吉岡市長にプレゼントした寄せ書き。三次市と早稲田との絆の証しだ。

公共経営研究科1年 村上 敬太

 「三次市長公約点検 早大院生厳しい評価次々」。9月20日付朝日新聞地方版に掲載された記事は、今年度のわが研究科の目玉講義「自治体経営と地域自立」の様子を伝えたものだ。

  三次市は昨年4月、8市町村が合併して誕生した人口6万1千人の緑豊かなまち。改革派青年市長として名を馳せる吉岡広小路市長が本学出身という縁もあり、三次市では研究科創設以来、毎年、市職員を研究科に派遣している。

  今回の講座は人材育成に力を入れる市長と、実務家養成を目指す研究科との思いが重なり、職員(自治体)と学生(大学)がコラボレートし、市長マニフェストを検証する内容で4泊5日の合宿形式で行われた。

  参加した19人の学生にとっては、初めて訪れる場所で土地勘もなく、行き方すら分からないまま、現地集合で講義開始。

  一方、市側は三次のすべてを学生に見てもらう思いで、全面バックアップ体制により受け入れを行なった。そうは言っても、学生にとっては見知らぬ土地、データ不足。予想と反する地域実態の厳しさ。それに加え、自然いっぱいの宿泊先・とみしの里では携帯電話やネットが通じない生活。まさに中山間地域の暮らしを体感しながらの分析作業であった。

  最終日には、市民講座と題し、市と大学で分析報告会を開催。多くの市民や職員にお越しいただいた。マニフェスト実施途中の市側から言えば「想定内」のものであったが、学生らしい斬新な提案もあり、双方にとって刺激のある5日間になった。

  「また三次に行きたい!」この築いてしまった関係を、もう誰も止められない。

【URL】http://www.city.miyoshi.hiroshima.jp/index2.html
 三次市のWebサイトで、当日の発表内容が参照可能。


吉岡市長(前列右から4人目)、藤井先生(市長左隣)とともに。後列左端が筆者。
吉岡市長(前列右から4人目)、藤井先生(市長左隣)とともに。後列左端が筆者。

(2005年11月17日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 November 17.



小野ゼミ「緩和医療学」
 〜真のホスピタリティとは〜


人間科学部3年 小谷 美帆

 「タフ・ホスピタリティ」これが私たちのゼミのテーマである。タフさとナイーブさを兼ね備えた「人と向き合う姿勢」を大切にし、育てていこうという意味である。

  このゼミでは、がんの緩和医療だけでなく、新生児・未熟児医療、生殖医療、障がい者や老人医療まで幅広く取り扱う。私たちは医療の現場に医師や看護師として参加するわけではないが、死ぬことや生きること、それを支えることの意義や方法を学んで、各々の進路や生き方に反映させることを希望してゼミに入り、さまざまな経験や体験をしている。

  8月には、小野充一人間科学学術院教授とゼミの希望者とで、最新の設備や施設を持つ静岡がんセンター、静岡こども病院、地域の一般病院の3カ所を見学した。私たちはここで、がんの緩和ケア病棟、小児がん、未熟児医療、地域医療といったさまざまな医療現場を見せていただいた。 そこで目にしたのは、医療事務、心理療法士、社会福祉士、保育士、チャイルドライフスペシャリストといった多くの職種の方々が、各々の立場から情熱を持って、医師や看護師とともに働いている姿であった。そこでは、患者さんの言葉にならないような、か細い声にも真剣に耳を傾け、患者さんは何を望んでいるのかを分かろうと必死に努力していた。多方面から支えていくさまざまなチームがあり、真剣な話し合いや共同作業が行われていた。

  私たちはこの見学実習体験を通して、今、目の前にいる「つらい思いをしている人」を支えるのには、仕事の種類や資格といった表面的なことだけでなく、真のホスピタリティが必要なのだと気付かされた。

  こうした重いテーマについての勉強は大変な面もあるが、無理せず個々のペースを尊重しながら、第1期11人のゼミ生は和気あいあいと、ゼミ共同作業(「白い巨塔」の分析)に取り組んでいる。

  「このゼミに入って本当によかった」。そう感じている。


ゼミ合宿の行われた函館にて
ゼミ合宿の行われた函館にて。後列右から2番目が小野先生。前列左が筆者。

(2005年11月10日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 November 10.



学び続ける先に…
 商学研究科プロフェショナル(MBA)コース
 「国際ビジネス演習」(川辺信雄商学学術院教授・谷口真美商学学術院助教授)


ベトナム旧大統領官邸屋上にて。左から4番目が谷口先生。
ベトナム旧大統領官邸屋上にて。左から4番目が谷口先生。

商学研究科修士課程1年 栗山 雅行

 「土曜日午前の過ごし方」。1週間のうちでも意味ありげなこの時間帯の活用の仕方は人生のクオリティーにどのように作用するのか。そこに潜むであろう相関関係について考察を加えてみたいところだが、われらが川辺・谷口ゼミの「国際ビジネス演習」はまさにその土曜日の午前に開講されている。

  「グローバルなものの見方、考え方に立脚した意思決定力を持つグローバル・リーダーの育成」を目指す当プログラムにおいて、アカデミックな面としてさまざまなジャーナル、学術論文にて最新の理論やフレームワークを学ぶ一方、海外ビジネススクールの最先端のメソッドを用いて実務に直結した深みのある議論を展開している。ベストプラクティスを学び、取り込んでいく。プロの実務家として社会で蓄積した経験を整理し、理論的に集約していく作業は非常に心地良く、それは新たな興味を喚起し、土曜の朝がさらに有意義なものとなる。

  またわれわれは時間と場所の枠を超え、フィールドワークも行う。今年9月には研修旅行としてベトナムを訪問し、企業視察を行った。現場を踏み、それぞれに現地で感じた問題意識を新鮮なまま持ち帰ってくることができた。

  学ぶ目的は決して一様ではないが、内に秘めた志ともいえるものになぜか共通の意識を感じる。

  「人間は一生、学び続けるべきです。(中略)では、なぜ学び続けるのでしょう?――それが人間の使命だからです。」

   漫画『マスターキートン』の第3巻(屋根の下の巴里)にて、パリのシモンズ社会人学校で教鞭を執るキートンが最終講義で語った言葉である。

  川辺・谷口ゼミに集う8人は今、MBA国際ビジネスモジュールの1期生として学びの時間を共有している。そしてこれからも共に学び続けていく。社会で果たしていく役割は違えど、同志というべき仲間なのである。


ベトナム研修旅行にて。右から5番目が川辺先生。先生の右隣が筆者。
ベトナム研修旅行にて。右から5番目が川辺先生。先生の右隣が筆者。

(2005年10月27日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 October 27.



テーマカレッジ「国際協力の実践と理論」
(奥・井ノ上イラク子ども基金連携講座)
〜より実践的な国際協力を学ぶ〜


中村英俊政治経済学術院助教授
▲ コーディネーターを務める中村英俊政治経済学術院助教授
山田彰氏
▲ 10月3日の授業を担当された山田彰氏(在イラク日本大使館公使)
真剣に授業を受ける筆者
真剣に授業を受ける筆者

政治経済学部1年 塩谷 雅子

 2003年11月29日、奥大使、井ノ上書記官は何者かによって銃殺された。この講義は、大きなテーマとして、「奥・井ノ上両氏は、なぜあの時死ななければならなかったのか」ということを掲げている。毎回、外務省やNGOなど、各界で国際協力に携わっている方々にお越しいただき、お話いただいている講義だ。

  イラク戦争後の復興のための国際協力事業はもちろんだが、他地域における国際協力活動の実態を聞くこともでき、一つの地域に偏ることなく、さまざまな国際協力の形を知ることができる。世界各地において、現役で活躍されている方々のお話からは、現地の緊迫した雰囲気を感じられたり、協力を必要としている人々の生の声が伝わってくるため、自分に何かできることはないかと焦燥感にかられることがしばしばある。

  この講義が、あらためて国際協力の意義を自分に問いただすきっかけを与えてくれた。私はここで初めて、国際協力を行うことが、戦争を行う際の保険として見なされてしまうという考えを知り、国際協力の必要性さえも疑い、最終的には自分の中でそのリスクを吹き飛ばすための国際協力の形を考え、実践していけば良いのだという結論に達した。このように、何度も何度も講義を聴くうちに、自分の目指す国際協力のウィークポイントに気付かされ、そこが少しずつ改善され、より良い国際協力を行うためにはどうすればいいのかということを考え始めるようになったのだ。こうして身に付けた複眼的なもののとらえ方は将来国際協力を実践する上で、きっと役立つに違いない。

  故奥大使は混沌とするイラク情勢の中、日本人の代表として、現地でその土地の人たちのために献身的な協力を行った。この授業は、そうした故奥大使の気持ちに通じるような、純粋に「人を助けたい」という気持ちを持つ多くの人々が集い、国際協力のより実践的な方法を学ぶことのできる貴重な講義である。

(2005年10月20日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 October 20.



「赤尾ゼミ(環境及び資源経済学研究)」
 少人数で自由に学ぶ!


中央が赤尾先生。向かって左前から2番目が筆者。
中央が赤尾先生。向かって左前から2番目が筆者。
森林教室に参加し、除伐作業をしている様子。
森林教室に参加し、除伐作業をしている様子。

社会科学部4年 猿渡 尚久

 赤尾健一先生(社会科学総合学術院教授)のゼミは7人の少人数ゼミだ。この状況、実はかなりおいしいのである。少人数ゆえ、必然的に先生との距離はかなり近く、時にはマンツーマンで先生を独り占めして、疑問に思ったことを何でも質問することができるのだ。先生も親身に相談にのってくださり、授業時間外で特別授業をやってくださることも多々ある。真剣に勉強したい人には、この上ない環境だ。ここまで読んで、「厳しそうだなあ」と思っている人も多いかもしれないが、赤尾先生の、どんな人にも寛大でユーモアあふれる人柄のお陰で、ゼミは決して堅苦しいことはない。

  11月下旬には慶応大、上智大、東京外大、東工大と合同ゼミが行われる。この行事がゼミの核となり、後期の授業ではこれに向けてのグループ研究が進められる。テーマ設定は原則「環境」をキーワードとしているものであれば、大抵認められる。例えば私の場合は、経済的観点から「携帯電話に含まれる希少金属のリサイクル」をテーマに、学生5百人に向けてのアンケート、携帯電話ショップへの訪問や企業への聞き取り調査を実施し、研究を行った。こうしてそれぞれが進めた研究成果を精査し、合同ゼミで各大学がお互いに披露し合うのである。百人近い大勢の人の前で自分の研究を発表するというのは非常に緊張を伴うが、同時にとても良い経験だ。

  終了後、各大学の学生合同の打ち上げでは、同じ苦労を乗り越えた者同士、互いに共感し、研究成果の意見交換ができる貴重な場となる。そこで得た意見交換が、今後の研究課題や刺激となる。

  赤尾ゼミは環境問題に関心がある人のみならず、真剣かつ自由に学びたい人なら、きっと満足できる貴重なゼミだ。

(2005年10月13日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 October 13.



テーマカレッジ「ロボットと動物の心理的なインタラクションII」
 〜120号館でロボットを生む!?〜


アドバイスをする木村先生
アドバイスをする木村先生
PCからロボットにデータ送信中
PCからロボットにデータ送信中
ロボット作りに真剣な表情の筆者
ロボット作りに真剣な表情の筆者

第一文学部2年 田村 佳奈子

 「ロボットと動物による心理的なインタラクション」と聞いて、皆さんはどのような授業を想像するだろうか。この講義は、ロボットとラットの共同作業に関する実験データを参考にしながら、行動の原理原則を確認し、より具体的なインタラクション実現の場面を考察するというものだ。そして、なんと言っても授業の最大の魅力は、インタラクションの検討と並行して行うロボット作りにある。

  講義履修者は、2つのチームに分かれ、チームごとにロボットを作成・プログラミングし、サッカーロボットなるものを作る。前期での目標は「ロボットがボールを見つけ出し、そのボールに働きかける」というプログラミングまでを成功させることだった。文系の履修者も多々いる中、木村裕先生(文学学術院教授)やTAの方々の助けがあり、なんとか目標は達成。後期には、実際に前期に作成したサッカーロボットで試合を敢行する。

  鉄腕アトムやガンダムの世界は遥か未来であるとしても、われわれの生活は既に、人間とロボットの共存によって成り立っている。しかしながら、ロボットの機能や性能など技術開発に関する研究は盛んであるのに対し、ロボットと動物や人間との心理的関連についてはあまり研究されていないのが現状だ。現代社会では、技術の高度化や社会資本の整備には際限がない。しかし、発展する技術が先行しすぎて、人間との間に隔絶が生じては問題なのだ。木村先生はそうした現状を踏まえて、これからは、ロボット技術と心理学をあわせ持ったような研究が必要だと指摘する。

  ロボット技術と心理学―ヒューマノイドロボットの真髄はここにある。ロボットを知るということは、人間や動物を知ることを意味するのだ。この新しい研究に興味を持たれた方はぜひロボットと触れ合うことのできる、この希有な授業にチャレンジしてみることをお勧めする。

(2005年10月6日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 October 6.



オープン科目テーマカレッジ
「Back to the Nature」演習I&II


ロープ実習の様子。
ロープ実習の様子。
後列右が円城寺先生で、前列左から3番目が筆者。
後列右が円城寺先生で、前列左から3番目が筆者。

政治経済学部3年 西原 是良

 野営活動の訓練と、自然科学に必要な野外調査法の取得を目的とした「Back to the Nature」。今年度は伊豆の式根島で夏休みを利用して4泊5日の実習が行われた。

  早朝、船の上で実習は突然始まる。「大島の山を見ろ。岩石が黒いだろう。ここのマグマは玄武岩質だ。式根島に行ったら砂浜を見ろ。白い石英の粒がある。マグマの質が違うのだ。あちらは流紋岩質で…」隣で何気なく放つ円城寺守先生(教育・総合科学学術院教授)の一言が、自分にない知識と見方を与えてくれる。

  到着した島はテントを張るに充分な広さがないほど狭く、うだるような暑さと、せまり来る日没との闘いだった。団長・各班長で話し合い、効率を上げるべく班別行動をとり、分担と協力を進めた。甲斐あって、参加学生全員が、各自準備したレクチャーを無事に行うことができた。海水の炎色反応や昆虫採取、地質調査、廃油でキャンドル作り、筆を使ってみんなで布に書いた「寄せ書き道」、色を組み合わせての「式根色」作り…よく準備されたレクチャーは個性的で、どれも有意義だった。そうして迎えた1日の終わりに、星を見ながら飲む酒は格別だ。

  「強い感嘆と崇敬の念とをもって心を満たすものが2つ。我が上なる星またたく大空と、我が内なる道徳律」

  18世紀の哲人I. Kantの墓碑の詞だ。2005年8月1日、式根島に向かう「さるびあ丸」の上に、星瞬く大空はあった。一方、寝袋を敷く場所を求めて必死で船内をうろついていた私たちの心の中に、道徳律があったかは疑わしい。しかし、帰りの船に乗った私たちの心には確かに、崇高な道徳律に従えるほどの満足感があった。

  人はやがて内なる宇宙から自然の一部へと還る。そして、宇宙からは百万光年の時を経て、すでに亡いかも知れぬ星の光が届く。Kantの圧倒的な思想も、自然科学の精緻な法則も、式根島の星空の下に立つと、一枚の絵の背景のようなものだ。

  世界を、宇宙を理解し体感する。そんな授業が、実は早稲田にあるんである。

(2005年9月29日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 September 29.