進路選択物語

レスリング抜きで語ろうとしたけれど、無理だった


政治経済学部4年 伊藤 大樹
進路先:就職

 大学3年の冬、働きたい会社もなければ、働きたい職種すらもなかった。心の中では、就職するより勉強したいという思いや、まだ社会に出たくないという甘えの気持ちの方が強かったのだが、口に出すこともできなかった。結局、就職・進学を決めかねた中途半端なまま就職活動を始めた。それなりに職種や企業を選んで受験し、幸い内定がいただけたので、結局就職を決めて現在に至っている。

  しかし、これが自分の本当に進みたかった道だとは今でも自信を持って言うことはできない。僕の場合、いつもそうなのだが、迷ったときはその場の成り行きに任せてしまうことが多い。それは大学生活についても言える。

  大学1年の5月、僕はレスリング部に入部した。ほんの軽い気持ちで決めたことだった。部はそんな僕には厳しすぎる世界だった。練習がとにかくつらくて、何度もやめたいと思った。しかし、それでも続けてこられたのは、つらさを上回る充実感を感じていたからだ。部でのさまざまな経験は、どれも刺激的で自分を大きく変えてくれたと思う。確かな実感がある。

  そしてまた何よりも、レスリングを通して出会った仲間に恵まれたことが大きかった。勉強や就職活動も頑張ることができたのは、部ではたった一人の同級生をはじめ、監督、コーチ、先輩、後輩の協力と応援があったからこそだ。本当に感謝している。大学でレスリングをやって良かったし、僕の選択に間違いはなかったと思う。

  一本筋が通っているわけではない。目の前の選択肢にも、選んだ道にも悩んでいる。傍から見れば優柔不断で格好悪いかもしれないが、僕にはこのやり方がやっぱりあっている。僕にとって大事なのはどの方向に進むかではなく、どのようにその道を歩むかだから。 それに、こんな僕の生き方にも一つだけ指針がある。それは、“立派な人に”ということ。祖父が遺してくれた目標はとても曖昧だけれど、その分だけ幅の広い矢印の上だったら、足取りが多少ふらつこうとも大して問題ないのだ。それに、もし転んだとしても今ならたぶん受け身がとれる。


大会後にレスリング部の仲間たちと
▲ 大会後にレスリング部の仲間たちと(手前右から2番目が筆者)

(2005年12月8日掲載)

Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2005 December 8.