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2005年度前期分 目次





被抑圧者の視点にたつ


 アメリカ留学最後の学期、アメリカ先住民の小さな村でフィールドワークを行った。訪れたのは、サウスダコタ州にあるスタンディングロック先住民保留区。ラコタ族におけるスピーチコミュニケーションの分析が主な目的だった。村の人々の協力のもと、ラコタ族の伝統的な儀式に参加したり、多くのインタビューを重ねたりと、またとない貴重な経験に恵まれた。

  お礼に村の小学校でボランティアをすることになったのだが、そこで先住民社会の悲しい現実を目の当たりにした。小学校には、身内の自殺や家庭内暴力によって心に深い傷を負った子どもや、親がアルコール依存症のために脳や身体に障がいを持って生まれた子どもが数多くいたのだ。アルコールやドラッグ、自殺といったアメリカ先住民の抱える社会問題が子どもたちにまで影響を及ぼしていたことにショックを受けた。

  学校の先生や村の指導者と話をするうちに、過去の白人による迫害が、今に至るまで先住民社会に暗い影を落としていることを知った。70年代の公民権運動の結果、アメリカにおける先住民の自治権は広範囲にわたって認められるようになったものの、産業の育たない土地に追いやられたままの状態に変わりはなく、かれらの多くは慢性的な貧困から抜け出せないでいた。

  出口の見えない状況に苦しむ人々を前に、無力な自分がとても情けなく思えた。同時に、強者に抑圧された社会的弱者を救いたいという思いを強くした。ここでの経験を基に、被抑圧者の視点から社会正義の実現を目指したいと思っている。

(法学部4年 大平 匡徹)

(2005年7月21日掲載)

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First drafted 2005 July 21.



受験英語でカツカツ英文翻訳


 「ぐへえ、昨日のうちにやっとけば良かった」

  金曜日のお昼過ぎ、必死で辞書と向かい合うこと、頭を掻き、貧乏揺すりの虜になること、これまで3度。追いかけてくるのは、早稲田ウイークリー英語版の翻訳締め切りだ。 英訳ボランティアをされている方の多くはかなり英語が達者なようだが、私は残念ながら例外である。海外経験もなく、流行のTOEICもTOEFLも受けたことがない。英検4級は持っているが、4級では既にギャグの領域だ。

  そんな拙い英語力にも関わらず、英訳作業の一端を担わせていただいている。これがなかなか勉強になる。つまり、骨が折れる。苦労することは沢山あるが、訳した先の言葉のニュアンスが掴めないというのが一番大きいように感じる。作った文章がどんな雰囲気を持っているのか、ネイティブの感覚を全く持たない私にはさっぱり掴めないのだ。大変に滑稽な文章を作っていることはおそらく間違いないのだが、それで大笑いできないのがとても残念である。

  ともあれ、難産の末生み出した訳文が採用されていると、やっぱり嬉しいもので、思わずニヤッとしてしまう。もちろん、記事の中に自分の訳した文章がほとんど見当たらないことだってある。1つの記事に2人のボランティアがつくのだが、おそらく相方が優秀なのだろう。自分のとは似ても似つかぬスマートな英文に感嘆する。これもいい刺激である。 ありがたいことに、今のところ校閲されている先生方から苦情はきていない。ちょっと興味がある、くらいのノリではじめたことだが、割といい経験をさせてもらっている。

(第一文学部2年 木原 将太)

〜校閲者より〜
 上記で謙遜されている筆者は、実は英語ゴシップコラムの訳をWebに公開していた経験もあり、なかなかの英訳の腕前の持ち主である事を特記したい。

■英語版『早稲田ウィークリー』
【URL】http://www.waseda.jp/student/weekly-e.html

※ 『早稲田ウィークリー』英訳協力学生大募集!!
締め切りは8月5日(金)。 詳しくは、>>こちら をご参照ください。

(2005年7月14日掲載)

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First drafted 2005 July 14.



七夕の夜によせて


 昔、織女と呼ばれる天帝の娘がいた。彼女はたいそうな働き者であったが、忙しくて恋をする暇もない娘を不憫に思い、天の川の対岸に住む牽牛と結婚させることにした。彼らは幸せに暮らしたが、生活が楽しすぎるあまり、お互いの本分を忘れてしまうようになった。最初は大目に見ていた天帝も、ついに怒り心頭に発し、2人を別れさせてしまう。しかし天帝は、次のような言葉を掛けることも忘れなかった。
「心を入れ替えて一生懸命仕事をするなら、1年に1度、7月7日の夜に会うことを許してやろう」
それ以来、年に1度の再会を励みに、織女は仕事に打ち込んだ。

  七夕伝説として有名な織り姫と彦星の話である。しかし、この話には続きがあることをご存じだろうか?

  待ちこがれた7月7日の夜。しかし折しもの雨で天の川の水かさが増え、渡れそうにない。月の舟人もつれないもので、渡してくれそうにない。途方に暮れる2人であったが、そこへどこからともなくかささぎの群れが現れ、翼を広げて織女が川を渡るのを助けた。無事対岸へ渡った織女は、牽牛と1年ぶりの再会を喜んだのだった。

  毎年七夕の時期は梅雨と重なり、来る日も来る日も雨の日が続く。しかし、その雲の向こう遙か彼方では、今夜も2人が1年ぶりの再会を無事に果たしているのである。

  これから夏休みにかけて、旅行や合宿などで郊外へ出かける機会も増えることだろう。せっかくだから、時間を見計らって夜空を見上げてみてはいかがだろうか。星座のことなど分からなくても構わない。都会では目にすることのない星の数々に思いを馳せてみれば、それだけで満ち足りた時間が過ごせるものである。

天文同好会 ペンネーム:「空も飛べるはず」

天文同好会では毎週金曜日、18時より部室(新学生会館E1108)にて例会を行っている。夜空を見て星に興味をもった方。参加してみては?
【URL】http://www.kt.rim.or.jp/~so-ten/index.html

(2005年7月7日掲載)

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First drafted 2005 July 7.



保育所サポーターズクラブ


  去年4月、早稲田大学地域開放型保育所にて早大生のボランティアによって、サポーターズクラブが発足した。子どもが好きという単純な理由で集まったメンバーが6、7人。皆、保育士の資格は持っていない普通の早大生。それゆえ、大切なお子さんを預かっている保育所で私たちができることはかなり制限された。発足会の時、保育所の方からは飾りつけを作るなどの裏方の作業をメインに活動をしてほしい、と言われた。保育所でのボランティアなのに子どもたちと触れ合う機会がかなり少ないということになる。たぶん、この時点で辞退を心に決めた学生も少なくないだろう。それでもボランティア精神旺盛な学生を残し、われわれの活動は始まった。

  私は活動を通してお散歩、七夕、ひな祭り、遠足、クリスマス会などに参加することができた。父母のために、発達心理学を専門としている大藪先生(文学学術院教授)による講演、在学生で声優の鈴池静さん(本紙1065号「ぴーぷる」参照)による語り部の会、そして早稲田交響楽団による室内楽の演奏やフランスとドイツからの留学生を交えてのクリスマス会は、早稲田大学の保育所ならではのイベントといえるだろう。

  お部屋の飾りつけを少ないメンバーで一生懸命作っている様子を見てくれていた保育士の方が、たまにお部屋で子どもたちと遊ぶことも許可してくれた。それと同時に、日々のお散歩に参加することで、彼らも徐々になついてくれた。中には、私が帰ろうとすると、泣き出してしまうほどになついてくれていた子どももいた。

  1年最後のイベントのひな祭りには、残念ながら私1人しか参加できなかった。会も終わりに近づくと、1人の子どもが「お姉さん、お姉さん!」と私の手を取り、みんなで一生懸命作ったという手作りのカードをくれたのだ。予想外のプレゼントにびっくりしながら中を見てみると、みんなが書いた絵や、みんなと一緒に参加したイベントの写真が貼ってあった。発足の時に辞めないで頑張ってよかった、そう心から思えた瞬間だった。

(第一文学部4年 浦川 恵美子)

(2005年6月30日掲載)

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First drafted 2005 June 30.



ピックアップサービスをご存じですか?


 早稲田大学には毎年実にさまざまな国から、たくさんの留学生がやってくる。多くの留学生は生まれて初めて日本にやってきて、成田空港から留学生寮、またはホームステイ先に自分1人で向かうのだ。来日したばかりの留学生のために、留学センターからの依頼を受けて、毎年、早稲田大学国際学生友好会(WIC)では、ピックアップサービスを行っている。ピックアップサービスというのは、新宿駅の成田エクスプレスのホームで「WELCOME TO WASEDA UNIVERSITY!」と書いてあるサインを掲げ、来日した留学生を新宿駅のホームで出迎えて、寮やホームステイ先に送り届けるというボランティア活動だ。

  サークル全体で1日に20人〜30人の留学生のピックアップを担当することもあり、時にはトラブルも発生する。一番多いトラブルは何時間待っても来ないというケース。その理由はもともと飛行機に乗っていなかった、間違って東京駅で降りてしまったなど、さまざまだ。一方出迎え担当者は、行方不明の留学生を探しながら、成田エクスプレスが来るたびに、ホームの端から端まで、サインボードが目立つように頭上高く持ち上げて必死に走る。私はこの2年間で10人くらいの留学生をピックアップしてきた。

  大変な思いをしても、どうして続けるのだろうか? 不安と共に来日した留学生、そしてその地で一番初めに出会うのが私たち。その出会いは、ひと味違う。そして、その格別の出会いを通じて知り合った留学生と、お互いの国や文化について語り合う。こうして真の友人となっていく。苦労しても、そこから学ぶこと、それは貴重な体験なのだ! 興味のある方はぜひ、この活動に参加してみてもらいたい。

早稲田国際学生友好会(通称 WIC)
【URL】http://home.so-net.net.tw/chienlin_1214/

(第一文学部3年 巴 佳子)

(2005年6月23日掲載)

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キャンドルナイト2005夏至


 みなさんは「キャンドルナイト」というイベントをご存じだろうか。「電気を消してスローな夜を」というフレーズで有名なこのイベントは、エコをコンセプトにした市民の呼びかけで全国に広まった。夏至と冬至の年2回、午後8時から10時の2時間だけ電気を消すという行為で人々がゆっくりとつながって「くらやみのウエーブ」を世界中に広げていこうというものだ。イベントというよりもムーブメントといった方が良いだろう。

  電気を消してキャンドルを灯すたった2時間。その2時間は、慌ただしい日常では考えないようなことを思いめぐらす特別な時間になる。地球環境のこと、遠い世界に住む人々のこと、ふるさとの家族のこと、大切な人のこと、そして自分の生活のこと?。わずかな時間だけれど、私たちに世界と自分のつながりを感じさせてくれる。充実した学生生活を夢中で過ごす多くの学生も少し立ち止まって地球環境や世界のことを考える時間があってもいいのではないだろうか。

  個人宅やカフェ、お寺や地域の公民館、原宿のキャットストリート、代々木公園など多彩な場所で展開されるキャンドルナイトを、多種多様な人間の入り乱れる早稲田大学でできたら、地球環境への取り組みや身近なエコがさまざまな分野へ広がっていくことになるのではないか。その広がりを想像するだけでわくわくしてくる。それで学生が帰りがけにふらっと立ち寄れるような学生会館アトリウムでのキャンドルナイトを企画した。他にもリーガロイヤルホテル東京で行われる企画もあるようだ。

  早稲田でも「くらやみのウエーブ」は少しづつ広がっている。誰も何も言わない。けれど、きっとキャンドルの灯がわたしたちに世界を感じる、考える時間をくれる。アトリウムで2時間だけ、5万6千人、早稲田のキャンドルナイト。

  【URL】http://www.candle-night.org/

(早稲田大学公認 イベント企画サークルqoon代表 第一文学部3年  内藤 裕子)

※早稲田で行われる企画の詳細についてはこちらを参照

(2005年6月16日掲載)




青い海の教え


  「生活にまみれてきた」。そう感じたとき、私が度々訪れる場所がある。そこは瀬戸内海にある弓削島という小さな島で、私にとっては第二の故郷だ。

 適当に荷物をまとめて朝早くに出発し、約7時間後にようやく辿り着いた。駅や港周辺の開発ぶりに驚きつつも、相変わらずの青い海と大きな空に囲まれて、私はようやく一息ついた。祖母の家のドアを開けると、優しい笑顔が私を待っていた。

 ここに来ると、祖父のお墓を必ず訪れる。瀬戸内海を一望できる山の上に、祖父は眠っている。花を活け、水をかけた墓石の前に手を合わせると、どうしていつも、涙が出てくるのだろう。随分かわいがってもらった。いろんなものを見せてくれた。そして最後に、人間の死とは、いかなるものなのかということを身をもって教えてくれた。

 海岸沿いの帰り道、新しく舗装された道路の向こうには、青い海が広がり、いつもと変わらず客船や貨物船が往き来している。人も町も風景も、みんな生きている。この町にも私にも、新しいものが生まれては、古いものが消えていく。開発が進んだ尾道駅の周辺では、通い慣れた食品店や映画館が閉鎖され、ビル群の真ん中にわざとらしく残されたお稲荷さんは、なんだか居心地が悪そうだった。

 昔の自分に戻りたいときもあるけれど、生きている限り、私だって変わり続けなければならないだろう。それでも、かんじがらめな日常生活の中で、美しいもの、大切なものを心に残していたい。祖母の笑顔、祖父との思い出、美しい海…。

 時間の豊かさを存分に味わった2泊3日の後、寂しがる祖母を残して、再び東京へと戻った。いつまでも元気でいてほしい。

(理工学部3年 堀田 徳子)

(2005年6月9日掲載)

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First drafted 2005 June 9.



チアリーダーの神宮球場



 応援部のチアリーダーは、東京六大学野球のすべての試合に参加している。そのため、神宮の常連さんから、「この間のあのヒット、技ありだったね」なんて話しかけられることも多い。決勝点を生んだヒット。それは知っている。でも、それが右に飛んだのか左に飛んだのか、そんなことも私たちには分からない。試合中に見えるのは観客と空席の青いベンチ、それから、澄んだ青空と空を分ける神宮のフェンスだけだからだ。エール交換の時と守備中の時々くらいしかグラウンドを向かないチアリーダーにとって、お客さんの反応は私たちが知っている神宮のすべてであり、同時に、自分の力を測るバロメーターでもある。だからこそ、私たちに続いて声をからしてくれる観客の前に立ち、肩を組んで歌う「紺碧の空」は、格別だ。

  澄んだ青空、眩しい陽射しに輝くスタンド。もう1点、2点と続いていきそうな勢いのある応援席。鳴り止まない歓声。目の前の光景が、「紺碧の空」の歌詞そのものなのだ。きっと選手にも見えているはずだ。だからこそ、熱を帯びた大声援の応援席で、後押ししたい。それは、大舞台のプレッシャーの中で活躍する選手、そして、その陰で彼らを支える何十人もの野球部員たちに、私たちができる心からの感謝の形である。

  試合終了のその瞬間まで、私たちは諦めない。いつも頑張っている選手たちに、あの気持ちの良い「紺碧の空」を1回でも多く聞かせてあげたいから。あの鳥肌が立つくらいの一体感と歓喜の声を。

  早慶戦。土曜日の満塁ホームランも追い上げながらもものにできなかった日曜日も、神宮を埋めつくす見渡すかぎりの学生と大歓声を肌で感じた。えんじ色に染まったスタンドは選手にも見えていたはずだ。観客席からの声援は、選手に必ず届く。だから、秋もぜひ、神宮に足を運んでほしい。君の力を、早稲田の力に!!

(応援部チアリーダーズ 教育学部3年  小林 新菜)



(2005年6月2日掲載)

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First drafted 2005 June 2.



罪は償えるか? 〜 書評 :『審判』(深谷 忠記 著、徳間書店) 〜


 幼女誘拐殺人事件の裁判で有罪判決を受け服役した男が、取り調べを担当した元警察官の前に突然現れたことから、平穏だったはずの事件関係者の生活が揺らぎ始める。男は出所後インターネット上に「私は殺していない!」というホームページを立ち上げ冤罪を訴え、被害者の遺族にも真相の究明を呼びかけていた…。

  物語前半の筋書きは単調だが、二重、三重に閉じていた真実への扉が開いていくにつれて読み手の予想を遥かに超えた展開が待ち受けている。事件の加害者は裁判で懲役15年の判決を下されるが、これを傍聴していた被害者の母親は「もし法律ができないのなら…娘を殺した犯人を私が死刑にします!」と泣き叫ぶ。死刑廃止に傾く世界的潮流の一方で、「殺人事件の量刑が甘すぎる」との考えを持つ方も少なくない。しかし、本書における母親の言葉は物語後半に量刑の妥当性を超えた意味を持って読み手の心に響くに違いない。

  幼い子どもが被害者となる事件も元服役囚の主張する冤罪も、われわれが暮らす現実世界でも絵空事でないことに思いを巡らすとき、1人の登場人物の台詞が強烈なインパクトを持って私の心に浮かび上がる。「人がひとたび犯した罪は被害者が許さないかぎり、けっして償うことはできない」

  被告人の処罰や損害賠償…時と金による償いが被害者の完全な回復に繋がり得ないことは忘れてしまいがちな悲しい現実だろう。学部1年生の折、刑法総論の講義で「刑法の話は最も人間臭い」と聞いたことが今でも印象深いが、本書は1つの刑事事件を通じてまさにその人間臭さ、人間の弱さを描いている。久々に手に取ったハードカバーだが一晩で読み切った魅力、書き手からの問いかけの重みをぜひとも皆さんと共有したい。

(法学研究科博士課程3年 楠亭)

(2005年5月26日掲載)

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First drafted 2005 May 26.



早稲田がよりグローカル・ユニバーシティとなるために


 急速なグローバル化が進む世界で、早稲田大学は人材育成、文化交流をはじめ、多彩な分野の進歩、発展などに大きく貢献していると思う。留学のために来日する多くの外国人にとって、早稲田が第一志望になっているのも当然だろう。

  私たち留学生のために、多くの学部・大学院が国際的教育機関として開放的な教育体制を整えている。英語で行われる授業をはじめ、流暢な英語で対応してくださるスタッフ、学生健康保険、多彩な奨学金制度なども整っている。母国語と英語しか話せない留学生たちでも、快適な学生生活を送っているように見える。

  ただ、最近残念なことが一つだけあった。私たちが大学で身に付けた技術や能力を母国で活かせるよう、これまで早稲田大学は応援してくれた。それを強く実感できたのは卒業式当日の学位授与式で修士の学位記を貰った瞬間だった。しかし、その学位記は日本語で書かれていた。学位記自体はとても嬉しかったが、学部生時代に他大学で貰った学位記は、英語が併記されていたため、当然、早稲田でも日英併記だと思っていたのだ。それだけに、私は驚くと共に落胆した。母国のサウジアラビアに帰ったら、日本語を読める人はほとんどいない。私の留学を応援してくれた家族や友人とも喜びを十分に分かち合えず、家や仕事場でも学位を飾っても、誰も学位記だと理解してくれない。

  この話は早稲田の留学生全員にかかわることだ。学位記を母国語で書いてほしいというわけではない。せめて世界のグローバル言語である英語を併記してほしい。早稲田大学が「グローカルユニバーシティ」として、世界に確固たる地位を築くためにも、留学生の立場からぜひ、お願いしたいと思っている。

(国際情報通信研究科(GITS)博士後期課程1年 アルシハーブ アブドラ)

(2005年5月19日掲載)

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First drafted 2005 May 19.



社会に出ようとするわれわれに― 書評:『プロ論』―


 いずれ大学を卒業して職に就くであろう皆さんは、今の社会をどう思って、またどう生きているだろうか。不況、運、才能、環境…。自らの苦境や責任を抽象的でマクロ的な対象に安易に押し付けてはいないだろうか。自らのポリシーを持ってたくましく生きていくためにはどうすべきなのか。仕事とはどうあるべきなのか。紋切り型の答えはないが、そのヒントを与えてくれるのが今回紹介する『プロ論』(徳間書店)である。

  書中に登場する仕事の「プロ」たちは総勢50人。人生の数多の試練を乗り越えた彼らの仕事はさまざまだ。社長、官僚、学者、漫画家、芸能人とジャンルは広いが、彼らが伝えようとしているメッセージはほとんど共通している。「仕事を楽しめ」、「自分のやりたいことをやれ」、と。別にとことん自己中心的にやれというわけではなく、嫌いな仕事を我慢してやってどうするんだ、たった1回の人生、楽しまなきゃ損だろうという意味だ。

  もちろん彼ら「プロ」にも失敗はあった。解雇されたり全財産を失ったりと、それこそ一般の人間が経験する以上の挫折を味わっている。それでも彼らは立ち上がり、再びチャレンジした。不屈の思考と行動力。それこそが「プロ」と呼ばれるゆえんであり、われわれが最も学ぶべき点なのだ。

  ジャーナリストの田原総一郎氏は書中でこう語る。「挫折も模索もすごく面白いものなんですよ」と。元三重県知事の北川正恭公共経営研究科教授は「常に自己否定することが、新たな価値や成長を産む」という。そう、「プロ」へと成長するには、自分の弱さや見えない未来への不安に立ち向かう勇気こそ必要なのだ、と彼らはわれわれを励ましているようにも思える。

  将来への不安を抱える大学生必読の書である。仕事とどう向き合い、自分を磨くか。先達の金言はわれわれの未来に希望の灯を灯してくれる。

(人間科学部2年 辻 隆史)

(2005年5月12日掲載)

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First drafted 2005 May 12.



「スペシャル」初体験


 2月26日から3月5日まで、知的発達障害者のためのスポーツの祭典「2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会・長野」が開催された。私は自分の出身地で行われるこの大会にボランティアとして参加した。スペイン語を学んだ経験を活かせたらと考え、DAL(選手団付の通訳・秘書)を希望していた。念願は叶い、スペインのクロスカントリー競技17人の担当となった。与えられた責任は大きく、成田で選手団を見送るまで不安は消えなかったが、日本に馴染みのない選手・コーチらの意思疎通を手助けできたことにとてもやりがいを感じた。

  ある女性選手がいた。表彰式後、彼女は私に駆け寄りメダルを手渡してくれた。私は「よくやったね」と抱きしめる。大切なメダルを返そうとすると、「それはあなたのもの」と彼女は言う。何度返そうとしても受け取らない。なんと、吹雪の中、力のすべてを出し切って勝ち取ったそのメダルを、この自分にくれると言っているのだ。「一番大切なものだから、一番身近で応援してくれたあなたにあげたいの」とまで言ってくれた。頑固な彼女に「もう一度表彰式をやろうか」と提案し、ようやくメダルをかけてあげることができた。

  華やかな開閉会式。その裏側では何百人ものボランティアが働いていた。ボランティアという身分だったからこそ誰にでも本音で意見を言えたし、DALの中だけでも元企業戦士に公務員、学校の先生、国際結婚をした夫婦、そして外国語を学ぶ大学生と多彩な友人関係≠築くことができた。選手、コーチとの交流を含め、私にとって大きな贈り物をもらった2週間の経験であった。

  みんなに知ってもらいたい。彼らアスリートたちの美しい笑顔を。そして彼らの置かれている状況を。

(人間科学部2年 とらろっく)

(2005年4月28日掲載)

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First drafted 2005 April 28.





新歓期によくある話


 去年の4月、私は早稲田に入学した。多くの新入生と同様に、何かのサークルには入るつもりだったので、ブースやビラを頼りにいくつかの新歓コンパに行ってみた。

  新歓コンパは新入生の場合だと、だいたいが無料か少ない金額で飲み食いができる。少しでも興味があるサークルのコンパには、できる限り参加した。これから始まる大学生活に期待しながら、先輩の話を聞いたり、新入生と友だちになったり、新歓コンパ自体はとても楽しいものだった。

  しかし、とあるサークルの新歓コンパに行った時、突然一気飲みのコールがかかった。当然のように、コールに合わせてグラスを空けていく先輩たち。彼らの一気飲みがひととおり終わったら、今度は新入生の順番だ。みんながハイテンションの中、一気飲みを断れる新入生が何人いるだろう? 私もグラスを空けた。気持ちは冷めていた。冷静な頭で、なんでこんなことをしなければならないのか分からなかった。もちろん、そのサークルには入っていない。

  新入生の皆さん、新歓コンパの一気飲みは一度飲むと、お酒に強いと思われて次々に飲まされるハメになる。周りの雰囲気にのまれ後悔しないでほしい。

  上級生の立場を使ってお酒を無理強いする。おそらくそんなつもりはないのだろうが、結果的にはそうなることが多々ある。新入生を迎える側の皆さんにも意識してほしい。こんなところで「伝説」を作ってもしょうがないでしょ?

  高田馬場駅周辺では、新歓期になると酔った学生がたむろする。本人たちは気持ち良いかもしれないが、連日それを見せられるこちらはうんざりだ。

  新歓コンパはサークルの雰囲気をつかむことのできる大きなチャンス。飲んでつぶれてチャンスを台無しにしないよう、学生としての自覚を忘れないでいてほしい。

(第二文学部2年  ラーメン)

(2005年4月21日掲載)

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スマトラ沖地震救済活動に参加して


 私は、昨年12月30日から1月12日まで、政府が派遣した国際緊急援助隊・医療チームの医療調整員として、スマトラ沖地震・津波災害の被災国の1つタイに派遣された。被災地における救済活動の現場は、厳しい環境の下で、迅速かつ適切な支援をしなくてはならない。それには支援のニーズを把握して、より有効(友好)的な活動を行う上で、被災者たちの協力が不可欠である。

  大晦日、プーケットから最も被害が深刻なパンガー県に向かった。カオラック・ビーチ沿いのホテルや商店が跡形もなく流され、海上警備艇が海岸から1`離れた場所に打ち上げられている等、想像を越えた悲惨な現実を見て、津波の恐ろしさを知った。

  日本や海外のメディアで何度か紹介されたナムケム村にある学校の教室を借りて診察を開始した医療チームを3チームに分け、学校での診察のほか、避難民キャンプにおいては診療テントを設営して診療を行った。目の前で妻が波に流され行方不明と訴えたけが人、2日間水の上に浮いていて救出された子など、被災者は家族や友人を亡くしたり、行方不明だったり、家や仕事を失い、心身ともに傷ついていた。

  日本人として、アジア人としてタイの被災者にとって少しでも力になれればと思って活動を行った。診療所内外で会う被災者やボランティアと隊員が共に協力しながら、時には手洗いの必要性を子どもたちに指導する寸劇を、仮設テントの幼稚園で行ったり、子どもの日には折り紙教室を開催し、被災者と交流しながら、医療活動を行うことができた。

  今は、亡くなった方の冥福を祈り、行方不明者の1日も早い発見と、復興を祈っている。

(2002年3月アジア太平洋研究科 修士課程修了 鈴木 貴子)

(2005年4月14日掲載)

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春の飲酒シーズン来る! 新入生と学友諸兄姉にアピールする


 新入生の皆さん、入学おめでとう。大学生活の中で行動半径を大きくとり、新しいことに取り組んでいってほしい。

  ところで、春になると憂鬱になる。夜9時過ぎに、高田馬場駅に向かうと、早大生の常識外れの行動を連日見ることになるからだ。同じ学生として大変恥ずかしい。歩道を占拠し、大声で仲間たちと会話する者、路上に座り込んだり、横たわったりする泥酔者、挙句の果てに、注意する人にくってかかる者もいる。このような行動をとるサークルには、新入生は入らないでほしい。やめることを勧めたい。

  高田馬場駅周辺の地域には、日本点字図書館、日本盲人福祉センター、東京都盲人福祉センター、東京ヘレン・ケラー協会の施設がある。駅から点字ブロックが続いていることにお気付きだろうか。もちろん、会社員や地域住民も多数いる。高田馬場は「学生の街」だけではない。夕方、駅前広場を新歓コンパの集合場所にする団体があるが、通行の邪魔だ。キャンパスで集合してから会場に移動する等のわずかな配慮で、周囲の膨大な苛立ちを解消させるはずだ。

  大学生は、特別な存在ではない。早稲田には社会貢献の意識を持って活動する卒業生・学生が多く、早稲田が評価される大きな要因となっている。「コンパ」という学生生活の場面から、一人ひとりが社会との関わりを考えていこう。

  新歓コンパの楽しい酒席で飲み、騒ぎ、大声で歌うことは、いざこざを起こさず、器物を損壊しない範囲で許されるだろう。だが、会場から出たら社会人になろう。早大生として、周囲に迷惑をかける行動はとらない「新歓コンパ」にしていけば、春は誰にとっても楽しい季節になるのではないか。

(第二文学部4年 N・O)

(2005年4月7日掲載)

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