現場レポート

潜入! 『早稲田文学』
ほんとのところ


第一文学部4年 森本 翔子

作業室にて、デザイナーさんと打ち合わせ。手前左が筆者。
作業室にて、デザイナーさんと打ち合わせ。手前左が筆者。
『早稲田文学』2005年3月号、5月号表紙
『早稲田文学』2005年3月号、5月号表紙

 雑誌が発行される奇数月の半ばともなると、作業室は原稿を読む者の沈黙、およびPCで誌面を作る者のタイプ音に満たされる。画像データが消えたとか(スタッフのipod内に発見される)、著者のFAX解読に半日を費やすとか(「イす」にしか見えないそれは「何」の字だった)、大小のトラブルに部屋はざわめくが、それも校了前の忙しさに夜8時をまわり、月に1度の贅沢であるオリジンの弁当が届くころには、日頃の栄養不足を補填する静けさにかえる。もくもくと平らげた後、遅いときには明け方まで、トラブル含みの作業は続く。

  隔月刊文芸誌『早稲田文学』編集室には現在、編集・制作を補助する学生スタッフが文学部生、理工学部生あわせて7名勤務している。出版界への無謀な憧れを抱いていた18の私が、人員不足に悩む同誌デスクの弁舌に眩まされ、学生スタッフとなって2年半。堅めの評論、小説の原稿と格闘しつつ、15冊の発行に携わってきた。学生の身でバーコードのついた「商品」を作って売る、その責任の重さにはときに胃が縮む。誤字脱字を排することはもちろん、見栄えのするレイアウト、広告表現を模索すること。値段にみあう、少しでも多く売れる商品を作るべく、課題は尽きない。

  「多いときは週5日の勤務で、いただけるバイト料は月1万、時給換算では200円を切る」、就職活動の面接でそう答えると大抵が驚愕、のち、代わりに憤慨していただいた。それでも仕事を続けているのは、ひとえに読者の感想を得たときの充実感、および、115年の歴史ある『早稲田文学』の名を背負っているという責任感によってである。それでも願ってやまない、せめてオリジンを毎日食べたい、いつかは寿司も―その切なる夢の実現も、フリーペーパー化(※)に向けた準備が進む現在、また一歩遠のいた。が、奇特な広告主が幾人かあらわれてくれれば、確実に近づく夢でもある。そのためにも誌面を充実させんと、編集室の灯は皓々と明るい。

(※)無理のすくない発行継続、および、読者と文学との出会いの場としての機能を両立させるこころみとして、『早稲田文学』は今夏より実験的にフリーペーパーとしての発行を開始します。全国の書店を中心に、駅やカフェでの配布をめざして活動中。詳細は乞うご期待。

(2005年6月23日掲載)

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First drafted 2005 June 23.