わせだかいわい |
食堂「稲穂」ご主人 長谷川 弘さん
南門通りの食堂「稲穂」のご主人、長谷川弘さんの1日は朝5時に始まる。今日1日使う出汁を火にかけ、6時にウォーキングに出発、6時30分に戸山公園でラジオ体操。11時には鶏ガラと野菜のうま味たっぷりの出汁ができあがり、開店。「今は簡単にとれる出汁もあるけれど、うちは創業以来この方法です。昔馴染みの卒業生が久しぶりに来ると同じ味だと喜んでくれますよ。この春竣工された目の前の8号館も、以前の建物を一部残したからほっとしますよね。建て替えといえば、常連さんが『建て替えないで』というから、ここは昔のままの木造2階建て。奥は大学関係の本や何やらで溢れかえってます。孫たちは『稲穂の2階を探検しよう』って上がっていきますよ(笑)」 創業は昭和34年。それまで長谷川さんは茨城で繊維工場を経営していたが、「これからは『衣』より『食』」と、当時政治経済学部で教鞭を執っていた叔父の薦めでこの地に店を構えた。今ではサービス精神満点のご主人も、初めは「消え入るような声で『いらっしゃい』の初めの『い』しか声を出せませんでした」 以来、商店会会長をはじめ、さまざまな役を引き受けてきた。早稲田のマスコット「ふくちゃん」の使用許可については、作者である横山隆一さんの「大学相手では気が重い、商店会の世話役なら」という求めに応じて保証人を引き受けた。学生時代に常連だった卒業生が初めて県議会議員に立候補した時には、夜行列車で現地に出向き応援演説をした。去年は、新宿都庁前広場のラジオ体操会場に4,000人を集めるのに一肌脱いだ。その他、エピソードにはこと欠かない。「ついつい祭り上げられちゃって。よろづやですよ」 当然、そんなご主人のいる「稲穂」には、多くの学生が足繁く通う。この日も、司法試験を目指す法学部生、「食べるより、かみさんと話したくて(ご主人談)」やって来る理工学部生、エクステンションセンター受講生…、と続々と常連さんがやって来た。初めての顔合わせでも、ご主人を中心に自然と話が盛り上がる。ある常連さんの「ここは人と人を結ぶ『早稲田のシルクロード』なんだよ」との言葉が、「稲穂」の魅力を端的に言い表しているようだ。
■稲穂
(2005年5月19日掲載) Copyright (C) 2005 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.First drafted 2005 May 19. |