薦!

『デモクラシー』 マイケル・フレイン 作
 【公演期間・会場】
 2月11日〜19日 シアター1010
 2月22日〜28日 青山劇場
 3月16日〜31日 ル テアトル銀座
 *学生席は青山劇場のみ 5,000円


何食わぬ顔をした 男たちの魅力

<評者>
小田島 恒志
文学部教授
1962年生まれ
1996年4月嘱任
専門分野:現代イギリス小説・演劇
担当科目:英米文学演習(文研)、英文学演習(一文)、表現芸術系演習(二文)等

 鹿賀丈史と市村正親の26年ぶりの共演と聞いただけでも十分そそられるが、さらに藤木孝、三浦浩一、近藤芳正、今井朋彦といった芸達者がずらりと顔をそろえているのだから、舞台好きにはたまらない。しかも、現代英国演劇を代表するマイケル・フレインの最新作である。

  フレインと言えば、舞台の表のドタバタ喜劇と舞台の裏の人間関係のドタバタを緻密な計算でシンクロさせた『ノイゼズ・オフ』や、2人のノーベル賞物理学者ボーアとハイゼンベルクの心の内側を原子の内側に擬えて描いた『コペンハーゲン』などの戯曲のほか、小説やチェーホフの翻訳などもこなし多才な作家として日本でもよく知られているが、常に彼の関心は物事の表と裏という二面性にある。舞台の、歴史の、原子の、そして人間の表と裏を、知的に、愉快に、刺激的に暴いて見せる。

  そのフレインが政治をネタにしないわけがない。そうして登場したのが『デモクラシー』であり、当然2004年度のオリヴィエ賞ベスト・ニュー・プレイ賞にノミネートされた。

  冷戦の最中に東西ドイツの緊張を和らげノーベル平和賞を受賞した元西ドイツ首相ヴィリー・ブラントとその秘書であり実は東側のスパイだったギュンター・ギョーム。まさに「表と裏の作家」フレインに書いてくれと言わんばかりに実在した人たちの物語である。

  さまざまな表と裏に満ち溢れるフレインの戯曲を演じるには英国的な「何食わぬ顔」の役者がふさわしい。日本でやるなら…よくぞここまで見事なキャスティングをしてくれたものだ。割安の学生席(日程要確認)がオススメ。

 

(2004年12月16日掲載)

Copyright (C) Student Affairs Division, WASEDA University. 2004 All rights reserved.
First drafted 2004 December 16.