こんな授業! どんなゼミ?

青山 南教授「文芸研究IB」
 〜翻訳の不思議―アリスがいっぱい〜


青山先生の指導により「言葉の不思議」の世界に誘われる
青山先生の指導により「言葉の不思議」の世界に誘われる
課題図書に取り組む筆者
課題図書に取り組む筆者

第一文学部2年 平尾 寿美子

 第一文学部文芸専修の2年生が必修科目として一つ選択する講義が「文芸研究IA〜IC」だ。文芸専修というだけあって、必修といっても内容はそれぞれ多岐にわたる。青山南文学部教授のゼミはその中の「文芸研究IB」で、誰しも子どものころに一度は手にしたことがあるのではないだろうか、という『不思議の国のアリス』を、原書と読み比べながら15種類にわたる日本語翻訳版を作者・出版社ごとに比較するというもの。翻訳の違いから言葉あそびの不思議や奥深さに接するのだ。

  ご自身も翻訳家である青山先生が、淡々と、ひょうひょうと穏やかな声で原文と各日本語訳を読み、先生と学生が対話しながら各翻訳本を比べていく。

  例えば、英語でsole(靴底・シタビラメ)とeel(ウナギ)がダジャレとしてかけ≠轤黷トいても日本語ではヒラメとウナギはかけ≠轤黷ネい。そこでどうするか。各翻訳者たちはここをどのように訳し、処理しているのか、それを15冊の翻訳本をとおして探っていくのだ。そうして読んでいるうちに、各翻訳者の癖や独特のリズムに気が付いてくる。美しい「かけことば」や、七五調の持つ美しさを見逃してはいけない、そんな気持ちにさせるゼミだ。

  分かってくるのは、「普通に読んでいたら気付かなかったこと、言葉の持つ広さと可能性」だ。同じ2種類の翻訳があっても、Aはこっちが好きだといい、Bはあちらが良いという、そういったことが可能な世界なのだ。翻訳から読み取る不思議は、言葉の遣い方の違いだけでなく、感性の違いをも示している。

  日本語訳本として挙げられた15冊の本の中には、カラーの挿絵が綺麗な、A4近くの大判のものもある。「子ども向けの本」と思って見ないで、本屋で一回、手にとってじっくり見てみられることをお勧めする。新たな世界が開けるかもしれない。

(2004年12月9日掲載)

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First drafted 2004 December 9.