特集

Stop! Sexual Harassment


秋の講演会
日時 11月1日(月) 13:00〜14:30
場所 小野梓記念講堂
(西早稲田キャンパス7号館1階)
題目 『裁かれるセクシュアル・ハラスメント』
講師 林 陽子氏
  (大学院法務研究科客員教授・弁護士)

 1999年4月より、本学はセクシュアル・ハラスメントの防止及び紛争の調整に努めてきた。にもかかわらず、本学学生が昨年痛恨の極みというべき事件を起こしてしまった。セクシュアル・ハラスメントのない環境作りのため、改めて協力をお願いする。

被害経験はあるが…

 昨年6月に実施された「学生生活調査」ではじめて「セクシュアル・ハラスメント」についての質問が盛り込まれた。結果は学生生活調査Webサイト(http://www.waseda.jp/student/research/2003/2003tjsk.html)にも掲載され、冊子も刊行されているので、ぜひ一読してほしい。

  まず、セクシュアル・ハラスメントについては約12人に1人が被害を受けていると感じている。特に女性の15.3%が何らかのセクシュアル・ハラスメントを学生生活の中で受けたと感じていることが分かった。学年別でみると学年が上がるにつれてセクシュアル・ハラスメントを受けたことが「ややある」、「ある」学生が増加し、大学院の博士課程では合わせて14.7%になっていた。ところが、本学の予防・相談システムや担当機関については「知っている」(9%)「まあ知っている」(19%)を合わせても28%にとどまった。セクシュアル・ハラスメントの被害を受けていると感じた学生であっても「あまり知らない」、「知らない」を合わせて55.6%となっていて、まだ十分に認知されていない実情が明らかとなった。

大学院生は訴える

 さらに本学では、助手と大学院生対象に「セクシュアル・ハラスメント実態調査」を実施した(2001年秋)。5,741人を対象に郵送回収法により行い、671通の有効回答を得た。その結果はセクシュアル・ハラスメント情報委員会活動報告書の2001年度版で単純集計を、2003年度版でクロス集計と分析結果を公表している((1)参照)。(活動報告書は中央図書館・戸山図書館で所蔵している他、最新の2003年度版については、学部や研究科事務所でも閲覧可)

  「不快に思った行為」はいわゆるジェンダー・ハラスメント(男女の固定的性別役割分業による性差別を行うもの)が全体の6割強を占めていた。一見重大な問題でないようにも見えるが、実はこの中の「最も不快」であった行為について心身に対する影響を質問したところ、深刻な悪影響が生じていることが分かった。にもかかわらず「その行為を受けてあなたは、どのような行動をとりましたか?」の回答では、199人もの人が「何もしなかった」と答えた。特にジェンダー・ハラスメントと分類された事項を選択した人の74%は「何もしなかった」としている。一方、「猥談」や「性的な噂」などの場合は、何らかの対応をした人が32.2%に上っている。

  「誰かに相談した」のは20%のみで、その大半は身近な人(友人・母親等)だった。公的機関に訴えた人は4%のみだった。相談した結果については「気分が楽になった」、「解決策が得られて良かった」が多かったが、反対に「相談しなければ良かったと余計に落ち込んだ」という人も4人いた。被害を受けた人の気分を楽にし、解決への道作りをするには、相談にのる側にもきちんとした知識が必要不可欠であることが分かる。

  自由記述で「セクシュアル・ハラスメントあるいはそれに類すると思われる経験を他の学生が受けていると感じたことがある場合、その内容を差し支えのない範囲でご記入ください」という質問については、85件の有効回答があった((2)参照)。大学に望む対応は、「教職員・学生への教育(モラル向上)の徹底」、「相談窓口の充実」、「啓発活動、PR活動の継続」が上位3つであった。昨年の「学生生活調査」での「被害経験あり」の人たちからの回答とほぼ同じであった。

セクシュアル・ハラスメントって何?

 あらためて基本を確認しよう。セクシュアル・ハラスメントとは直訳すれば「性的嫌がらせ」。人権侵害であり、大多数が男性から女性へのケースではあるが、実は男女に関わらず起こりうる。その背景には社会に根強く残る性別役割意識(いわゆるジェンダー)や性差別観がある。自分では気が付かなくても、「男は主、女は従」、「男は男らしく、女は女らしく」といった意識にとらわれている人も少なくない。皆さんも「私はどうか」と一度自分自身を振り返ってみてもらえないだろうか。

  また、ある行為や発言がセクシュアル・ハラスメントかどうかは、客観的に「ここまでは」という線引きができるわけではなく、被害者がどのように感じたかという要素を抜きに判断することはできない。被害を受けて現実に健康を害したり、休学・退学など学業に支障をきたすこともある。このような事態を避けるためにも、本学の相談システムを十分に活用してほしい。

どんな相談システムがあるの?

 まずは、発足からの5年間の相談数を見てみよう((3)(4)参照)。年間受付数の半数以上は来所外相談、すなわち電話やメールでの相談である。専門的な知識と技量をもつ心理専門相談員が対応しており、この段階で終了しているケースが多い。次に予約をとって来室した後でも、心理専門相談員との面談で終了するのが半数以上である。ここまでの段階は被害者本人でなく友人等が代理で相談することもできる。一人で悩まずに安心して話すことで道は開ける。

  「苦情処理」へ進むケースは初年度に半数あったが、その後は16〜20%程度である。本学の専任教職員の中から選ばれた2人の苦情処理委員が面談しどのような解決方法があるか、被害を受けた本人の意思を尊重しつつ探っていく。まずは当事者間の人間関係の調整を図ることを目指す。プライバシーを守るために具体例は公表できないが、ほとんどのケースは当事者の和解で終了している。

  ところで、最近の相談事例にはどのようなものがあるだろうか? 報告書にも掲載されているが、教員が訴えられているケースが多いこと、また、酒が絡んでいるケースが多いのが特徴である。「酔っていたから」は免責理由にならない。なお、セクシュアル・ハラスメントの相談は学外の各種機関でも受け付けている(学内の相談窓口の詳細は(5)参照)

あなたの行動で快適なキャンパスを!

 本学では、学生、教職員をはじめとする構成員すべてがセクシュアル・ハラスメントの被害者にも加害者にもならない風土を作り出すことを目指して、事後の相談だけでなく防止のための活動も各種行っている。下記のとおり、11月には講演会も行う。 セクシュアル・ハラスメント情報委員会のWebサイトにはガイドラインやパンフレット、学外相談機関等の情報も掲載している。事務局には各種ビデオや図書等の参考資料も置いてあり、事前連絡の上で利用できる。

  防止活動で一番大切なのは、学生や教職員一人ひとりの熱意と行動。意見や要望・提案をどんどん寄せてほしい。今までの活動もアンケート回答や相談者の切実な声をもとに企画し実現してきた。黙っていては変わらない。快適なキャンパスを共に作っていこう。


☆皆さんの声をお寄せください☆

 本学では現在、セクシュアル・ハラスメント以外の諸ハラスメントにも対応すべく、現行の「セクシュアル・ハラスメント防止委員会」、「セクシュアル・ハラスメント情報委員会」、「人権教育委員会」の3組織を統合した新たな組織、「ハラスメント防止委員会」の発足とガイドラインの制定を検討している。具体的な内容については、Waseda-netポータル上で公開し、広く意見を募っている(10月20日まで)。宛先は以下のとおり。匿名でも可。
 【E-mail】 student@list.waseda.jp
 【郵 送】 〒169-8050 新宿区戸山1-24-1 早稲田大学学生生活課宛

(1)「助手・大学院生対象セクシュアル・ハラスメント実態調査」より

(質問番号は調査時のもの)

Q3.あなたは大学に入学してから、以下のような行為を受けて、不快に思ったり傷ついたりしたことがありますか。それぞれの行為について、あてはまる番号に○をつけてください。(23項目が列挙され、「ある」は1、「ない」は2に○をつける方式)
<上位の回答>
1.「恋人はいるの?」など、交際相手について話題にされた(23.9%)
2.「若い子はいい」、「おじさん」、「おばさん」など、年齢について話題にされた(20.9%)
3.「女(男)だから…」など役割分担を性別によって決められた(18%)

Q4.あなたがQ3で『ある』と答えた経験の中で、最も不快に思ったり、傷ついたりした経験はどれですか。ひとつを選んで、番号でお答えください。
<上位2つの回答>
1.「胸が大きい」、「髪が薄くなった」など、体型や容姿について話題にされた(35人)
2.「若い子はいい」、「おじさん」、「おばさん」など、年齢について話題にされた(33人)

Q5.あなたがQ4で選んだ経験についてお尋ねします。その後、心身にどのような影響がありましたか。当てはまると思うものを全て選んで、番号に○をつけてください。
<主な回答>
1.やる気が起きなくなった(43人)
2.大学に行くのがいやになった(41人)
3.自分に自信をなくした(40人)
4.人間不信に陥った(37人)
5.イライラしたり無気力になった(37人)

Q5.その行為を受けてあなたは、どのような行動をとりましたか。当てはまると思うものを全て選んで、番号に○をつけてください。
<上位3つの回答>
1.何もしなかった (199人)
2.はっきり嫌だと言った(33人)
3.にらみつけた(23人)

(2)「セクハラ被害の実態:見聞したもの、体験したもの」

(「助手・大学院生対象セクシュアル・ハラスメント実態調査」より)
行為者
 教員 43.7%
 学生 23.0%
 教員&学生 18.4%
 不明 13.8%
 OB 1.1%
被害者(学生)
 女性 71.3%
 男性 2.3%
 女性&男性 5.7%
 不明 20.7%
被害内容(区分別)
 性的な言動 38.8%
 差別的な言動 35.3%
 強要 7.1%
 プライバシーの侵害 7.1%
 つきまとい 5.9%
 容姿について 3.5%
 物理的要因 1.2%
 一方的な思い込み 1.2%

(3)セクシュアル・ハラスメント情報委員会相談窓口相談件数一覧(年度別)

 摘 要19992000200120022003
来所外メール 21391211
電話1226372533
手紙 03 2 01
小 計1442483745
来所予約するも来室せず 0 4 1 2 4
心理専門相談員との面談で終了 918111424
面談後保留中 0 0 3 0 0
苦情処理へ2216141114
小 計3138292742
合  計4580776487
相談者が女性であった件数3562544370

(4)相談の流れ(一例)

来所外相談
心理専門相談員との 電話・メール・FAXによる相談 [→ 終了]
 ↓ 
来所相談
心理専門相談員との面談による相談 [→ 終了]
 ↓ 
苦情処理
苦情処理委員との面談による解決策検討[→ 終了]
 ↓ 
相手方との調整等[→ 終了]
 ↓ 
必要に応じて学内各種手続き

(5) セクシュアル・ハラスメントは人権侵害です。
人権を侵さない・侵されないために、 あなたにできることがあります。

Stop! Sexual Harassment
【相談窓口】
セクシュアル・ハラスメント情報委員会室
 〒169-8050 新宿区戸塚町1-104 早稲田大学24-8号館2階
 開室時間:
月〜金9:00〜17:00
土9:00〜14:00
 *来室前に必ず電話をしてください。
 【TEL】03(5286)9824   *留守番電話機能つき
 【FAX】03(5286)9825
 【E-mail】sh110@list.waseda.jp
 【URL】 http://www.waseda.jp/shj/index.html
※学部・大学院・図書館等の事務所にも、相談窓口への取り次ぎ役として担当者が置かれています。専門家ではないので詳細な相談は受けられませんが、緊急の場合や相談窓口に行けない場合などにはお申し出ください。

(2004年10月7日掲載)

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First drafted 2004 October 7.