先輩に乾杯!

公認会計士からカフェオーナーに
 下條 光裕さん


下條 光裕さん
しもじょう・みつひろ
 1974年10月埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校卒。1997年商学部卒業。同年10月、公認会計士試験合格。同月、監査法人トーマツに入社し、2000年12月退社。2002年2月14日、(有)メルティング・ポットを設立し、同年7月7日、カフェMelting Pot開店。
 ■Melting Pot 東京都港区南青山3-8-26 03(5775)5377

 大学時代からの念願だった公認会計士の職を辞して、南青山のカフェを経営する下條さんが今回の先輩! 好きなものに囲まれた衣・食・住空間の中に身を置く心地良さを味わう日々を送っている。ドラマティックなことでなくても、心地良い日々の積み重ねは、きっと満ち足りた気分にさせてくれるに違いない。下條さんが追い求めたものってなんだろう?

顔で負けたら、センスを磨く。自分をうまくプロデュース

 中学、高校のときはハンドボール部。高校の成績はオール10。スポーツも美術も勉強もできた。正真正銘の文武両道。完璧な自分を求めたが、「美男美女には顔では負ける。自分の見せ方を考え、センスと中身で勝負しようと思いました」。勉強と創造の両輪が自分を支えていた。進学の際は選択肢を狭めず、ビジネス全般を学ぼうと、指定校推薦で商学部に入学。公認会計士を目指したのは、「手に職」系でやりがいがあるし、推薦で入って大学受験がなかったので、力試しがしたかったという気分もあった。1年の終わりから資格試験の専門学校にも通いつつ、ゼミやサークルも続けた。ゼミでは幹事長。大学の勉強もこなし、卒業まで奨学金も獲得。「資格試験の勉強を軸に、サークル、ゼミ幹までバランス良くこなしてました」

ざっくりしたタイムスケジュールが大事。30歳までに何か自分の足跡を残したい!

 公認会計士時代には、監査、株式公開支援、企業評価などを担当。多忙ながらも居心地は良かった。しかし1年間仕事をして、先が見えた。「もっと自分じゃなきゃできないことをしよう」と思い、そして、悩んだ。身近に上手はいるもので、自身の兄は大学院を出た後、大学講師になる直前に急遽ゼロからパン職人に転進した! 弟は「こんな生き方もありか」と思った。幼稚園のときに父を亡くしているが、母は転職のときに「やってみたら。決めちゃったならしょうがない」と背中を押してくれた。公認会計士の仕事を非常勤として続けつつ、専門学校でフランス菓子、フランス料理、お酒、コーヒー・紅茶を1年半勉強する。「大切なのは、夢の到達点から逆算してざっくりしたタイムスケジュールをつくること。途中で息抜きしても方向があっていればいい。努力積み上げ型だと、方向を間違えると、努力自慢で終わっちゃう」

やってしまえば、全力でやるから、なんとかなる。

 お店の内装やインテリアもすべて自分の好みのものを選んだ。「心地良い生活自体を提案したい」と五感すべてを総動員する。経営を軌道に乗せるまでは大変だったが、現在は仕入・調理・経営など何から何まで一人でこなしつつも、マイペースに日々を送る。会計士時代の知識と経験が経営面では役立つ。会計士の時より収入は減ったが、「今やりたいこと、好きなことを仕事にできてとても楽しい」と言い切れる。「大変なことはあるが、補って余りある。若いので失敗しても大丈夫。僕は失敗しないようにやってるけど。社会人の経験があれば、大きく外すことはない。ビジネスを知っているのは大事。学校の日々の勉強も大切です」。

今の自分を幸せって言い切れる?

 店舗を増やすことも考えたが、何店舗かやるとどうしても管理側にまわってしまう。人との交流も減る。それではせっかく店を開いた意味がない。「一店舗だけでマイペースでやるのが気に入っています。いろいろな人のつながりもでき、広がりは無限です。この世界で死んでいっても幸せだと思えます」

(2004年6月24日掲載)

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First drafted 2004 June 24.