先輩に乾杯!

成長率業界ナンバーワンの「早稲田アカデミー」社長
 須野田 誠さん

須野田 誠さん
すのだ・まこと
 1953年広島県福山市生まれ。早稲田大学法学部在学中に設立した(株)早稲田アカデミーは、現在合格実績においても、会社規模においても日本屈指の進学塾に成長。1999年に上場を果たし、現在東証一部上場に向けてIPOの準備中。昨年『わが子を救う教育サバイバル術』(グローバル教育出版)を出版。現在、本学大学院経済学研究科修士課程2年に在学中。白木三秀教授の研究指導で修論のテーマは「教育とキャリアとの関連」で悪戦苦闘中。2002年新学期より、淑徳大学で念願の「青年起業家論」を教えている。「400人教室が前列から一杯になる」人気講師でもある。学部時代は、「人物研究会」に所属していた。
 大きな資本も場所も特別な資格もいらない「塾」の経営は、今も昔も"苦学生の生きる道"だ。さらに現在では、長引く不況で就職も思うようにいかず「手っ取り早く起業」する手段と考える学生もいるだろう。どこの大学を出ても「将来の保証」はない時代。学生、専業主婦、退職者と「塾の起業」は、生涯を通じて誰にでも可能性のある選択肢だ。  しかし、今回は同じ一部屋から始めたのに大きく差がついた企業としての塾。しかも上場学習塾21社の中で、売り上げ前年比121%でナンバーワン成長率を誇る(株)早稲田アカデミーの須野田誠社長の登場だ。実は、紙幅の関係で掲載できなかった話にも、捨てがたい魅力があり残念! 功成り名を遂げて、なお、激務の中を、本学経済学研究科修士課程で学んでいる。そんな姿から、「肩書きや経歴をすべて取り去っても残るもの」をぜひ学び取っていただきたい。

「教えるおもしろさ」にはまり、部屋を改造して塾を始めた。
…学生起業も悪くない!

 定番通りの「苦学生の生きる道」として大学2年の時に生徒20人で始めた塾。教えることが楽しく子供たちも良くなつき、口コミで生徒が増え続けたが、一緒に教えていた友人らは、司法試験に受かったり研究者の道へ進んだりして次々に辞めていった。結局、友人から託された子供たちへの責任は、塾経営を言い出した自分で取ることになった。塾を始めてわずか3年で生徒数は1,000人、教室は4つになっていた。
 「僕自身、家庭教師経験程度で会社勤めの経験もなく、銀行の信用もゼロからの出発。しなくてもよい苦労も経験してきたので、やる気のある学生には、起業のノウハウをすべて教えてあげたい。既成概念にとらわれない無の状況からの学生起業、いいじゃないですか!」

起業家は企業家として「社員に誇りを持たせたい」と考える
 現在、全国に70校、生徒数約2万人、正社員数420人(今年度新卒入社は48人)、時間講師などを合わせれば1,500人を超え、資本金4億6,700万円で株式を店頭上場している堂々たる企業となった。生徒や父母の信頼も厚く、毎年実績も上がり、子供たちと合格の感動を熱く分かち合える素晴らしい仕事だと自身も信じている。しかし、世間一般にはまだ、塾といえば「受験競争から生まれたアダ花」と見る人もいる。「だから、社員のためにも、外形的には健全で安定した経営を続け東証一部上場を目指したい。企業の内容としても、むやみに働き続けるのではなく、きちんと休みも取れるような福利厚生面の充実もはかり、『会社としての誇り』を社員全員に持ってほしい」と、子を思う父親の語り口だ。

超多忙な経営者が、教え(淑徳大で「起業論」)、学ぶ(経研M2)
…3足のわらじを使い分ける意味

 「経営には、昔ながらの根性とか粘り強さといった泥臭さも必要。でも、それだけでは企業は発展しない。経営学という学問体系を謙虚に学び、世界中の企業の失敗事例等から成功の鍵を探し、理論的な経営戦略を構築する必要がある。とかく起業家はワンマン経営者となりがちで、知らないことを学ぶ楽しさや学ぶ厳しさから縁遠くなる。どんなに忙しくても若い学生に自分の体験に基づく経営論を学術的理論的に教えるのは楽しい。でも教えるからには大学院レベルで常に最新の研究等を学び、経営にも授業にも生かしたい。修士号取得後も早稲田で研究を続けたい」

(2003年5月29日掲載)