短期集中連載

魅力ある職場としての OECD <全3回>
 第2回 OECDの役割とわが国が抱える問題点

4月のフォーラム
4月のフォーラム
copyright:OECD PHOTO OCDE
OECD本部のあるシャトルでの会議の1コマ
OECD本部のあるシャトルでの会議の1コマ
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早稲田大学商学部教授 山本 哲三

 OECDの基本的な役割―先進国経済の成長と途上国の開発援助による世界経済の発展―について、それはG8、WTO、IMF、および世界銀行も取り組んでいる課題であり、OECDの役割は徐々に低下しているのではないかと感じる読者もいるかもしれない。しかし、それは短見である。たしかに後者は政策の具体性、実効性で勝るが、基礎データの収集、調査、分析、予測などの能力においてOECDに匹敵するほどの力を持っていない。両者は相互補完的な関係に立って国際的に経済政策、金融・財政政策などの展開を図っているのである。

 最近のG8やWTOの国際会議場周辺での自由化反対デモを見ると、OECDにも先進国エゴに陥らずどこまで途上国の開発支援を行ってきたのか、反省すべき点はあると思う。しかし、OECDは米国、EU、日本の主張の違いや対立を緩和するクッションとしての役割を果たしており、その使命は今後ますます重くなっていくと予想される。

 OECDの上述した本部活動を支える財政も、この間、大きく膨らんできた。現在、年間予算規模は約300万ユーロ(約400億円)に達しており、そのうち日本は約24%を分担している。これは米国(約25%)に次ぐ高い比率であり、GDPベースで見ると突出した負担になっている。近年、OECD自体も行財政をスリム化すべきであるとの声に促され、内部でコスト対効果や効率的な運営が試みられているが、調査・分析のレベルを落とさないで予算を削減するのは容易ではないであろう。

 さて、問題は、わが国がOECD活動をとおして得ている利益(政策形成での発言力など)はその負担額に見合ったものであるかどうかにある。残念ながら、この点ではイエスといえないのが現状である。イエスと答えるためには、日本が国際的に政策イニシアティブを取り、アクション・プログラムをリードするといったポジティブな活動が望まれるが、あまり期待できそうにない。その一つの原因は、OECD本部の日本人職員の数の少なさ、とくに政策形成に関与する専門家層の薄さにある。日本人職員は大多数が政府派遣の短期滞在型の職員であり、そのため政策形成に関与する部課長クラスの永久職員が皆無に近いのである。

 これを是正すべく、外務省は日本人職員の増員策を考えているようだが、従来のやり方を改め、政府派遣の人材はOECD代表部(各省庁からわが国の政策を説明し、意見を述べる代表者が送り込まれている)に集め、本部職員に民間人(専門家職員)を増やすといった改革が必要なのではないだろうか。

(2003年7月10日掲載)