よくわかる! |
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研究最前線 よく分かるCOE(3) 演劇の総合的研究と演劇学の確立
<膨大な蓄積資料を世界に公開演劇ネットワークのメッカに> 本学は坪内逍遙以来の比較演劇研究の伝統があり、多くの演劇人・研究者を輩出してきた。また、東洋唯一の本格的・総合的な演劇研究機関の演劇博物館には、資料の収集、学術フロンティア等先進的研究の実績がある。 「これらの資料やノウハウのさらなる有効活用を模索しました。そして、単に各々の研究を深めるだけでなく、膨大な資料から世界の演劇を体系化すると同時に、貴重な資料をもっと公開して、世界の演劇研究ネットワーク構築を目指したのです。本学には演劇を専門にしながら、演劇の講義を担当していない教員だけでも30人以上います。海外からの研究者と共に、彼らの力を結集すれば、世界を網羅する研究ができるという確信から、このプログラムが始まりました」 <世界初! 演劇に関わる研究を統合した演劇学を確立させる> 「舞台はナマモノ」と言われる。ある意味、上演したら消え去る「演劇」を学問対象とするのは難しく、従来の演劇研究というと、戯曲の研究なら戯曲のみ、舞台装置の研究なら舞台装置のみと、それぞれの範囲が限定されていた。 「原因を大まかに言うと、演劇の理論研究と実技研究を融合できなかったんですね。海外でも同様です。しかし、映像技術の革新で、舞台を記録して、隔たってきた2つの分野の橋渡し役に利用できるようになってきた。また、演劇は文学等の芸術諸学はもちろん、歴史、都市計画、劇場運営の研究等を包摂する大きな可能性を秘めています。それらを総合的に研究する演劇学という新しい学問を確立して、世界的な演劇研究の拠点形成を目指すのが目的です。既存の研究分野の壁を壊した新しい学問の概念が必要なのです」 <アーカイブ資料を基盤にして研究成果を世界に発信、社会との関わりを追求する> 目的達成のため、演劇博物館内に演劇研究センターを設置し、複数のプロジェクトを次の4つの基本コースにまとめ、研究を進めることになった(図1参照)。 (1) アーカイブ構築研究 世界から集まった資料をアーカイブ化し、データベース構築を進め世界に発信する。この研究が、全体の研究の基盤となる。 (2) 演劇理論研究 演劇情報を交換、学術交流、研究集会等を通じて、現在の演劇諸分野の在り方を解明し、新たな演劇理論を打ち立てる。 「例えばギリシア悲劇と日本の能は確かに違う。だが、両者に共通する評価基準が持てれば比較して研究することができます。その評価基準を広げて世界の演劇を捉える新たな理論を研究していきます」 (3) 古典演劇研究 主として能・文楽・歌舞伎等、日本の演劇を研究。資料の復元や古典を翻訳して海外に発信する。また、各々の「家」が流派で独自に追求してきた演技要素を単元化し、演出資料を体系化して、古典演劇全体を捉えた研究を目指す。 (4) 芸術文化環境研究 従来ほとんど考察の対象にならなかった演劇と社会のかかわりを研究テーマにする。 「バブルのハコモノ建設で、各地に充分に活用されていない劇場が増えました。社会の中の劇場の理想的な在り方や運営等、劇場を取り巻く環境を考えていく必要があります。もちろん、そこでは机上の研究から離れたソフト面(舞台、演出方法、演技等)も扱います。この新分野の立ち上げ、人材の育成には、前述した3つのコースの研究成果が不可欠。その意味で、本プログラムの最終成果とも言え、今回の目玉ですね」 <世界の中心を目指す拠点には視野の広い人材が不可欠!> COEは人材育成にも重点が置かれる。今後、この研究に参加する学生を文学研究科芸術学(演劇映像)専攻博士後期課程のみならず、本属の専攻に対する一種の大学院副専攻の位置付けで、海外からも学生を公募する。また、大学院に前述の芸術文化環境研究コースを新設する計画だ。 「今後の演劇研究を牽引する人材には、広い視野を持って行動し、世界に成果を問う姿勢が必須。たとえ既存の学問分野から研究を始めていなくても良い。学生には研究対象を問わず、留学させて演劇の奥深さを感じさせたいですね。競争原理の下、奨励研究費や留学制度を充実させて支援します」 世界へ向けて発信し続けることが、本プログラムの重要なポイント。早稲田発の「演劇学」が世界に浸透する日も近い!
■「演劇の総合的研究と演劇学の確立」推進担当者
(2003年1月16日掲載)
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