書評
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『東アジアの日本大衆文化』石井 健一 編・著
蒼蒼社2001 年2 月発行 価格本体2,600円+税

<評者>
小川利康
おがわとしやす
(商学部助教授)
1963年生まれ
1996年4月嘱任
担当分野:中国現代文学
東アジアに浸透するニッポン

 最近、日中国交回復30周年を記念し、北京でGLAYの五万人コンサートが開かれた。コンサート会場の熱狂ぶりは日本のマスメディアでも取り上げられたから、記憶に残っている諸君も多いことだろう。こんなにファンがいたのか、と驚いた人もいるだろう。

 アンケートによれば、中国に対する好感度は10年来下降の一途をたどっているという。その一因として戦争責任問題をめぐる軋轢があると指摘されているが、むしろ私は日本のメディアが提供するアジア情報が余りにも少ない、あるいは相当に偏っているためではないかと思っている。その一方では、中国、香港、韓国、台湾にとって、日本という存在は我々が意識している以上に大きく、しばしば情報量の不均衡が生ずる。相当な「片思い」状態である。このため誤解、感情的な行き違いに発展しやすい。決して望ましい状態とは言えない。

 上海を歩けば、至るところで日本人歌手のCDが売られ、日本アニメのビデオCDが店先に並んでいる。深夜コンビニに入れば、店員のオバサンが字幕つきで「欽ちゃんの仮装大賞」を見て大笑いしている。我々の想像以上に、「ニッポン」は彼らのありふれた日常の中に浸透しているのだ。

 これほど「ニッポン」が浸透したのはなぜか?その問いにきちんと答えてくれるのが本書である。「哈日族(ハーリーズー)」や「キティ」ブームを社会学的に分析し、その文化受容が国ごとに異なることを教えてくれる。日々当たり前に「消費」され続けるポップカルチャーだが、改めて他者の眼差しの中で見つめ直してみてはどうだろうか。

(2002年11月21日掲載)

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