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研究最前線:よく分かるCOE(1) アジア地域エンハンシング研究センター
この「よくわかる」コーナーでは順次COE プログラムを取り上げて、それぞれのCOEでは、どんな研究をどのように進めているのか、また、どんな教育を目指しているのか紹介する。 第1回は、「アジア地域文化エンハンシング研究センター」の拠点リーダーの大橋一章文学部教授にお話をうかがった。 <21世紀型の学問への脱却〜> 今回、COEプログラムの審査では、研究の独自性や将来性に重点が置かれた。それだけではなく、個々の研究というよりも研究拠点を形成し、より広がりのある研究体制が求められた。「20世紀型の学問体系、つまり例えば人文学分野では日本史、心理学、フランス文学などといった狭い専門分野に囚われているのではなく、21世紀型の学問は従来型の学問領域の枠を取り払っていかなければならない。今までどおりではダメだという思いが強かったのです。実際、今回COEプログラムに採択されたテーマは名称からどんな学問なのか、どんな研究をしているのか分からないものが多い。文学部・文学研究科のアジア関連の研究者は、六十人以上もいて、これは教員の約三分の一に当たります。換言すれば、文学部・文学研究科の代表的研究分野は『アジア学』と言えます。これら多くのアジア学を専門とする研究を一括りにできないか、という発想からスタートしました」と大橋一章教授。 <社会の多様化に対応したアジア学へ〜 地域文化に新たな価値を発見したり、価値を高めたり> 東洋史学、東洋哲学の研究者であった津田左右吉以来、本学には脈々と中国古典学研究の蓄積と伝統が受け継がれている。「明治以降20世紀まで、東洋学と言えば、中国学でした。とくに中国の古典学で、世界でもこの分野をリードしたのが日本の研究者でした。しかし冷戦崩壊、アジア地域での新しい国家の出現といった大きな変革の流れの中で、『アジア学=中国研究』だけでは立ち行かなくなってきました。そして社会の多様化に伴い、アジア諸国・諸地域を研究対象にするようになりました。例えば、アジアの地域文化で、その土地の人が分からなくても、外部から調査に来たことで今まで知られていなかった価値を発見したり、また価値を高めたりすることがあります。このようなことが、これからの東洋学研究者の使命であり方法論であると認識しています。『アジア地域文化エンハンシング研究センター』のエンハンシングとは、最近国連やユネスコでよく使われている言葉です。従来は何の価値も認められなかった地域文化に価値を認めたり、新たな価値を見出すことを目指しています」
実際の研究では、まず、中国・四川地域文化の理論モデルを構築する。これは、東洋史専攻の長江流域文化研究所、美術史専攻の奈良美術研究所、中国文学専攻の中国古籍文化研究所の研究成果を中心に構築する。 ○長江流域文化研究所:成都平原に形成された巴蜀文化の形成過程と民族との関係、および秦漢帝国成立以後の巴蜀文化の変容過程を検討する。 ○奈良美術研究所:仏教東伝の新たなルートとして四川に入ってきた仏教美術が独自の地域様式を形成する過程を検証する。 ○中国古籍文化研究所:正式な書籍には含まれない巷間の印刷資料によって、庶民文化の生成・流布・変遷・交流の諸相を検証する。 この四川モデルを手がかりにして、四川の地域文化について諸方面から考察を行う。そしてこの研究成果を踏まえて、さらに西北の乾燥地帯(オアシス文化)、北方の草原地帯(遊牧文化)、北東の森林地帯(狩猟文化)、東南の亜熱帯(稲作文化)の地域文化とも比較研究を行う(図1 参照)。この研究は大学院文学研究科六専攻による共同研究であるが、プロジェクト研究所を単位に有機的な研究が実施される(図2参照)。 <研究だけじゃない。教育でも21世紀型 〜世界に通じる若手研究者育成にも力を注ぐ> 従来は人文科学系では博士学位取得はなかなか難しかった。「このCOEでは、本学のみならず他大学の若手研究者にも門戸を開放し、五年以内に課程博士論文を完成するための高度な研究指導を実施します。研究のみならず、教育にも心血を注いでいきます」と力をこめて大橋教授は語った。 ■アジア地域文化エンハンシング研究センター
(2002年11月14日掲載)
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