こんな授業!どんなゼミ?

2002年度前期分 目次




Value for money からValue for positive health へ
―自分が変わり、そして社会が変わる―
テーマカレッジ 田村貞雄ゼミ

法学部2年 蒲生 忠明

 私が所属しているのは「資本主義と福祉の共生」というゼミだ。人員構成は田村先生とTAの里見さんをはじめ、理工を除く全学部から集まった計19人だ。学年は1年生が多く2年生も数人いる。
 内容はタイトルどおりだ。資本主義と福祉という、無条件に他方を受け入れるわけにいかない両者の止揚は現代社会の急務である。その面では最先端のことを取り扱っているゼミといえる。
 スタイルは毎週1人の発表者によるテクストの解説だ。出席者が発表に対して疑問・質問を投げかけ、4人のゼミ幹事がそれをさばき、討論が行われる。ここで重要なことが2点ある。ほぼ全学部から集まった人の意見を聞くことで、自己にない視点からものを見る機会が生まれることが1点。もう1点は先生や里見さんという専門家によるしっかりとした指導を受けられることだ。友人間の議論やサークルなどでの討論と違い、しっかりとした裏付けのあるアドバイスを受けられる。これらはテーマカレッジの大きな特徴といえる。
 テーマカレッジでもう1つ重要なのは小回りが利く点だ。先日もゼミ主催でキッコーマン副社長の茂木賢三郎氏をお招きして講演を行っていただいた。茂木氏は現代日本の問題点と解決法を語り、その後、我々の質問を受付けた。そこでも経済問題や死刑制度についての賛否などが投げかけられた。茂木氏は自己の信念と理論的な説明で真正面から答えてくださった。現代社会の第一線で活躍する一流の方を招いての講演・質疑応答が可能なこともテーマカレッジの利点だ。
 資本主義と福祉の止揚は困難だ。30年もこのテーマを追ってきた田村先生ですら「蟻の歩み」とおっしゃる。しかし諦めず「蟻の歩み」でも、皆で協力してさまざまな立場からの意見を聞き、考えていくことで、自己が確実に変わっているように私は感じている。

田村先生(写真左奥)の大学時代の後輩にあたる茂木賢三郎氏の講演会。テーマカレッジ生だけでなく、先生のゼミ生、院生なども多数参加した

(2002年7月25日掲載)



グローバルリテラシー演習I〜「国際感覚」修得への試行錯誤〜

中野美知子教育学部教授
中野美知子教育学部教授
プロジェクターに映る韓国・高麗大学の英文科の学生は、積極的に英語で意見を述べ、議論の中で国際感覚が身に付く
プロジェクターに映る韓国・高麗大学の英文科の学生は、積極的に英語で意見を述べ、議論の中で国際感覚が身に付く
法学部4年 三井有士

 「グローバルリテラシー」とは何であろうか。一言で言えば、「国際感覚」であろう。W杯に象徴されるように、国家間の垣根が徐々に取り払われてきた21世紀、世界に通用する力を身に付ける重要性はますます高まっている。

 しかし、その国際感覚を身に付けるのは容易ではない。何をすればよいか分からない、語学力が足りない、留学すれば身に付きそうだが、費用がかかる…。

 この授業はそんな悩みを解消して「国際感覚」を身に付けることができる、もっとも身近な手段である。主宰は教育学部の重鎮、中野美知子教授と中野研究室の大学院生(TA)たち。参加者は今春入学した1年生から学士入学生、現役の高校教師まで多種多彩である。そして欠かせないのが、姉妹校である「韓国の早稲田」高麗大学校英文科の学生たち。彼らはITを通じて我々と一緒に学習を進める仲間である。

 この授業では、国際感覚修得のためには何でもやる。英字新聞を読み、要約する。その内容について高麗大とテレビ会議で議論を交わす。彼らとはまた、授業外でチャットもする。円滑なチャットのため、タイピングを練習する。「国際感覚は1日にして成らず」である。

 慣れると英語への抵抗感が薄れてくる。楽しさを感じるようにさえなるかもしれない。でも、まだ何かが足りないことに気付く。韓国の学生は英会話もうまいし、自分の意見を積極的に言う。男子学生の半分は韓国男性の義務である兵役を経験している。徴兵制の話題になると、相手の顔が引き締まった。こちらも迂闊なことは言えないが、意見ははっきり言わねばならない。韓国文化の基礎知識も必要だし、異文化に暮らす人の気持ちを読みとる感覚も必要である。そうして課題をこなし、教授やTAに叱咤激励され、韓国の学生と交流を深め、1年が過ぎる頃には「国際感覚」を体得した感触を得られることだろう。

(2002年7月18日掲載)



人間科学部人間健康科学科菅野研究室
 心理療法を学ぶ〜体験を通して「素手で考える」〜

人間科学研究科修士課程1年 近 紀子

 人間健康科学科の菅野純ゼミは、主に子どもを対象とした心理療法を学ぶゼミであり、今年も40人近くの3・4年生が学んでいる。

 このゼミには、通常のゼミ以外に、いくつかの恒例となっている活動がある。その活動とは、春と夏に行われる宿泊研修、早稲田大学百キロハイクでのボランティア等である。

 特に、長野県の知的障害をもつ方の入居施設で、入居されている方と3日間をともに過ごす夏の宿泊研修は、多くのゼミ生にとって忘れられないものとなる。

 ゼミ生のほとんどが知的障害をもつ人と過ごすのは初めての経験であり、戸惑いながら参加するのだが、ゼミ生に向かってまっすぐ心を開いてくださる方々と出会い、触れ合うことで、人と心を通い合わせることの良さを深く考える機会になるからだ。

 このような活動に共通するのは、実際に人と触れ合うことを通じて、ゼミ生一人ひとりが、人に対して自分の心を開くこと、人のありのままを受け入れることを体験し、自分自身の心の在り方や人を援助するということの意味を考えるということである。

 心理療法は、心理学を学問的基礎に置き、人を援助することを目的とするものである。その心理療法を学ぶ際、理論や技法を学ぶことはもちろん重要なことであるが、援助者としての自分自身の心について考え、理解し、育てていくことは、その基礎となるのだ。

 菅野ゼミは、理論や技法の学習に加えて、その基礎となる心を、先の活動のように、自分たちで体験することを通して考え、育てるゼミであると思う。菅野教授の言葉を借りれば、「素手で考える」ゼミ、つまりゼミ生一人ひとりが、自ら身をもって体験することにより、心理療法という学問の本質を見極め、さらには本当の自分をも探究することのできるゼミであると言えるだろう。
春の宿泊研修にて
春の宿泊研修にて(筆者は画面下から2列目右端)




〜高校生から見た「入門ラテン語」〜

宮城先生
ひたすらマイクでしゃべり続ける宮城先生は学生の人気者
教室の中は学生でいっぱい!
教室の中は学生でいっぱい! 授業中は活気に溢れている
本庄高等学院2年 菊池 智史

 この授業は今のところ文法の説明が中心である。文法と聞いて敬遠する人もいるかもしれない。しかし、その文法の説明の中にも古代ローマの文化の話や文学の話があったりと幅広い。この他にも担当の宮城徳也文学部助教授がさまざまな知識を提供してくださり、とても有意義な授業が展開されている。先生は英語、ラテン語の他にも多くの言語に堪能でいらっしゃるので、さまざまな例を用いて説明して下さる。よって、より一層理解を深めることが出来る。また、その文法の説明の中に出て来る単語は皆どこかで見たことがあるようなものばかりだ。「もしや!?」と思うとやはり先生が「これが○○の語源になった語だね」。僕は「この語にはこんな意味が隠されていたのか」と感心させられる。この瞬間、喜びに満たされる。これが知ることの喜びかとしみじみ思う。授業中は、このような新しい発見の連続なのだ。

 例えば「アルバム」はラテン語の「白い」という語が語源になっている。なぜ「白い」が「アルバム」なのか? それは「アルバム」は写真を「白い」ところに貼るものだからだそうだ。ラテン語にあまり興味がないという人でもこの「入門ラテン語」ならこのように楽しく受講でき、有意義なものになるであろう。だから、より多くの高校生にも受講してもらいたい。

 とは言っても高校生にとっては高校の勉強もあり、大学の授業を受けるのは大変である。しかしこの講義にはテストやレポートと言ったものはない。毎回簡単な宿題が出るだけである。よって、他の科目よりは気軽に受けられる。また、大学の授業についていけるか心配だ、という人もいるかもしれないが心配は無用だ。高校生にはTAの方がついてくれる上、Eメールでの質問も可能だ。

 この経験は決して無駄にはならないと確信している。ぜひ多くの高校生にこの「入門ラテン語」に限らず、高大一貫教育プログラムに参加してほしいと思う。そのためにも、科目数を増やすなど、今後、このプログラムをさらに強化してもらいたい。

(2002年7月4日掲載)




「生涯学習概論」〜社会教育とは〜

教育学部1年 瓦田 尚

 この生涯学習概論の授業は、教育学部教育学科社会教育専修1年生の必修授業として社会教育専修の先生方6人(朝倉・矢口・前田・小林・楠元・坂内先生)が毎週交代で授業するという少し変わった形で行われている。約60分を先生方の講義に充て、残りの時間を質疑応答や討論の時間に充てるのが原則であるが、先生の講義に熱が入り、質疑の時間が取れないなどということもしばしばである。また、この授業の特徴として受講を保護者、他学部や一般の方にも広く開放している、ということが挙げられる。

 「教育とは幸せになるための学問なんだ」。今年度最初の授業で朝倉征夫先生がおっしゃった言葉だ。私たちは、つい教育<Cコール教師の仕事≠ニ思いがちだ。しかしそれは必ずしも正解ではない。たくさんの人々が生活しているこの社会にあって、人と人とのつながり、というものは避けて通れない。このつながりを築く中で必要になってくるのが教育、特に私たちが学んでいる社会教育なのである。よって授業で取り上げるテーマも学校五日制のような問題はもとより、情報や国際化といった今日的な問題や、朝食やケータイなどまさに私たちの身近にある問題まで非常に多岐にわたっている。6人の先生方それぞれの社会教育に対してのアプローチは、授業という枠を越え、私たちの生活に直結するものであったり、先生方の人間性が垣間見えるものばかりだ。見渡せばそこに「社会教育」がある。社会教育とは身近で、幅広い学問なのだ。

 このように社会教育の醍醐味を凝縮した授業「生涯学習概論」、まだスタートしたばかりだが、今後どんどん活発なものとなっていくだろう。
この日はホスピタリティや売買春の問題を取り上げた
この日はホスピタリティや売買春の問題を取り上げた

(2002年6月20日掲載)



「国際行政学」〜講義中間報告〜

福田耕治教授
福田耕治教授
先生の話に聴き入り、真剣にメモをとる学生たち
先生の話に聴き入り、真剣にメモをとる学生たち
政治経済学部4年   羽座 伸治

 国際行政学とは、従来の国家が一国では解決しきれない地球規模の問題(安全保障、環境問題、貧困の問題、人権など…)に対して、国際化する現代行政がどのように対応し、国際公益を実現していくかを分析していく学問領域である。

 講義が開始してからまだ1カ月半しか経っていないので、僕がこの分野のエッセンスを完全にモノにしたなどとはとても言えない。そこで、中間報告として僕なりにここまでの講義の内容をざっとまとめてみると、次のようになると思う。(1)先述した地球規模の問題と、そこから導き出される国際行政学的な課題と視点、(2)国際行政の資源とそれが扱う国際公益・地球公共財の概念、(3)国際行政の発生と歴史的発展過程、(4)国際行政理論史、(5)国際機構とは何か、そしてその関連で、(6)ニース条約とEU拡大、(7)国際連盟の創設と国際行政。担当の福田耕治先生が、このような内容についてパワーポイントを用いて僕たちの視覚に訴えながら、関西弁のイントネーションで滑らかに講義を展開される。また、さまざまな定義のむずかしい理論枠組みに対して先生がなされる明快な説明には圧倒される。

 これからの国際行政が国と国との関係から成り立つ行政なのか、超国家的な機構が扱う行政なのか、それともその二者が混在して成り立つものなのかは分からない。しかし、ここまでの講義から判断すると、国際行政学がこれまでに起こった、そして現在起こっている事例を分析し理論化することによって、結果的に現実に対して何らかの影響や展望を与えることが出来るはずであるという強い思いを感じる。その意味でここまでの講義内容は僕にとって非常に共感できる、有意義なものになっている。

 これからの講義の展開は、国際機構の制度面の分析、国際機構行政、加盟国行政とNGOの関係、国際公共政策の具体的な事例、などを取り上げていく模様である。

(2002年6月13日掲載)



テーマカレッジ奈良美術研究 「法隆寺の美術」〜法隆寺の謎に迫る


大橋 一章(かつあき)教授
政治経済学部1年 牧野 由夏

 皆さんの本年度の登録科目はどんなものだろうか。登録の際は学部の備える科目だけでは物足りない、自分の専攻の他にも興味のある分野があるのだが、などの迷いを誰しもが多少とも感じていると思う。私もその一人で、開発途上国援助を主に学びたくて入学したのだが、文学部の東洋美術にも大変興味があった。米国の大学であれば、メジャーを経済、マイナーを美術にしたいところだ。こうした気持ちに答えてくれるのがテーマカレッジである、と今実感する。

 私の選んだカレッジは奈良美術、そしてその中の法隆寺の美術という科目である。法隆寺という世界最古の木造建築は逸品の美術に溢れる。多くの謎を含むそれらの美術品への探求を通して、古代人の信仰や社会を探ることが目的だ。

 担当教授は文学部の学部長である大橋一章教授だ。授業の魅力は大橋先生の深遠なる学識を授かることで、美術品への見る目が変わり、より愛着が深まることである。仏様のように常に微笑みをたたえておられ、講義は立て板に水のごとく、朗々と淀みない語りだ。かといって、決して一方的なものではない。たちどころに学生の名前と出身を覚えてくださり、「新潟の牧野くん」という具合に指名しながら、対話式で進めていく。高校時代に丸暗記したが忘れかけている知識を一つひとつ引き出し、紡ぎ合わせ、膨らませ、専門性の高い仏教美術へと昇華してくださる。初めての授業の後、充実の90分にすっかり感激し、同じ学部出身の友人と喜びを共にした。

 これまでのところ、法隆寺金堂の釈迦三尊像、薬師如来の光背の銘文、五重塔の心柱の謎について勉強した。今後は、かの有名な法隆寺再建非再建論争に迫り、そして秋には奈良へカレッジ全員で研修旅行に行く。本物を前にしての大橋先生の授業を今から楽しみにしている。
毎回スライドを見る前の1コマ
毎回スライドを見る前の1コマ。なごやかな雰囲気で授業が進む

(2002年6月6日掲載)



ア・ロット・オブ・アメリカン・ミュージック
―「英文学研究4」の授業を「聴いて」―


バーダマン先生

大きな教室は大勢の学生で埋めつくされる
第一文学部英文学専修2年 日下佳子

 文学部、そして英文学専修で授業というと、洋書や英語の書いてあるプリントを読んで講義を受けたり発表したりする、というイメージではないだろうか。

 少なくとも私はそうだった。辞書と首っ引きになって英文と取っ組みあいをし、満員電車の中で原文のハンドアウトを頭と体をひねりながら読む。確かにそんな準備を要する授業もある。それはそれで英語力もつくし体力もつくし、いいことではある。が、世の中は広く文学部の授業は数多い、そうでない英文学の授業もまた存在する。それがここで紹介する「英文学研究4」である。

 この授業にテキストはない。必要なのは耳と感性だ。時たま目も要る。とにかくこの授業は音楽を聴く授業なのだ。たくさんのアメリカの音楽を聴いて、何かを感じ取れればいいのだ。授業ではこれまで、口伝えでさまざまに変化するインディアンの子守唄から、黒人の子どもの遊び歌、アメリカ国歌、スピリチュアルなどを聴いてきた。それらの中には普段めったに触れることのないような曲や音源が非常に珍しい曲などもあり、アメリカ音楽の幅広さを知ることができる。

 講義ではそれらの曲を聴き、その歴史的背景や政治的背景、文化的背景に焦点をあて理解を深めていくことにより、今私たちの周りで流れている洋楽が、どのような流れを辿ってきたのかが分かるようになる。知っていて聴くのと知らないで聴くのとでは、音楽の味わい方がまた違ってくる。そして知ることにより感性は磨かれるのだ。

 英文学を音楽からアプローチしていくというこの授業、これからはR&Bやカントリー・ミュージックなども取り上げられるそうで、またしっかりと授業を「聴」かなくてはならならないのである。


この授業は、堀内正規教授がコーディネーターで、バーダマン教授、ユングハイム教授、村田薫教授の4人で担当する。

(2002年5月30日掲載)



国際情報通信研究科 三友仁志ゼミ
情報通信技術が経済、社会に与える影響 ―理論分析と実証分析を通じて―

国際情報通信研究科国際情報通信学(社会環境コース)専攻
修士課程2年 三本松 憲生


 三友仁志ゼミでは、情報通信技術の導入および発展が経済、社会に与える影響をテーマに研究を行っている。近年、インターネットや携帯電話などの情報通信技術の発展は目覚ましく、その普及に伴い明らかに社会が大きく変化しつつある。三友ゼミの学生はそのような情報通信技術が社会、個人に与える影響を今日的な問題だけではなく、より本質的な問題を探究するために、経済学的アプローチのみならず、さまざまなアプローチを活用して学際的研究を行っている。

 三友ゼミの特徴は、理論的な分析のみならず、実証的、実験的な分析を重視していることである。その一例として、現在、三友ゼミの学生は、ネットワーク会議システムを利用し、沖縄県宮古島と東京との間で学会シンポジウムを開催する準備を進めている。ネットワーク会議は距離の制約を解消し、都心への集中の緩和や遠隔授業、遠隔医療などへの応用が期待されている。ネットワーク会議の導入は距離の制約を解消するのだから、人々はその利益を享受できるはずだが、現状は想像とは異なる状態にある。これには技術的な制約も考えられるが、情報の送り手、受け手、また準備する側に何か問題があるとも考えられる。そのため、同学会においてネットワーク会議をどのように感じたかというアンケート調査を、来場者や講演者に行う予定である。このような分析を行うことによって、理論的分析では発見しにくい問題を発見できる。同時にその結果を理論分析に活かすことも可能になり、理論と現実のギャップの解消につながる。

 情報通信技術が本当の意味で社会に役立てられるためにはどうしたら良いのか、三友ゼミではそれを探究したいと考えている。

(2002年5月23日掲載)
研究室卒業パーティーにて
研究室卒業パーティーにて。1列目中央が三友教授



アジア太平洋研究科阿部義章ゼミ
国際援助を評価する〜現場に見る公共投資と社会開発〜

向かって右から2人目が阿部教授
インドネシア・南スラウェシの村で住民に聞き取り調査を行っているところ。向かって右から2人目が阿部教授。他は同行の学生、村の人々、通訳、現地のコンサルタント
アジア太平洋研究科国際関係学専攻修士課程2年 水内健太郎

 阿部義章ゼミは経済発展とインフラの関係を研究テーマとしている。インフラへの投資がもたらすさまざまな効果を総合的に評価する方法を研究し、経済発展にとって合理的な公共投資の配分はいかにあるべきかを追求している。また、経済発展が緊急の課題でありながら、インフラへの投資を自国経済だけでは賄うことができず海外からの援助を受けている場合においては、問題は国際援助の在り方を問うものとなる。

 周知のように国際援助の運営方法や投資効果にはさまざまな問題が指摘されており、阿部ゼミではそれらを改善する具体的な方法を模索している。阿部ゼミの学生のおよそ半数はそのような被援助国からの留学生で占められており、学生は将来その研究成果を実践することが期待されている。

 2002年3月には海外援助によるインフラ投資の実態を観察するためにインドネシアへの視察旅行を行った。国際協力銀行、世界銀行、NGO等が水の確保に困難がある農村部への給水を目的とするプロジェクトをそれぞれの方針に従って別個に進めており、現場にてそれらのプロジェクトの効果、影響を比較調査する機会を得た。

 いずれの機関でも、かつて批判されたような、いわゆる「ハコモノ」を建設してよしとする援助は既に少なく、地域住民の生活がその援助をきっかけにいかに持続的に向上できるかに力点を置いて、住民参加型の自律的な発展を促す工夫がなされていた。しかし、それが充分に機能していない場合も多く、またそもそも経済的に豊かになることによって地域の文化規範が変質することをどう評価すべきかといった、経済学だけでは捉えきれない課題も認識された。

 よりよい国際援助、公共投資の在り方という課題は、一朝一夕に解答の見つかる課題ではないが、阿部ゼミはなんとか具体的な提言をまとめるべく研究に取り組んでいる。

(2002年5月9日掲載)



大隈塾「21世紀日本の構想」
〜21世紀の日本と自分を考える〜

政治経済学部政治学科1年 澤田 享平

 本年度から新たにオープン科目として大隈塾「21世紀日本の構想」が設置された。この授業は全学部から1、2年生200人を選抜して行われているもので、初回や最終回などの節目には科目登録をしていない全学の学生も聴講できる。毎回、担当教員に加えて、各界の第一線で活躍されている方々をゲスト・スピーカーとしてお迎えし、お話していただいた後、私たち学生が質問をする授業スタイルをとっている。

 記念すべき第1回目は発足記念シンポジウムで、小泉純一郎内閣総理大臣から祝辞をいただき、続いて塾頭の田原総一朗氏の司会により、パネリストに筑紫哲也氏、渡辺喜美氏、高野孟氏、寺島実郎氏を迎え、パネルディスカッション「21世紀日本の構想 〜リーダー オブ リーダーズの育成〜」が開催された。第2回目は外交評論家の岡本行夫氏が安全保障について熱弁をふるってくださった。今後は、山崎拓自由民主党幹事長、宮内義彦オリックス会長兼グループCEO、小沢一郎自由党党首などをお招きする予定である。

 このようにゲスト・スピーカーや担当教員の充実がこの授業の魅力で特徴でもあるが、もう一つ忘れてはならないのが参加する学生の多様さと意識の高さである。私自身さまざまな問題について自分なりの解釈をし、考えを持っているつもりだった。しかし、私とは全く正反対の考えの人、違うアプローチを試みる人、そして既に確固たる自分の哲学を持っている人などを目の当たりにして、自分の不勉強さを痛感させられると同時に非常にやる気を駆り立てられている。

 「大隈塾」はこうした仲間と切磋琢磨し、ゲスト・スピーカー、担当教員の方々の下で学ぶことで早稲田が掲げている「グローカル」―世界を見据えた21世紀の日本と自分を含む地域的な―視点を身につけ、それを自分の今後の人生に強く反映させることができる画期的ですばらしい授業である。

外交評論家の岡本行夫氏(右)が安全保障について熱弁をふるった。左は塾頭の田原総一朗氏。

(2002年5月16日掲載)



厚東ゼミ(経営管理研究I・II)


5時間半のゼミで格闘の末の集合写真(右下が厚東先生)
魁! 厚東ゼミ〜粉骨砕身〜
商学部4年・厚東ゼミ幹事長 吉野嘉晃


 我が「厚東ゼミナール(経営管理研究I・II)」はゼミI に24人、ゼミII に9人、ほかにも5年生や院生、コカ・コーラからの研修生など、幅広い個性を持った学生たちが集まり、厚東偉介先生の下、日々、堅忍不抜の精神で勉学に勤しんでいる。商学部では言わずと知れた「キツイ」ゼミだ。

 活動は4限から始まり、日によって20時を超える時もある。合宿も行い、今年は最低5回を予定している。他のゼミとは異なり、遊ぶといった類の合宿は一切行わない。夏休みになると、グループごとに「企業研究」を行う。インタビューやプレゼンテーション、組織行動において大いに学べることだろう。秋学期になるとゼミI・II共に6万字以上の「ゼミ論」の作成に取り組むこととなるのだが、テーマは自由で各々が興味のあるものを選択してよいので、ゼミ生同様幅広く個性的である。

 「論文」を書くということは、「自分自身で考え、自分自身の意見を持つ」訓練である。まさにそこが「厚東ゼミ」の真髄である。大抵の学生は、今に至るまで授業・講義で教わったことを「覚える」ことに躍起になり、点数・単位を取ることを「好し」としてきたことだろう(悲しいかな、こういった「講義」的なゼミが数多く存在している。「ゼミ」にも関わらず・・・)。しかし、時代はスピーディーに変化し、既存の知識が意味を成さなくなっている。「自ら考え」、知識創造を実現していかねばならないのだ。そういった意味でも我々ゼミ生は当ゼミを、早稲田一いや「世界一」のゼミだと自負している。

 当ゼミは「来るものは拒まない」。学年・学部・大学・職業問わず一度参加してみてはいかがだろうか。「今までどう生きてきたか」よりも「これからどう生きていくか」を大切にするゼミである。

(2002年4月25日掲載)


理工学研究科庄子習一ゼミ 〜ミクロの世界の機械

理工学研究科電子・情報通信学科修士課程1年 田中 純一

 庄子習一研究室は、前年度からCOEプロジェクトのバイオマイクロシステムグループの一員として、マイクロマシンの研究を行っている。マイクロマシンとは、半導体の半導体加工技術を利用してシリコンの上に、髪の毛の太さほどの微小なモーターを作ったり、数センチの基板上に化学分析に必要なすべての要素を作りあげるものだ。庄子先生は、マイクロマシンという研究分野が日本で研究され始めたころからずっとこの分野に関する研究を行ってこられた、マイクロマシーニング研究に関する第一人者である。先生は大変温厚な方で、僕ら学生に対して研究に関することだけでなく、その他もろもろのことまで親身になって相談に乗ってくださる。
 研究室のメンバー構成は、教授1人、ドクター6人、修士2年8人、修士1年3人、学部4年9人の計27人とそれほど人数が多いとは言えない研究室であるが、メンバーそれぞれが自分のテーマを持って日々研究を行っている。先生の指導方針は、「自己責任においてメンバーそれぞれが行動をすること」であるため、研究室の活動としては、週に一度のゼミとグループ毎のディスカッションのほかは特に強制参加の活動はなく、普段の研究はそれぞれが自分で研究計画を立てて行っている。
 マイクロマシンの分野は、まだ歴史の浅い研究分野であるので、アイデア次第では新しく開拓してゆく余地が残されている。そのためか、研究室にはメンバー個人の考え・意見を尊重するような雰囲気があり、先生や先輩方とも物事の一つひとつについて、納得するまで意見を交換することができる。庄子研究室は、自分の興味のある内容を思いっきり好きなだけ学ぶことができる環境がそろっている。皆さんも、庄子研に来たれ!

(2002年4月18日掲載)
夏ゼミ合宿での集合写真
夏ゼミ合宿での集合写真。前列向かって左から3番目が庄子先生


〜自分を確立していく場としての〜
都市計画・住宅政策研究ゼミ

春合宿にて 前列左端が先生
春合宿にて 前列左端が先生
社会科学部3年 堀越 裕介

 このゼミは、自分の好きなことができる。ただし、自分の責任でやる必要があり、主体性が欠かせない。このゼミでは2年次からそのための下ごしらえをする。
 僕は、去年の11月上旬にプレゼンをしてゼミに入った。「新入生」全員のレポートからいくつかの案を選び、幹事(提案者)が現実的なプランに練り直した。そして早田宰先生が関わる川口や下町、ゼミ生が紹介した吉祥寺、豊洲を実際にみんなで歩いた。中でも川口についてはまちづくりの提案をまとめ、それに関わる方へメールで送った。見学会や飲み会などを通じて、ゼミの雰囲気に少し慣れたところで春合宿を行った。今回は僕も含め数人が幹事となり、行き先やスケジュールを決めた。メーリングリストを使って連絡や情報交換をし、甲府に関する予備知識も手に入れた。
 さて、春合宿は4年生の卒論テーマ発表が主な目的である。発表の制限時間をオーバーしても進行役の僕が止められないほど彼らの議論が長引いた。とにかく4年生の話は熱い、と思った。しかしわれわれには別の目的があった。それは、まちを見る視点を自分なりに築くということ。そこで、初日に甲府商工会議所にお邪魔し、レクチャーを受けて中心部の商店街を視察した。その後、アウトレットモールや八ヶ岳をドライブした。ちなみに、「ほうとう」はいやというほど味わった。ワインもうまかった。グルメには目がない!?
 東京に帰り、自分なりに甲府市の中心市街地に対する意見をまとめて、レクチャーのお礼にメールを送った。危機感がない甲府市に対して、「新入生」がそれぞれ考えて自分なりの案を出した。
 早田先生は、「一連の活動を通して、ゼミ生が自分の考えを確立する成長ぶりとその結果を評価する」と言ってくれる。今後のゼミ活動が楽しみだ。

早田宰ゼミURL:http://faculty.web.waseda.ac.jp/souda/index-j.html

(2002年4月11日掲載)