研究室探訪
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「こんな大学やめてやる!」
そう言って中退した僕が、早稲田で教えているワケ
戸山キャンパス第一研究棟6階1673 岩本憲児研究室



映画理論を教える先生は、「理論嫌いのフェリーニが好き。去年は『ルナパパ』というタジキスタンの映画が面白かった。アジアや中近東などハリウッドと別の文化を持つ地域の、新しい映画の作りに注目している」

貴重な資料の数々。外国で講演する機会が増えて、かえって日本映画を日本の学生たちにも知ってもらいたいと思うようになった。
 岩本憲児文学部教授の研究室は、大量の本とビデオテープに埋もれている。隙間なく埋まった本棚、机上にもうずたかく積み上げられた資料。その中から、貴重な映画資料や写真などが次々と発掘される宝箱のような空間で、思わず胸がときめく。
 「小中高と、ませた文学少年。剣道にも精を出し、片手に本、片手に竹刀で、古今東西の本を読んだ。文武両道がモットー」。戯曲を読んで芝居に興味を持ち、演劇学科へ。「演劇や映画など文学以外の自分の知らない世界を知りたかった」。授業に加え、昼夜のアルバイトで学費を賄う。「大学近くに借りた三畳間では、遂に一度も寝ませんでした」
 三年の時、第一次学費値上げ闘争で中退。東中野の日本映画学校で演出やシナリオを学ぶ。「テレビドラマの撮影の手伝いをしていたら、プロデューサーから正式に契約する話があったんだけど、理想に燃えてたから『こんなに慌しくては芸術なんてできない』と辞めてしまってね」
 路頭に迷っていたところ、先輩から「復学すれば?」とアドバイスが。そして、大学へ舞い戻り、修士、博士と進学した。「何となくね。当時は文学部に行く=就職は考えてないってことだったから」。しかし、講師になって、早稲田の名を汚さないようにと勉強に発奮。体系的、集中的、歴史的に映画を学んだ。
 でも、「好きなものは趣味がいい。どんな分野でもそうだけど、若いときは何でも観ることで比較できるようになる。でも、この歳になると面白くない映画で、人生の貴重な時間を費やすのは辛いんだよ」。息抜きにオペラやモダンダンス、現代美術などに触れる。先生の毎日は多様な芸術分野の感性に彩られているようだ。

(2001年11月8日掲載)

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