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ペルーに散った夢を母校に託して 〜宮下尚大奨学基金設立〜

 一九九七年、ペルーで二つの若い尊い命が奪われた。探検部員・ 宮下尚大(たかひろ)さん(当時理工3年)、伊東千秋さん(当時 商3年)が、入念な下調べと度重なる苦しい訓練を積み、アマゾン 川筏下りという永年の夢に挑む最中に、あろうことかペルー国軍兵 士によって殺害されるという、予想を遥かに超えた事件に巻き込ま れたのである。
 命日は日本時間で十月十八日。この度、事件から丸三年が経った ことを機に、宮下さんの父・外司さん、兄・太一さんから、尚大さ んと同様に大きな夢を抱いて勉学・学生生活を送る後輩に思いを託 し、先の命日、本学に一千万円の奨学基金が寄付された。大学は、 このご厚志と尚大さんの遺志に報いるために、「宮下尚大奨学基金 」を設立。永年その名を残し、彼を偲ぶこととした。
 これに対し、宮下外司さんは、「事件直後は正直、只真っ白い状 態でしたから、ああいったコメント(本紙八二七号「冬の父母号」 参照)しか言えなかったけれど、その後、法事などの行事を一つず つ行ったり、仏壇の前、週に一度はお墓で、女房と二人、子供と心 の中で対話をしているうちに、『死にたくない!』という子供の怒 りのようなものが伝わってくるというか、込み上げてきて。なんと か本人の気持ちを継ぎたい。夢を持って早稲田にお世話になった、 それをなんとかしてやりたいなという気持ちが強く込み上げてきた んです。そこで、家族、特に長男といろいろ相談していたところ、 尚大がパソコンの中にちょっと書いていた文章に、心理学を勉強し てアンドロイドの人工知能の倫理観をロボットに入れたいと書いて あった。彼が機械科から三年寺に複合領域に移ったことについては 本人の人生だからいいよ、と言っていたんですが、心理学を勉強す ることについては私もアドバイスをしていましてね。そんなことが あって、今、子供と対話する中で親としてできることは、それを実 現の方に向けてあげたい。学生さんに力添えしてあげたい、と。本 人も一年生で小野梓奨学金、二年生以降は早稲田カード奨学金を貰 っていたので、お返ししたかった。親として、子供の遺志をなんと か具現化、具体化できるせめてものことじゃないかな、と。子供の 一生をどうやって具体化し、どういう形で遺すかと悩んでいた時、 作文にロボットと書いてあったので、これしかないと思ったんです 」と、その胸の内を語ってくれた。
 来年度から募集する同奨学金は、ロボットに「心」(アンドロイ ドの人工知能の倫理観)を持たせる研究を志し、勉学に励んでいた 尚大さんの遺志を受け継ぐ理工学部三、四年生、または、探検部に 一年以上所属して活躍した二〜四年生のいずれか一人に、年間二十 万円の奨学金が与えられるというもの。
 母校に受け継がれた尚大さんの遺志。それを受けて、皆さんも大 きな夢を叶えてほしい。

(2000年10月26日掲載)

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