大学院商学研究科(早稲田大学ビジネススクール) 教授 遠藤 功
えんどう・いさお
◎大学院商学研究科(早稲田大学ビジネススクール)教授、株式会社ローランド・ベルガー会長。早稲田大学商学部卒。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機株式会社やアメリカ系コンサルティング会社などを経て、2003年より現職。『現場力を鍛える』『見える化』(いずれも東洋経済新報社)など著書多数。専門は、オペレーション戦略論、経営戦略論。
 巻頭エッセイ

価値創造の現場で
つくる歓びを味わおう!

大学院商学研究科(早稲田大学ビジネススクール) 教授 遠藤 功

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  あらゆる情報がインターネットで手に入る時代だからこそ、「つくる」を語るとき、学生の皆さんには「現場」に足を運ぶことをすすめます。

 「つくる」とは価値を創造すること。その価値を生む場所が「現場」です。まずはコンビニエンスストアでも牛丼屋でもいい、身近な現場に出かけて観察してみましょう。

 じっと見ていると、そこでつくっている「価値」には、目に見えるものと見えないものがあることが分かると思います。目に見える価値とは、商品やサービス。見えない価値は、お客様の笑顔や品質、安全性などです。見えない価値を高めれば、商品の価値も上がります。

 今、世間で「いい会社」と言われるのは、「現場力」が高い企業ばかりです。よくその例に挙がるのがトヨタ自動車でしょう。その秘密を探ると、「改善」というキーワードが登場します。トヨタ社員は皆、問題を発見したら、それを改善する権限と義務を負っています。

 改善とは、新しい価値をつくることです。それが新たな刺激となり、別の知恵やアイデアが生まれます。つくることは絶え間ない改善であると考えると、単純作業も創造性あふれる仕事になり得ます。つまり、その仕事がダイナミックでクリエイティブか、ではなくて、仕事をする自分自身が、それをダイナミックでクリエイティブにできるかどうか。社員一人ひとりがそれを理解している企業は、業種を問わず強い現場力を持っています。

 さらに、そういった企業では、どの社員も、商品やサービスのみならず安全や品質をつくっているというプライドを持って働いていることが分かります。見えない価値への理解が浸透しているのです。

 皆さんもさまざまな現場を観察し、つくり手の気持ちに思いをはせ、そこでつくっているのは何か、考えてみましょう。そして、自分はどんな価値をつくる人になりたいか考えてほしいと思います。

 最後に、これから社会に出る皆さんに二つの言葉を贈りたいと思います。

 まずは「槍」。槍のように尖って、自己主張できる人材であること。全体が生み出す価値をより良くするために自分の考えやアイデアを主張できる人材になってください。

 一方で、謙虚に学習することも大切です。何でも吸い込む「スポンジ」のように、周りからあらゆるものを吸収できる人になりましょう。この二つの素養を持っている人は、どんな現場でも「つくる」ことができる人です。

 つくる歓びや感動は、何ものにも代え難いもの。さまざまな価値創造の現場での、皆さんの活躍を楽しみにしています。


(2007年11月5日掲載)




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First drafted 2007 Oct 30.