社会科学部教授 
浦田秀次郎
社会科学部教授
浦田秀次郎
(うらた・しゅうじろう)
1950年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。スタンフォード大学経済学部博士。ブルッキングズ研究所研究員、世界銀行エコノミストを経て現職。専門は国際経済学、経済発展論。現在、日本経済研究センター研究員、経済産業研究所ファカルティ・フェロー、世界銀行コンサルタント等を兼任。主要著書に『国際経済学入門』(日本経済新聞社)、『21世紀のアジア経済:危機から回復へ』(東洋経済新報社、共編著)等。
 巻頭エッセイ

「経済学って、何?」

社会科学部教授 浦田秀次郎

イメージカット

  「不況」、「構造改革」といった言葉が最近の新聞やテレビのニュースによく出てきます。これらは経済学で扱うテーマのほんの一部です。多くの人々は不況や構造改革の持つ意味についてはある程度の知識を持っているものの、不況がなぜ起こるのか、構造改革がどのような効果をもたらすのかといったことについて説明できる人は多くないでしょう。この例が示すように、経済学は我々の生活に密接に関連しているテーマを扱う学問ですが、その内容については十分には理解されていないように思います。

 我々は大きな家に住みたい、美味しい物を食べたいというように多くの欲求を持っています。しかし、社会にはそれらの欲求を満たすのに必要な土地、食料、その他の資源は十分には存在しません。そこで、限られた資源を有効に使うことが重要になります。経済学は、この問題、つまり限られた資源の制約の下で、生活を豊かにするための方策を研究する学問です。

 経済活動の担い手は家計(消費者)、企業(生産者)、政府ですので、経済学ではそれらの個々の行動および相互関係を分析します。家計、企業、政府の目的は異なりますが、限られた資源の制約の下で各々の目的を実現しなければならないという行動原理は共通しています。我々の生活している資本主義社会では、家計や企業の自由な行動によって経済活動が行われ、市場での取引を通して調和が取られるようになっていますが、社会全体の所得や富に関する分配の公平性は大きな問題です。

 経済活動は、社会、政治、制度、歴史など多くの要素により影響を受けるので、経済問題を分析するには、それらの要素も考慮しなければなりません。このことから分かるように、経済学は他の専門分野と深い関係を持っています。経済学で扱うテーマは複雑である場合が多いことは事実ですが、それだけに挑戦しがいがあるのではないでしょうか。経済学を専門に研究したいという学生が増えることを期待しますが、たとえ経済学を専門としなくても、我々の生活する経済社会のメカニズムや問題を理解し、豊かな経済社会を構築するにあたって、適切な経済政策が策定および実施されることを監視することができるような能力を持つために、経済学に興味を持って勉強してもらいたいと思います。

(2002年1月10日掲載)




Copyright (C) 2002 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2002 January 10.