日本武道は一般に競技性、求道性、規範的教育性の要素が含まれ、特に後の二点 は近代の競技スポーツと性格を異にする特徴をなしている。それは、武術を学ぶことを必須の教養とした武士が七百年にわたって日本の政権を担い、武士の規範(いわゆる武士道)を形成した歴史に由来する。このコースでは、武道の国際的な普及実態を踏まえて、文化論的あるいは人間論的な観点から、武道の心法論・技法論、武士の倫理、文化変容等について思想史的に考察する。また、研究方法論として、事実認識と価値判断の関係をめぐる問題についても社会学と歴史学の文献によって考察する。
スポーツを文化の問題として文化人類学(民族学、民俗学)の方法によって研究することができるように指導する。スポーツ人類学が扱うスポーツは時代と社会を特定しないが、本研究指導では民族スポーツ(エスニック・スポーツ)を主たる対象としている。日本と世界の諸所におこなわれる民族スポーツについて、これを伝播と変容、構造機能論、象徴論、観光化、身体技法などの諸視点からアプローチするのである。指導の中にはフィールドワーク方法論も含まれ、年に一度以上、外国において民族スポーツ調査をおこなっている。
現代スポーツは勝利至上主義,ドーピング,過剰な商業主義,スポーツ・イベントのメガ化による環境破壊等に代表されるように,多様な倫理的アポリア(難問)を内包し,様々な局面でスポーツの倫理的な逸脱現象が頻出している.本研究指導では,このような現代スポーツにおける倫理的逸脱現象を対象に,応用倫理学的な考察を加え,スポーツ文化のあるべき存立基盤を解明していく.と同時に,スポーツ文化による人間の陶冶可能性についても,人格教育論を中心に考察し,スポーツ教育における社会学習の方法論や人間形成の教育学的な機序についても指導する。
メディアとはコミュニケーションの媒体となるものであるが、とくにマスコミュニケーションの手段であるテレビ、ラジオ、新聞などのマスメディアをいうことが多い。マスメディア研究には大きく分ければ制作、内容、オーディエンスという3つの領域がある。スポーツメディア論では、少なくても一つの領域からスポーツとメディアの関係を取り上げる。私は特に内容について関心があるが、マスメディアとスポーツの関係を理解するには、全体を把握する必要がある。社会学の立場から指導する。
スポーツ社会学の研究領域は多岐にわたるが、ここではスポーツ参加、とりわけ大衆のスポーツ参加及び非参加に及ぼす諸要因を明らかにすることを中心に研究指導をする。スポーツ参加は、人びとの「生活の質」を高める大きな要素である。この問題は、参加者自身の要因ばかりでなく、活動内容、集団、指導者、教育、行政等の社会・経済・文化的な要因が複合的に関わるものである。これまでは研究上の制約から、参加者主体に研究が進められてきたが、参加を疎外する要因にも注目しつつ、潜在的な参加者をいかに顕在化するかによって、社会の活性化等にも接近できよう。
スポーツおよび身体に関わる歴史研究の方法を指導する。現在、指導教員は、近代欧米社会を中心に、工業化社会・市民社会におけるスポーツ文化の形成過程を主たる研究テーマとしているが、そのほかに、プロスポーツ、スポーツ産業の成立過程、日本における近代スポーツの受容過程、世界各地へのスポーツ伝播のプロセスなど、さまざまな文化史研究への展開を考えている。また、近代国民国家における国民統合とスポーツの関係や、近代スポーツを通じての文化変容、身体観の変容といった比較的新しい歴史学のトピックも扱いたい。
舞踊という現象に対するアプローチは多様である。本研究指導では、特に技法及びこれにまつわる問題─上演の場に至るまで─に関し、様々なジャンルにおいて記され残された文献を通して研究を進める。多様なジャンルの公演を視察し、上演の場においてはどのように示されるのかを検証するとともに、希望者には実践指導も行う。さらに軽演劇で上演された舞踊は舞踊史から見落とされがちであるが、日本のモダンダンス前史が1920年代の軽演劇(浅草オペラ、浅草レヴュー)に認められるように、技法やスタイルなど、その影響は見逃せない。従って1920年代の軽演劇における舞踊も視野に入れるものである。
体育科教育学は、学校の体育授業を中心とする体育実践の改善を目的として行われる研究分野である。研究指導では、従前の体育科教育学の研究成果を踏まえて、カリキュラム論と学習指導論の両面から体育授業研究にアプローチし、優れた体育授業を実践していくための方策について検討する。具体的には、体育授業の目的・目標論、学習内容論、内容編成論、教材づくり論、指導方法論など、それぞれ理論的・実証的方法で研究を進めていく。加えて、ボールゲームの指導モデルとして注目されている戦術学習論や、高度な実践的力量を備えた体育教師の養成に向けた教師教育論についても指導する。
ポーツ教授学は、スポーツ教育学の中核となる学問領域であり学校の体育授業や運動部活動、さらには地域のスポーツ活動における優れた実践指導のあり方を追究することを目的として行われる研究分野である。スポーツ指導の成否は、その直接の担い手である指導者の資質や能力が大きく影響する。ここでは、指導者の経験やセンスという表現でこれまで扱われてきたものを、指導者の教授技術や知識・思考といった側面から検討する。具体的には、学習者が意欲的に運動に取り組み、運動技術を習得するために、指導者はどのような働きかけができるか。そのために、指導者にはどのような資質や能力が求められるかについて理論的ならびに実証的方法で研究を進めていく。
スポーツ経営は、スポーツ参加や観戦を支えるスポーツサービスを効果的・効率的に提供しようとする組織的な営みである。その領域は、メガスポーツイベントやプロスポーツ球団の経営から地域スポーツや学校体育の経営まで広範囲にわたる。本研究指導では、個別のスポーツ経営領域を対象に対して、主に経営学的なアプローチを用いてスポーツ経営現象の解明のための方法論を学び、研究成果を実践的な経営課題の解決につなげる提案力を高めていく。具体的には、経営戦略や事業戦略、マーケティングと消費者行動、組織と人的資源マネジメントなどに焦点を当て、定量的(質問紙調査など)・定性的(ケーススタディなど)分析手法を身につける。また新たなテーマとして、スポーツツーリズムについても注目している。
本研究指導では,“スポーツを通じた健康増進”という社会的ニーズに応えるために,体力科学,運動生理学,栄養学などの<身体の理論>から,身体行動科学,社会マーケティングといった<行動の理論>,さらには,ビジネスマネジメント,マーケティングなどの<社会組織の理論>まで,様々な領域における基礎学問分野の知見を踏まえて,「地域住民へのスポーツ振興」ならびに「健康増進の達成」という目標を実現するための実践的技法を確立することを目指している.具体的には,地域自治体,総合型地域スポーツクラブ,老人福祉施設等のさまざまな現場(フィールド)での実践的研究によって,健康増進や介護予防に資するためのプログラムの開発とその評価モデルの構築に加えて,地域社会における健康増進ならびに介護予防システムの構築を行う.主な研究課題は,
などがある。
スポーツマネジメントやスポーツ産業論は新しい学問領域であり、80年代に始まるスポーツのビジネス化現象にともなって知識の体系化と教科書化が進展した。特に放送権料とスポンサーシップに見られる権利ビジネスの発展は、スポーツのメディア価値を増大させ、従来のスポーツ産業の構造を大きく進化させた。研究指導においては、スポーツビジネスのマクロ的視点として「スポーツと都市マーケティング」に関する研究、ミクロ的視点では「スポーツ消費者の行動学的分析」に関する研究を指導する。具体的には、前者では、スポーツ振興モデルを応用した政策提言的研究やスポーツイベントの経済効果に関する研究、後者ではプロスポーツにおけるファンのチーム・ロイヤルティに関する研究や、スポーツ・フィットネス産業における経験マーケティングに関する研究などをカバーする。さらにスポーツビジネスが直面する国際的な競争環境を理解するために、海外学会での研究発表能力の育成にも力を注ぐ。
学校運動部活動と企業スポーツを両輪とした日本型スポーツシステムの限界が見え始めたなか、地域密着型の新たなスポーツシステムが求められている。企業運動部のクラブ化はもとより、Jクラブやプロ野球でも地域に根付いたクラブ化を模索しており、その一方で学校・地域・家庭・企業・行政の連携による「総合型地域スポーツクラブ」の普及・育成が国策として進められている。プロ・アマを問わず、これらのクラブが自主独立し健全に発展するためには、多くの複雑な問題が存在する。それら諸問題の現実的な解決策(ソリューション)について研究指導する。具体的には、プロ・アマのクラブについてのビジネスモデル、活動拠点となるスポーツ施設の確保、スタジアム・アリーナのビジネスモデル、それらのモデルを実現できる人材(マネジャー)の育成方策、クラブ創設・継続に必要なファイナンスのあり方、継続事業体としての法人化策、地方自治体や中央政府との連携方策、効果的なマーケティング戦略などについて総合的に研究指導する。
本研究指導では、近年急速に進展を遂げるトップスポーツの世界をとりまくスポーツビジネスおよびエンターテイメントビジネス(以下トップスポーツビジネス等という。)に関して、IT産業の発展およびマネジメント手法の進化を踏まえ、それぞれの競技団体やスポーツクラブの経営課題に対する解決方法を究明するための調査・研究能力を開発する。そのため、トップスポーツビジネス等に関する基礎知識を既に有することを前提に、具体的先進事例の学習、定量的分析手法の習得を重ね、経営学、経済学、行政・政治学、法学、スポーツ産業学の諸理論について深く学び、総合的な視点をもって研究を行う。
人とスポーツの関わりは、「する」「みる」にとどまらず、「読む」「支える」などきわめて多岐にわたる。そして、いずれの関わり方も何らかの組織を介していることが多い。本研究指導においては、多様なスポーツ現象を把捉・説明する枠組みとしての組織論について理解を深め、これを基盤とする組織マネジメントの方法について考究する。さらに、各自の関心に基づき研究を進めるための基本的な知識ならびに調査・分析技法等の習得をめざす。具体的な研究テーマとしては、各種スポーツ組織における組織構造、組織文化、リーダーシップ、モチベーション、組織化(支援)、人材マネジメント、スポーツボランティアのマネジメント、学校スポーツと地域スポーツの連携などが考えられる。
スポーツを実施する組織(クラブ、リーグ、協会等)のマネジメントには、一般的な企業や公益法人と同じ側面と、これらとは異なる、固有の側面とがある。そして「固有の側面」については、これまでに蓄積されてきたマネジメント理論を適用できないことも多い。たとえば、リーグとこれに属するチームの関係は「取引」でも「支配」でもないし、グループ経営でもない。そしてそれにもかかわらず、これらの独立した主体は、同じ目的を持って活動している。
本研究指導では、スポーツマネジメントのこのような「普遍性と固有性」を、具体例に基づいて理解・把握することを第一の目的とする。そして第二に、これに基づいて、スポーツ組織の固有性に即したマネジメントのあり方を検討していく。
「見るスポーツ」を売るプロスポーツクラブ・球団や「するスポーツ」を売るクラブ・団体など、スポーツ組織のビジネスにおいてマーケティングは不可欠である。スポーツマーケティングには、スポーツを効率よくプロデュースして提供する「スポーツのマーケティング」と、企業がスポーツを利用してプロモーション活動を行う「スポーツによるマーケティング」があるが、両者においてスポーツ消費者(する人や見る人)を理解することが最優先の課題となる。本研究指導では、スポーツビジネス現場での効果的なマーケティングのために必要なスポーツ消費者の心理や行動の理解に焦点を当て、その解明に必要な研究手法を身につけることを目的とする。具体的な研究テーマとしては、スポーツ観戦者の動機、ファンのチームに対するコミットメント、スポーツ参加者・観戦者のサービス評価と満足、プロスポーツクラブのプロモーションの効果、そしてスポーツスポンサーシップの効果などが考えられる。
アクティヴ・ライフとは心と体の健康を指すのみならず、人々が活力をもって生きることのできる地域や社会のあり方をも含むものである。要介護高齢者は年々増加し、中高年者のメタボリックシンドロームが社会問題となっている。一方、子どもの心身異常も顕在化してきており、体力・運動能力の低い子どもや、対人関係や社会関係を構築できない子どもの増加などが指摘されている。このような問題の原因を探り、またその解決策という視点から「スポーツ」を研究する。特に以下のテーマに着目して研究を指導する。
運動による免疫機能の変化の解析とその応用について研究する。運動による免疫機能の変化のメカニズムを検討し、適度な運動が免疫機能を高めることを検証する。主な研究テーマとしては、(1)加齢で低下した高齢者の免疫機能を高める運動処方、(2)アスリートのトレーニングに伴う免疫機能の変化の測定とコンディショニングへの応用、(3)運動後の免疫機能低下のメカニズムと低下防止の方策の検討である。また、アスリートのコンディショニングにおいて重要なファクターであるアンチ・ドーピングも研究テーマとする。
健康づくり研究においては、集団の健康実態を定量的に評価し、健康阻害あるいは増進に関係する要因を明らかにする。そのうえで、問題解決の具体的な対策を立案・実践し、その効果を科学的に評価することが重要である。このような一連の研究活動においては、疫学方法論に基づく質の高い研究をデザインし、疫学統計学による質の高いデータ解析を行うことが重要となる。そして、そのような質の高い研究から得られる成果(evidence)を政策に反映させ、学校、地域、職域といったより大きな集団レベルでの健康づくりの実践とその効果を検証することが求められる。そこで、ここでは身体活動・運動・スポーツによる健康づくりに関する質の高い研究方法を習得することを目標とし、健康づくり研究のデザイン論とデータ解析法について指導する。また、研究室で実践している児童の健康な生活習慣づくり、地域における全住民を対象とした健康づくりプログラムとシステム作り、職域におけるハイリスク者の生活習慣病予防プログラムの開発といった研究活動に参加することにより研究実践の能力向上を図る。
本研究指導では、身体運動と睡眠や生体リズム前頭葉機能、気分(うつ状態など)との関係を中心課題として、基礎研究および臨床・応用研究指導を行っている。身体運動が睡眠や生体リズムに与える影響だけでなく、生体リズム調整(高照度光やメラトニンを用いる)とスポーツパフォーマンスの関連や、これとかかわる脳機能について研究を進めてゆく。また、身体運動が前頭葉機能など、臨床的には気分に与える影響などについてもテーマとして研究指導を行う。方法論としては、ポリグラフ、脳波、機能的MRI、反応時間などの行動学的測定、神経内分泌検査、心理検査などがあげられる。希望される方は、必ず事前に連絡をとって、自分の考える研究テーマが研究室の指導の範囲であるかどうかを相談してほしい。
スポーツには生活習慣病に対する効果などがある反面、突然死や熱中症といった急性内科的障害、貧血やオーバートレーニング症候群といった慢性内科的障害のあることを、これまでに報告されている論文や最新の研究報告等を抄読することにより、理解してもらう。それとともに、スポーツの効果を判定するための検査法や、内科的異常を診断する検査法などに関して、医師でもある担当教員の指導下に体得してもらう。つまり運動負荷試験、心エコー図検査、ホルター心電図検査などを駆使したメディカルチェックの重要性を多方面から理解してもらう様な、体験学習的な講義を行うことになる。
スポーツや広く身体活動により人体に生じる変化を医学的側面より研究する。またスポーツ活動によって生じる急性・慢性損傷の発生メカニズムの運動学的分析、病態の生理・組織学的分析、生活習慣病や加齢による運動器変性疾患に対するスポーツや身体活動の運動療法としての有効性の検証、身体活動の心身の健康、QOLへの貢献などに関しても実験研究・調査研究を行う。スポーツ現場での選手のコンディション管理やオーバートレーニングの予防、メディカルチェックシステムの構築など現場に直結する臨床研究も進める。さらに、発育期の運動器の形態や機能の変化、身体活動の効果を計測するとともに、体力・学力や生きる力の低下を問題視されている現代の子どもへの身体活動や身体への関心を通した働きかけを実践したい。
スポーツ科学者やコーチ、トレーナーなどに要求されるスポーツ外科領域での外傷障害の予防、発生メカニズム、リハビリテーション等の諸問題についての研究を行う。具体的には以下のような項目を重点的に行って行く。・スポーツによって生じる代表的な外傷・障害の診断と現場での処置、およびスポーツ復帰までのリハビリテーション法とその評価法の科学的検討。・膝前十字靱帯損傷をはじめとする非接触性外傷の受傷メカニズムの生体力学的、筋生理学的解明とその予防的トレーニング法の開発。・スポーツの種目別特性を加味しながらの選手のコンディショニングの解析とその評価法の開発。
自治体や病院などの健康づくりの現場と連携して、身体活動・運動の推進に関する心理学、行動科学的研究を行う。具体的には、
などである。これらの研究成果に基づき、地域保健や介護福祉、医療・看護・リハビリテーションなどの現場で役に立つ心理・行動科学的アプローチの視点や具体的方法の提案を行う。
研究指導の内容:スポーツ選手の腰痛・椎間板障害などの脊椎障害や脊椎損傷の発生機序を疫学的調査、バイオメカニクス的解析、筋電解析などの方法を用いて解明していく。その結果を用いて、より科学的事実にもとづいた障害・外傷予防方法を考案し、現場において実践し、その効果評価を行い、より有効な予防対策を求めていく。また、その過程で得られる知見を用いて、アスリートに限らずより幅広い対象者に、腰痛を代表とする脊椎障害の運動療法を開発し、実践していく。
激しい運動や過酷なトレーニングなどの身体的ストレスによる内科的障害の評価、病態機序の解析、および栄養、サプリメント、水分補給、休養、各種補完代替医療等による予防策の科学的根拠について研究する。具体的には、運動を中心とした生体のストレス応答と適応のメカニズムについて、特に生体防御(白血球機能、ホルモン・サイトカインの動態、活性酸素の代謝、筋損傷と修復)の面から研究している。また、適度な運動による生活習慣病の予防・治療と作用機序に関する検討、ストレス応答や免疫機能の解析・評価法の開発、臨床病院との連携による免疫低下、炎症、老化の制御に関する基礎的・応用的検討を進めている。研究内容については初学者で構わないが、生物化学系実験の経験と統計処理、英文読解能力は研究遂行上必須である。複数の研究プロジェクトに関わりながら、自らのテーマを設定し、研究を計画・実行し、学会発表、論文作成を進められるように指導する。
アスレティックトレーナー、あるいはフィジカルコーチとして今後活動する上で必要とされる、科学的根拠に基づいたアスレティックトレーニング(スポーツ外傷・障害予防プログラムやコンディショニング手法)について検討していく。また成長期アスリートがトップアスリートになるまでに必要と考えられる「タレント発掘」、「適切なトレーニング処方」、「スポーツ外傷・障害予防」という3つのテーマについて、発育発達や、晩熟・早熟といった個人の成熟度の遅速を切り口として幅広く研究を進める。
スポーツに限らず日常生活の何げない動作でも、円滑な運動の遂行には脳(神経系)が中心的な役割をはたしている。この運動制御に関係した脳機構の研究を行う。特に「手足の協調」、「運動のイメージ形成」、「姿勢調節」についてfMRI、磁気刺激などで解析する。またいろいろなパラメータを正確に測定することが研究のスタートであり、そこから新しい科学的知見も生まれる。このような観点から、野球のバットスイング速度、ボールの回転、高速走動作時の多部位の筋活動、テニスのなどの計測システムを開発する。そしてそれを利用してピッチング、バッティング、走動作、テニスなどの解析を行う。
身体運動のパフォーマンスと骨格筋の形態的・機能的特性の関連性について、以下のテーマで研究を行う。
現在は、ボート競技、走動作、弓道を対象とした実験を進めている。
スポーツパフォーマンス向上とコンディショニング、運動による健康増進と生活習慣病・メタボリックシンドロームの予防に関して、以下のテーマで研究を行う。
スポーツにおける競技力向上にはより大きな「(物理的な)力」が必要とされる反面、解剖学的に耐えることができない「力」が身体組織に作用すると傷害が発生します。バイオメカニクス研究室では、スポーツパフォーマンスにおける「力」と「運動」との関係を探ることにより、競技力の向上とスポーツ傷害の予防に役立てる研究を行います。具体的には、身体の動きを高速度カメラ、筋電計、ゴニオメータ等を用いて観察したデータを力学原理に基づいて解析することにより、スポーツパフォーマンスの“からくり“を解明します。また、パフォーマンス分析に加えて、超音波診断装置やMRIを用いて各選手の解剖学的特徴を分析することにより、スポーツ傷害の発症メカニズムを競技種目別・各選手別に探ります。これら研究を通じて、スポーツのパフォーマンスと傷害についての理解を深め、競技力向上と傷害の予防に役立つ知見を広めていきます。
一過性の運動・スポーツ活動に対する生体応答および規則的なスポーツ活動に伴う生体適応について、主に呼吸循環系と生化学的な面から研究する。主な研究課題は、
スポーツ心理学の研究法には多様な切り口がある。本研究指導では精神生理学的な切り口からスポーツ心理学を取り扱うこととする。この研究領域の主要テーマである末梢自律系の心理学的対件、心理変数と事象関連脳電位(準備電位含む)の対件、スキル獲得のプロセスと生理的指標の変容、とりわけ心拍数、呼吸、および筋電位の変容、情動と脳機能の左右差などの広範な文献研究から、スポーツ心理学の研究動向を探る。実験室内の研究から一歩外に踏み出した研究手法についても検討課題としたい。主な研究課題は、
である。
近年、コンピュータを利用したスポーツ動作解析やスポーツ動作のコンピュータシュミレーション、さらには新たなデジタルメディア時代に対応した画像、音声のスポーツメディア情報処理など、スポーツ科学における情報処理の役割が大きくなってきている。本研究指導では、スポーツ動作解析、知覚情報と動作情報をリンクさせたスポーツ動作情報処理モデル、スポーツメディア情報処理などを中心に、スポーツ科学における情報処理に焦点を当てた研究指導を行なう。
スポーツ場面で観察される巧みな動作はどのようにして実現されるのだろうか。その背景メカニズムを脳内情報処理の観点から解明していく。認知神経科学では脳の認知機能解明に主眼が置かれるが、ここでは人間と環境との相互作用を重視する心理学的アプローチも重視する。スポーツでは、視覚情報を瞬時に認知し、適切な行動を選択し、それを正確に実現する必要性に迫られる。実際の動作が目標動作から逸脱すれば、脳はその逸脱(エラー)を検出し、評価し、修正することで、より洗練された動作をつくりだしていく。こうした脳内情報処理を。高時間分解能の脳波と高空間分解能のfMRIとの組み合わせで検討する。
近年のスポーツは、科学的視点が導入され基本的動作や体力・心理等の解明によりコーチングの一般化は明らかにされつつある。しかし、トップアスリートに対しては、競技種目別や指導者の手法の違いにより、様々なコーチングが存在している。本研究指導では、トップアスリートを対象とした様々なコーチングを動作解析法や社会調査法等により、競技種目間に存在する、動作の共通性や特異性を解明する。特に「走り」に関しての解明は、中心的課題である。また、障害者のトップアスリートに注目し、健常者との共有した競技力向上のコーチングについても注目している。
現代社会に機能する「コーチング」をスポーツ・教育の分野より科学的に、また技能的に捉え、競技に対するコーチングの現象について専門的に理解を深める。また、トップアスリートに関連する実践的研究の理解を深めることで高度なスポーツ実践専門家養成を目指す。主な研究課題は、
スポーツパフォーマンスは技術面、戦術面、体力面、心理面などに細分化されて評価され、それぞれについて向上策が検討されることが一般的である。本研究指導ではこのうち特に技術面を取り扱い、スポーツ技術の把握とその指導方法について、スポーツバイオメカニクスとスポーツ運動学の観点から解明する。主な研究課題は、
「トップアスリートのトップパフォーマンス構築」と「育成年代の選手育成」に関するコーチングプロセスには、共通する要素が多い。本研究指導では、両者のコーチング現場で起こる種々の事象を、スポーツ科学の観点から解明し、コーチングの体系化と知見の実践的応用を目指す。加えて、スポーツフィールドとアカデミックフィールドの融合を図るため、両フィールドでの活動を積極的に行う。主な研究課題は、
ボールゲームにおけるコーチングは、近年まで経験的なコーチングが主となっていた。しかし現在では、スポーツ科学を重視した形に変容してきている。欧米では、ボールゲームのほとんどがプロフェッショナルなこともあり、早くから導入されていた。このボールゲームのコーチングに不可欠な要素が、情報、そしてその情報の分析、そして反映(ゲームプランの立案)である。本研究指導として、情報の収集・分析・反映を中心的に、オリンピック、世界選手権、オリンピック予選、世界選手権予選、JBL、bjリーグなどを題材として実際に調査研究をする。また、そのデータを元にゲーム分析ソフトを使って分析も行う。そのほかに、ゲーム分析ソフトの開発や蓄積データの取り方などの開発等も行う。
競技者においてはパフォーマンス向上に関わる身体諸機能を高めるため、あるいは高齢者においても日常生活活動の改善のために筋力/筋機能を高めるなどトレーニングは広く一般的になっている。トレーニングの実際のプロセスは立案、実行、評価、修正を適切に行うことが大切である。すなわちプログラムの立案と管理/運用、その効果の測定および評価に関する、実践的研究を推進する。とくに、競技特性を考慮した筋力、パワー測定を中心にした身体パフォーマンスの評価やフィールドテストを活用していく。