第67回スポーツサイエンス研究会

下記の要項で講演会を開催いたします。お誘い合わせの上、ふるってご参加下さい。

日時:2009年6月16日(火) 17時半〜19時
場所:早稲田大学所沢キャンパス 100号館第1会議室

■演者1: 西島 壮 先生(首都大学東京)
■演題1: 運動による海馬神経活動の活性化とその生理学的意義
  生活習慣は脳機能に様々な影響を及ぼし、積極的な学習活動や余暇活動、そして運動などにより脳活動レベルの高い生活を営むことは、脳機能の維持・向上に有益である。しかしながら、なぜ神経活動を高めることが脳機能の維持・向上に貢献するのか、その疑問に答える神経科学的メカニズムは未だ明確でない。そこで、本セミナーでは、1)運動時に脳神経活動が活性化するか、2)なぜ神経活動を高めることが脳機能の維持・向上に有益であるのか、について、これまで得られた知見を紹介する。前者では、特に記憶・学習を担う脳部位である海馬に焦点を当てる。この海馬が走運動時に活性化するか否かを、レーザードップラー血流計を用いた海馬局所血流量のリアルタイム測定から検討した。後者では、主に肝臓から分泌されるインスリン様成長因子(IGF-I)に着目する。血中IGF-Iは、様々な神経保護作用を発現するホ ルモンであり、これまでに運動による有益な作用(神経損傷の軽減など)を仲介し、また脳実質内からアミロイドβを除去しアルツハイマー病予防に貢献することなどが報告されている。血中IGF-Iが血液脳関門および血液脳脊髄液関門を介して脳実質内にも取り込まれることが報告されているものの、どのようにIGF-Iの脳内移行が調節されているかは全く明らかになっていない。そこで我々は、「神経活動が血中IGF-Iの脳内移行を調節する」と仮説を立て、現在はその分子機構の解明を進めている。

■演者2: 遠藤 隆志 先生(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
■演題2: 伸張性筋収縮による筋損傷および遅発性筋痛が運動制御機構に与える影響
 収縮している筋が伸張される伸張性筋収縮を含む激しい運動後には、筋の微細構造は損傷し、最大筋力や関節可動域が低下すること、またこの微細な損傷が引き金となって、その運動の約24時間後には遅発性筋痛が発症することは広く知られている。このような筋損傷や遅発性筋痛が生じている時に、中枢における運動制御機構がどのような影響を受けているのかについてはこれまで不明であったが、近年、我々のグループを含めて、この伸張性筋収縮後の筋損傷および遅発性筋痛時における運動制御動態に少しずつ明らかになっている。本発表では、皮質運動野を刺激する経頭蓋磁気刺激、脳波および筋電図を用いて、皮質脊髄路の興奮性および抑制性、皮質運動野と脊髄運動ニューロンプールの同調的活動および体性感覚系の変化などの観点から伸張性筋収縮による筋損傷および遅発性筋痛が運動制御機構に与える影響について検討を加えた我々の研究結果を紹介する。



所沢地区の研究者の情報交換の場の一つとして、この会を定期的に開催いたします。講演者として適当な方がおられましたら、学内・学外、自薦・他薦問わず是非御推薦下さい。

スポーツサイエンス研究会世話人
彼末 一之
早稲田大学 スポーツ科学学術院
〒359-1192 
埼玉県所沢市三ケ島2-579-15
Tel & Fax:04-2947-6751
E-mail:kanosue@waseda.jp