第65回スポーツサイエンス研究会

下記の要項で講演会を開催いたします。お誘い合わせの上、ふるってご参加下さい。

日時:2009年4月28日(火) 17時〜18時
場所:早稲田大学所沢キャンパス 100号館第1会議室

■演者1: 永野 康治 先生(早稲田大学スポーツ科学学術院・助手)
■演題1: 膝前十字靭帯損傷リスクファクターの検討
  膝前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament: 以下ACL)損傷のリスクファクターとして運動時の動作に注目し,バイオメカニクス的手法を用いて検討することを目的とした。
【実験1: 片脚着地動作における膝関節運動の性差の検討】
 片脚着地における膝関節運動および筋活動の解析を行い、その性差の検討を行った。その結果、女性において脛骨内旋が大きく、大腿四頭筋優位の筋活動を示し、ACL損傷リスクが高いと考えられた。
【実験2: 着地・切り返し動作におけるACL損傷リスクの検討】
 ACL損傷好発動作である着地や切り返し動作の中から,片脚着地-切り返し、片脚着地、両脚着地における膝関節運動の比較を行った。その結果、片脚着地-切り返しでは片脚着地に比較し、脛骨内旋変位量、外転変位量が大きく、ACL損傷リスクが高いと考えらた。
【実験3: ターン動作における体幹位置と膝関節運動の関連および性差の検討】
 ターン動作における体幹位置と膝関節運動の解析を行い、その関連を検討すること。また、その性差の検討を行った。その結果、膝関節運動のみならず動作中の体幹位置もACL損傷リスクファクターとして考えられた。
 以上の研究からACL損傷リスクの高い動作が明らかになった。今後、リスクファクターに
対するACL損傷予防プログラムの効果検証の必要性が示唆された。

■演者2: 小川景子 先生(早稲田大学スポーツ科学学術院・助手)
■演題2: 睡眠中の脳機能研究 〜レム睡眠中の夢を手がかりに〜
 これまで発表者はレム睡眠中の夢を手がかりに睡眠中の脳機能研究を行ってきました。一晩の眠りではノンレム睡眠とレム睡眠が交互に繰り返されていますが、レム睡眠中でより鮮明でありありとした夢見体験が報告されます。またレム睡眠中には覚醒中の眼球運動(サッケード)と形態が類似した急速眼球運動が生じ、夢見体験との関連も指摘されています。そこで我々は急速眼球運動が生じる際の脳活動の様子を,時間分解能に優れ特定の事象に関連した一過性の脳活動を検討できる事象関連電位(ERP:event-related brain potential)を用いて検討しました。
 検討の結果、急速眼球運動の開始前には記憶や情動に係る海馬傍回・扁桃体の賦活、急速眼球運動の開始に伴い運動イメージや運動実行、情報のバインディングに係る運動野・頭頂連合野の賦活、そして急速眼球運動の停留に合わせて視覚情報処理に係る後頭部視覚野の賦活が観察されました。レム睡眠の中でも急速眼球運動が出現する区間では出現しない区間に比べてより鮮明な夢見体験が報告されています。本研究結果より、急速眼球運動に伴って観察されたこれらの一過性の脳活動が鮮明な夢見体験の生成に関与する可能性が示唆できました。今後は、急速眼球運動との関連が観察された脳活動のうち特に海馬傍回・扁桃体、運動野を取り上げ、なぜ夢見過程で記憶再生や情動・運動の知覚過程が体験されるのか、日中の経験と睡眠中の脳活動を指標に検討して行きたいと考えています。



所沢地区の研究者の情報交換の場の一つとして、この会を定期的に開催いたします。講演者として適当な方がおられましたら、学内・学外、自薦・他薦問わず是非御推薦下さい。

スポーツサイエンス研究会世話人
彼末 一之
早稲田大学 スポーツ科学学術院
〒359-1192 
埼玉県所沢市三ケ島2-579-15
Tel & Fax:04-2947-6751
E-mail:kanosue@waseda.jp