本拠点が目指すアクティヴ・ライフとは心と体の健康を指すのみならず、人々が活力をもって生きることのできる地域や社会のあり方をも含むものです。日本は長寿世界一でありながら、要介護高齢者は年々増加し、中高年者のメタボリックシンドロームが社会問題となっています。一方、子どもの心身異常も顕在化してきており、体力・運動能力の低い子どもや、対人関係や社会関係を構築できない子どもの増加などが指摘されています。このような健康問題は日本だけではなく世界共通のものとなりつつあり、その解決にはスポーツ(運動)が大きな可能性を持つと期待され、スポーツ振興はあらゆる世代に求められるものとなっているのです。UNESCOの「プンタデルエステ宣言」(1999)では、「身体活動への1ドルの投資は3ドルの医療費を削減する」と謳っています。ところが、スポーツを下支えする多くの分野において、特に科学的に高い専門性を持った人材が圧倒的に不足しています。そこで、本拠点では高い専門性と幅広いスポーツ科学の知識を兼ね備えた人材育成のために、日本そして世界(とくにアジア・オセアニア地域)の教育研究拠点を形成することを目的とし、この目的の達成に向け、戦略的プロジェクトテーマとして以下の課題を設定します。
「スポーツ科学」はそれ自体が学際的・複合的な学問領域です。本拠点では単にスポーツ科学を総花的に展開するのではなく、上記の3つの戦略的プロジェクトを進行させることで、"Sport Sciences for Active Life"と呼ぶにふさわしい新学問体系を構築することを目指しています。
【アクティヴライフの創出】