・野球部へのサポート
本研究室では野球部へのデータフィードバックを行っています. こちらでは投手を対象にした投球フォームに関する資料を紹介します. 投手は打者を打ち取る為にカーブやスライダーなど複数の球種を投げ分けます. 打者としては投じられた球種が事前に判別できる打撃を有利にすることができます. その為,投手は球種を判別されないように出来るだけ同じフォームでボールを投じることが望まれます. そこで本研究室では異なる球種を投じた際のフォームを撮影し,それらを重ねて再生した動画をお返ししています. 左の写真は動画の1カットですが,フォームのどの部分がどのように異なっているかを視覚的に認識することで,フォーム改善の指標となる情報を提供しています.

・ 水泳部へのサポート
本研究室では水泳部を対象に肩の障害予防に関するサポートを行っております. 水泳競技では推進力を得るために腕を酷使するので,肩の障害が頻繁に発生します. 一般的に肩の動きは胴体に対する腕の動きとしてイメージされますが,実際には胴体と腕の間には肩甲骨が存在します. つまり,肩の動きは「胴体に対する肩甲骨の動き」と「肩甲骨に対する腕の動き」から成りたっています. こちらの測定では「胴体」,「肩甲骨」,「腕」に取り付けたセンサから,それぞれの動きを個別に測定することで肩の柔軟性を細かく評価しています. この結果から肩のどの部分の動きに制限があるかを明らかにすることで、重点的に行うべきストレッチについての指標を提供しています. また,これらの結果から水泳競技で頻発するインピンジメント障害のリスクを評価することができます.「自分のフォームの内,いつ,どれほどの時間,肩のインピンジメント障害が発生しうる姿勢になっているか」について分析することで,より障害リスクの低いフォームに近づけてもらおうと試みています.

・高齢者へのサポート
本研究室では高齢者を対象に上肢を動かせる範囲(可動域)を測定し,その結果をお返ししています. 一般的に加齢に伴い上肢の動かせる範囲が狭くなると言われています. 上肢の動かせる範囲が狭くなると,衣服の着脱や髪を洗うなどの日常生活動作能力が低下します. 年齢を重ねながらも充実した生活を送るためには,日常生活動作能力を正常に保つことが重要です. フィードバックによって自身の上肢の動かせる範囲を把握してもらうことで,日常生活動作能力の向上の一助になればと考えております. 右の図は上肢の可動域を示しています. 青い線で囲まれた領域が20代若者の平均的な可動域を示しています. 緑の線で囲まれた領域が60・70代高齢者の平均的な可動域を示しています. 赤い領域が,個人の可動域を示しています. この赤い面積が広いほど上肢の可動域が広いことを意味します.