1996年度(コメントは講演者に書いていただいています)
1月31日(金)志村 真帆呂(早稲田大学)
「Trigonal modular curves」

代数閉体上の曲線が一次元射影直線へのd次の被覆を持つ時、
d-gonalと言う。
d-gonalであるモジュラー曲線X_0(N)は有限個で、Nの上限はd
の多項式で与えられている(Zograf,Nguyen-斎藤)。
また、d=1,2に対し、d-gonalとなるX_0(N)は決定されている。
(d=2のときはOgg)
今回は、trigonal(=3-gonal)となるX_0(N)を決定したので、そ
れを紹介する。


◎  1月17日(金)鴨打  直人(Naoto Kamouchi)
「Picard Invariants of Mordell-Weil Groups」

Let E be an elliptic curve over a number field F; and p be a rational prime. 
Then there is a homomorphism form E(F) to the Picard group of the p-power
tosion points of E when the latter is viewed as a group scheme over
the ring of integers of F. This homomorphism will be the centre of the talk;
as well as its implicit connection with Iwasawa theory of elliptic curves,
and how the framework partially generalizes the normal integral bases problem
of algebraic integers. The strategy of the talk will be
to avoid the technical details and proofs in favour of giving
comprehensible view of what is declared above. 
 

◎  1月10日(金)A.Khrennikov(モスクワ工大)
「p-adic quantum physics」
Prof. Andrei Khrennikov
Moscow State Institute of Electronic Engineering
        (Moscow Technical University)

We study a role of a number system in the description of physical reality.
In fact, the using of real numbers is induced by the principle of physical 
measurement based on the Archimedean axiom. We investigated the most natural
non-Archimedean physical model - the p-adic model. This model is natural
because if we start with rational numbers (but only these numbers are the
"physical numbers" which can be obtained in experiments) and with a valuation
on $Q,$ then (according to the Ostrovsky theorem) we can construct only the 
field of real numbers or one of p-adic fields. 

The formalism of quantum mechanics and quantum field theory with
wavefunctions, which are valued in the quadratic extensions of $Q_p,$
is developed. In particular, we study the spectral theory of operators
in a p-adic generalization of Hilbert space. 
On the other hand to present a statistical interpretation for
p-adic valued wavefunctions we developed a generalization of
the theory of probability where probabilities are valued in the fields of 
p-adic numbers. This is a kind of non-Kolmogorovean probablistic model. Our 
formalism is based on a p-adic generalization of the frequency theory of 
probability of Richard von Mises. Applications to so-called Einstein-Podolsky-
Rosen paradox are considered.
                             

◎12月13日(金)角皆  宏(上智大)
「外 Galois 表現による Galois 群の『地図』の話」

代数多様体の基本群への作用から定まる Galois 群の表現を
外 Galois 表現と呼ぶ。適切な降中心列での隣接商を
考えることによってこの表現は Lie 環化されるのだが、
その Lie 環は次数構造を持つばかりでなく、いろいろな
群作用を受ける。この群作用で既約分解することにより、
Galois 群の区画整理をしようというのが『地図(atlas)』の
計画である。この話の大まかな紹介をし、状況が許せば
特に楕円曲線上の 3 点配置空間に於ける S_3 対称性について、
最近試みていることを話す予定である。


◎12月  6日(金)橋本喜一朗(早稲田大)
「Brumer の曲線族の再構成と最高性(!?)」

A.Brumer は 1980台後半に 3 個のパラメータを持つ
種数 2 の曲線族で,
  1) 有理数体上定義され,
  2) jacobian の自己準同型環が D=5 の実2次体の整数環
     と同型,
  3) Q上 GL(2)-type (i.e. 準同型が Q 上定義される)
のものを構成した. しかしその論文は未だ発表されず,方法
の詳細は不明である.
他方, この曲線族は,Q-curve,QM-curve,Q-split curve の
部分族で modular conjecture を証明(or 検証)出来るも
のを含むなど極めて良い性質を有する. より最近,近藤武
氏により この曲線族の定義方程式の 6 次式は, Q上 A5-
拡大を生成することが示され,代数的整数論からも注目さ
れつつある. 今回の話は, この曲線族を全く新しい観点
から出発して再構成し, 上記の話題を概観する予定.


◎11月15日(金)上田  勝(奈良女子大)
「On cuspforms of half-integral weight corresponding
  to very-newforms」

内容は,以前早稲田でおこなった講演内容を徹底的に具
体的にしたものがひとつと,もうひとつは,integral weight
の場合に very-newform という用語を導入し,それに対
応する half-integral weight の newform を決定するこ
とである.


◎11月  8日(金)佐藤  周友(東京大)
「p-進体上の多様体の余次元2の Chow 群のねじれ
  部分の有限性とサイクル写像の単射性」

p-進体上の非特異射影的代数曲面の余次元2の Chow
群とブラウアー群との間には自然な pairing がある.
この pairing を Chow 群の torsion subgroup に制
限した時の非退化性は, サイクル写像を torsion
subgroupに制限した時の単射性と関係があり, 曲面が
good reduction を持つ時には斎藤秀司氏によってこ
れが証明されている.
そこでこの torsion に制限したサイクル写像の単射
性について, 曲面が semi-stable reduction を持つ
場合に考察する.


◎11月  1日(金)田谷  久雄(東北大)
「Greenberg 予想と p 進ゼータ関数について」

ある総実代数体における岩澤不変量の零性に関する
Greenberg の定理を、p 進ゼータ関数を使って書き換
える。基礎体が実アーベル体の場合には、そのχ-部分
ヴァージョンも与える。また、これに関する幾つかの
具体例も紹介したい。


◎10月25日(金)吉冨 賢太郎(京都大)
「ヤコビ曲面上の canonical height
  について」

種数2の超楕円曲線のヤコビ多様体は2次元のアーベ
ル多様体であり、その上の canonical height が定義
される。canonical height は Mordell-Weil 群の構造
の研究、および、Mordell-Weil 群と Hasse-Weil Zeta
関数の特殊値との関係で有名な Birch-Swinnerton-Dyer
予想を記述するのに使われる。与えられた超楕円曲線か
ら、そのヤコビ曲面上のハイト関数を計算する effective
な公式を与え、その応用として Birch-Swinnerton-Dyer
予想の実例を計算する。


◎10月18日(金)西来路 文朗(大阪大)
「Q上定義された2次元 Abel 多様体の $\ell$-
  等分点のなす体の Galois 群について」

Shimura は, modular 楕円曲線 $X_0(11)/Q$ の
$\ell$-等分点のなす体の Galois 群が, 
$7 \leq \ell \leq 97$ なる素数 $\ell$ に対し
て $GL(2,Z/\ell Z)$ に同型であることを示し, 
この曲線の $\ell$-等分点のなす体の Galois 群
は,有限個の $\ell$ を除いて $GL(2,Z/\ell Z)$
に同型であろうと予想した.Serre はこの予想が
一般の non-CM型楕円曲線について正しいことを
示している.
ここでは, $End(A)=Z$ なる2次元 Abel 多様体の
$\ell$-等分点のなす体の Galois 群について考察
する.  特に, 種数2の超楕円曲線 $y^2=x^5+x+1/Q$
の Jacobi 多様体の $\ell$-等分点の体のGalois 群
が $5 \leq \ell \leq 199$ なる素数に対して
$GSp(4,Z/\ell Z)$ に同型であることを述べる.


◎10月11日(金)松原 利治(東工大)
「higher  direct  image  の
  log  Hodge  structure につ
  いて」

Variation of Hodge structure (V.H.S.) を log
geometry の観点から考察する. Unit disk 上の
V.H.S. が与えられたとき,原点以外の fibre で
は H.S. が現れるが,原点ではこれが退化し混合
H.S. になる.一方, log geometry では smooth
でなくとも normal crossing 程度の特異点であれ
ば smooth なときに成り立つ性質に相当するもの
が成立し得る.V.H.S. に対しこれを適用する.


◎10月4日(金)柳井 裕道(愛知工大)
「高次元虚数乗法論の周辺」

高次元虚数乗法論の概略とそこから派生するいくつかの
問題を特に例を中心として紹介する.


◎9月27日(金)長谷川 雄之(早大)
「Q-curves  over  quadratic fields」

E を代数体上の楕円曲線とする,E がその
\bar{Q}/Q 上の共役すべてと同種となるとき,
Q-curve という.任意の Q-curve は modular
曲線 X_1(N) の Jacobian J_1(N) の factor
に同種であろうと予想されている (cf. 谷山-志村
予想). 今回は,2次体上の Q-curve の family
をいくつか紹介し,あわせて上記予想の検証を
する予定.


◎9月20日(金)伊藤 崇史(中央大)
「標数 p の曲線の基本 p 群を Galois 群に持つ
  covering の標数 0 への持ち上げについて」

標数 p の曲線の p 次巡回 covering は、加法群 scheme
から乗法群 scheme への変形を記述する群 scheme によっ
て標数 0 の covering に持ち上げることができる。
この理論を組み合わせて、基本 p 群を Galois 群に持つ
covering の標数 0 への持ち上げの例を構成する。


◎7月12日(金)Eric Liverance(立教大)
「Root Numbers of Elliptic Curves」

 For every modular elliptic curve defined over Q (by now,
this means almost all), the corresponding L-function, initially
defined by an Euler product converging for Re(s)>2, extends to
the complex plane and satisfies a functional equation relating
the value at s to the value at 2-s. Entering into this functional
equation is a +/-1, the so-called root number. The Birch and
Swinnerton-Dyer Conjecture predicts that the order of vanishing of
the L-series at s=1 should be the Z-rank of the Mordell-Weil group
of the elliptic curve. Thus conjecturally, the root number will
give us parity information about the rank. In particular, if the
root number is minus one, the rank must be positive. The root
number of an elliptic curve however does not depend on the fact
that the elliptic curve is modular. It may be defined intrinsically
in terms of the arithmetic of the elliptic curve. We shall discuss
the speaker's closed formula for the root number of the family
of curves y^2=x^3+D, those of j-invariant j=0. We shall also
discuss how root numbers may be used to detect information about
the rank of an elliptic curve over number fields.


◎7月5日(金)寺井 伸浩(足利工大)
「The Diophantine equation $a^x +b^y=c^z$」
 
$a, b, c, p, q, r$は$a^p + b^q=c^r ((a, b)=1 かつ
p, q, r \geq 2)$を満たす固定された正の整数とする. そのとき, 
不定方程式 $a^x +b^y = c^z$は唯一つの正の整数解$(x, y, z)
=(p, q, r)$をもつ, という予想がある. $(p, q, r)=(2, 2, r)~ 
(r:odd \geq 3)$のとき, ある種の$a, b, c$に対してこの予想が
成り立つことを, 最近のBaker理論の結果を用いて示す.


◎6月21日(金)小松 啓一(早稲田大)
「Siegel modular function の
  特殊値による normal basis の構成」


◎6月14日(金)山形 周二(東京電機大)
「Hodge−Tate分解とSenの問題」

p-divisible group 等の Hodge-Tate 分解の Fontaine
(1982年) による証明の紹介とその一部分と局所整表現
についての Sen の問題との関係。


◎6月7日(金)中里 肇(東京高専)
「Modular曲線のCM点について」

modular曲線の虚二次体Kに関するCM点として, Kに属する
上半平面の点が対応する点を考える. modular曲線X_1(N)
のヤコビ多様体J_1(N)がCM型でない商アーベル多様体を
もつとき, CM点がJ_1(N)の中で無限位数をもつ十分条件
を与える.


◎5月31日(金)加川 貴章(早大理工)
「不定方程式 4x^4-37y^2=-1 と、その Tr((6+√37)^n) への応用」

前回(1月26日)の「実二次体上定義された至る所 good
reduction を持つ楕円曲線について」の中で障害の一つに
なっていた
           Tr((6+√37)^n)=□ ⇔ n=3
を、上記の不定方程式を解くことにより解決できたので、
そのことについて話す予定である。
(Q(√37)上の至るところ good reduction を持つ elliptic
curve を全て決定することは、未だ成功に至っていないこ
とを、念のため付け加えておく)


◎5月10日(金)福田  隆(日本大学)
「相対p次実巡回拡大体の岩澤λ_p-不変量について」

岩澤によって得られた代数体のp次巡回拡大のλ_p-不変量
に関するRiemann-Hurwitz型の公式の応用として、総実代数体の
p次巡回拡大のλ_p-不変量が0になるための十分条件を与える。


◎4月26日(金)相羽 明(茨城大学)
「Carlitz加群と整数環のガロア加群構造」

N/K:ガロア拡大, G=Gal(N/K), O_N:Nの”整数環”
A(N/K)={x\in K[G]; xO_N\subset O_N}
としたとき、O_NはA(N/K)-加群としてfreeか?
という問題をN,KともにCarlitz-加群分体
(有限体上一変数有理関数体のアーベル拡大体の一種)
のときに考え、円分体の場合と比較する。


◎4月19日(金)尾崎  学(早稲田大学)
「ある種の総実代数体の類数のp-整除性の判定法とその実円
  分体への応用について」

ある種の総実代数体の類数が素数pで割れるかどうかを, p進
ゼータ関数の値で判定できることを示し, それを用いて類数
がpの高い巾で割り切れる実円分体を構成する.


◎4月12日(金)梅垣  敦紀(早稲田大学)
「p-isogeny を持つ everywhere good な Q-curve の構成」
  \bar{Q} 上定義された楕円曲線 E について, E がその Galois

共役の全てと \bar{Q} 上 isogenous であるとき, Q-curve という.
  f を合同部分群 \Gamma_1 に対する重さ 2 の cusp form で,
Nebentypus character が実 2 次 Diriclet 指標であるようなも
のとする.f の Fourier 係数の体が 2 次体であるとき, f に対
応する Q-simple abelian surface A_f は, ある 2 次体上で互い
に共役な楕円曲線の直積に分解するが, これらは everywhere good
reduction を持つ Q-curve の例を与える (Shimura).
  逆に, f から出発せずに everywhere good な Q-curve を構成
することは, Taniyama-Shimura 予想の高次元化の具体例を考える
上で興味深い問題である.
  そこで, いくつかの素数 p について, 
    1) 実2次体上定義される, 
    2) everywhere good reductionを持つ, 
    3) 共役とのdegreeが p とできる, 
という条件を満たすQ-curve の構成法を得たので, それを報告する.


----------早稲田大学講演会------------
◎5月17日(金)15:30〜17:00 
◎場所:54号館301号室 (3階)
  Ram  Murty(McGill大学)
  「On  ABC  Conjecture」

◎講師:B.Ramakrishnan
        (Mehta Research Institute)
◎題目:「Modular forms which behave like theta series」


◎日程:5月31日(金)13:00〜14:00
◎場所:51号館18階12号室

◎講師:B.Runge(Max Plank and Osaka)
◎題目:「Cycles on Shimura Varieties」
◎日程:6月28日(金)15:30〜17:00
◎場所:早稲田大学 理工学部 55−S号館4階06教室