第三章 タイのこれから

(1)タイの就学率と識字率について

 タイの教育制度は、6-3-3-4制であり、義務教育は6年である。(初等教育は7-15才)就学率は男女ともに高く(初等:93.7% 中等:32.6% 高等:9.4%)識字率も男女平均が93%と高い。しかし、この統計がどこまで本当かは疑わしい。というのは、タイは基本的にはタイ語であるが、ラオス国境付近ではラオ語が使われているし、また、旧国民党の多くの残兵が北タイに難民として今でも多数存在し、この辺りには学校が非常に少ない。また、中部タイや官公庁などでは英語も広く普及しており、初等教育を改革する必要があると思われる。また、1996年10月から始まった第8次国家経済社会開発計画のなかで依然として「国民の能力を、知力、知力、健康、職業能力、経済・社会・政治の変化への対応力の面で向上させる」とある。そして、
I 0〜5才児のための環境の質を改善するために努力する。
II レベルにおける教育システムの質を改善する。特に9年間の基礎教育をすべての児童に普及させる。基礎教育の12年への延長と教師のための継続的訓練を準備する。
III 工場労働者の技術・知識の工場を、特に25〜45才を優先する。
などと書いであるからには、やはり初等教育のレベルがどれほどのものかが察しできる。
 タイの総人口は6001万人であるが、そのうち産業別構成では、農林水産業従事者が53.3%と最も多い。また、就業者の従業上の地位別構成を1996年推計で見ると、賃金の支払いを受けない家族従事者が農業の814万人を中心に995万人(30.5%)いる。
 タイの就業構造の特徴の一つに、技術者、熟練技能者不足があるが、就業者の最終学歴構成を見ると(1995年8月調査)、就学経験なしが6.6%、初等教育修了69.3%、中学・高校卒14.4%、大学卒4.1%などとなっている。
 タイの歳出予算の機関別内訳によると、1996年度の教育省に当てた予算の割合は、15.8%と内務省についで高く、1997年度案では22.3%増の16.5%となっている。熟練者・技術者の育成と教育の基礎的なインフラが今後の経済立て直しの重要な要因となるだろう。


(2)所得格差と地域間格差

 下のタイの所得格差と地域間格差に関する資料を参照にそれぞれについて述べる。
 まず所得格差について見ていく。全家計の所得を大きい順に並べてみたとき、上位20%の家計の所得が全家計所得に占める割合は、1994年で50.5%、逆に下位20%の家計が占める割合は5.4%になっており、この両者の格差は9.4倍にものぼる。しかし88年から92年まで年々拡大した後、94年には一転して縮小しており、所得格差の是正が進んでいる。こうしたことから80年代後半から90年代初頭にかけて、8%前後の安定成長を続けるなか、高所得者の所得の伸びが一服する一方、低所侍者の所得水準が着実に押し上げられたと考えられる。こうした所得の底上げは貧困家計(生活のために必要な最低限レベル以下の家計)の減少にも表れている。貧困家計が全家計に占める割合は86年から92年にかけて着実に低下した。
 次に地域別所得配分の構造を見ていく。所得はバンコクとその周辺地域に集中し地方(特に東北部)が取り残された状態が続いた。付加価値ベースで見ると1994年にタイ全体で生み出された付加価値の51.5%はバンコクとその周辺で生み出されたことがわかる。また一人当たりの所得を見てもバンコクとその周辺は7402ドルであるのに対して最も貧しい東北部では805ドルで格差は約9倍にものぼる。しかし両者の格差は86年から93年まで増加した後94年には9.20倍へと縮小している。
 しかし、このように地域格差是正の兆しが見られるものの、引き続き大きな格差が存在していることは事実であり、これからの政府の重要課題の一つである。

資料:所得格差
資料:地域間格差

(3)メキシコ通貨危機と比較して

申し訳ありません。後日掲載します。