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研究ノート

■2011年度「第16回日本心療内科学会総会」における学会発表
シンポジウム7 『東日本大震災における心療内科医の役割』
 座長:本郷道夫(東北大学病院総合診療部)
     生野照子(神戸女学院大学人間科学部)
『原発避難者への官民協同支援体制の構築:埼玉県を事例に』
  ○辻内琢也、千田瑛子、永友春華、伊藤康文、中上綾子、鈴木勝己
  (早稲田大学人間科学学術院、早稲田大学大学院人間科学研究科)
  猪股正、北村浩、広瀬隆、和久井みちる
  (震災支援ネットワーク埼玉〈SSN〉)



◇研究の目的:
 東日本大震災は、東北地方に地震と津波による大きな被害をもたらした上に、原子力発電所事故により長期にわたって放射能汚染から身を守るために避難する県外避難者を生みだした。その数は、11月現在で46都道府県に5万8769人にのぼると発表されている。
 本研究では、原発避難者の特徴を明らかにした上で、埼玉県への原発避難者を対象としてた支援のあり方を考察する。

◇避難指示区域・計画的避難区域:


 原発事故に対する避難区域を表した福島県地図です。避難指示区域に指定された20km圏内には、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、南相馬市の一部、葛尾村の一部、田村市の一部、川内村の一部などが含まれます。

◇避難指示・避難勧告・自主避難者数:


 福島県から4月23日に発表された、それぞれの市町村からの避難者数を表した表です。浪江町からが最も多く約1万7800人、富岡町からは約1万5500人、大熊町からは約1万1400人、楢葉町から約7800人、双葉町から約6900人。これら危険度が高い「避難指示」による避難者数は約6万5000人にのぼります。
 危険度がやや低いとされる「避難勧告」による避難者は約1500名。その他、約1万4500人におよび大勢の方々が「自主避難」されていることがわかります。

◇福島県からの県外避難者:



 左の表は、福島県が発表したデータから、4月以降11月までの避難者数を抜粋したものです。4月の頭の時点では2万人代だったのが、4月の終わりには3万人をこえ、7月には4万人を、8月には5万人を突破しており、11月現在でもいまだに増え続けていることがこのデータからわかります。11月15日のデータでは5万8769人にのぼります。
 このデータは、あくまでも福島県からの県外避難者数です。そのほかにも、周辺県からもおそらく多数の方々が放射能問題によって避難しているものと考えられます。
 右の表は、福島県からの避難者が多い県を順にあげています。11月15日時点で、山形県が最も多く約1万2500人。続いて東京都、新潟県が約6500人、埼玉県は4番目で約4700人です。

◇福島第一原発事故を逃れて埼玉県へ:


 本研究は、原発事故から逃れて埼玉県に避難されてきた方々を対象にしています。2011年6月調査では、福島県から埼玉県への避難者数は約7000人。11月現在は約4700人と言われています。図に示したのは、町役場機能と共に避難してきた福島県双葉町の方々の避難経路です。震災直後にはじめは川俣村に避難したそうですが、その後そこも放射能が危険だということで、一時避難所である「さいたまスーパーアリーナ」に避難し、4月からは埼玉県加須市に移っています。

◇「さいたまスーパーアリーナ」一時避難施設:


 3月16日に、知事会の要請を受けた埼玉県は、「さいたまスーパーアリーナ」に、避難者一時受け入れを決定しました。3月17日には避難者268名が到着し、3月19日には福島県双葉町町民約1200名が、町役場機能と共に到着しました。3月31日に閉鎖されるまでの約2週間で、最大2500人が生活をしていたようです。スライドは、朝日コムが発表した写真です。

◇都市型避難所の特徴
 被災した居住地から遠く離れた都市部にできた「さいたまスーパーアリーナ」のような都市型避難所は、これまでにないタイプの避難所です。東日本大震災に伴う原発事故が原因で、避難者だけでなく、支援者にとっても戦後初めての出来事だと言えるでしょう。
 一時避難所「さいたまスーパーアリーナ」では、ボランティア・ステーション(県社協)が設置され、@食事・炊き出し班(青年会議所)、A物資・仕分け班(社協)、B保育班(彩の子ネット)、C情報班(ハンズオン埼玉)、D相談班(SSN)、などが設置され、協力して運営されました。

◇【研究1】『震災支援ネットワーク埼玉(SSN)』による「さいたまスーパーアリーナ」アンケート調査の解析


 「震災支援ネットワーク埼玉(SSN)」が一時避難所利用者受付票として行った、アンケート調査の解析を行いましたので、その結果をご報告いたします。

◇アンケート実施の概要:


◇アンケート回答項目:


[回答日時] 2011年3月18日〜20日
[回答者]代表者人数・・・532名、家族成員も含めた総人数・・・1645名(男性792名、女性820名、不明32名)

◇「さいたまスーパーアリーナ」避難者の住所地別人数:


◇避難者の年齢構成(男性)の特徴:


 「さいたまスーパーアリーナ」に避難されてきた方の男性の年齢構成(左図)を、平成22年9月時点の人口動態統計、福島県・相双管内年齢人口(右図)と比較してみました。右図の年齢構成のカーブ(青線)を、左図に重ね合わせると、特徴が見えてきます。赤色丸の部分が突出して多い世代で、5歳〜19歳の男子、つまり小中高校生の男子が多く避難してきていることがわかります。それに対して、黄色丸の部分が少ない世代で、20歳〜34歳の男性、55歳〜59歳の男性の避難者が少ないことがわかります。

◇避難者の年齢構成(女性)の特徴:


 同じく、「さいたまスーパーアリーナ」に避難されてきた方の、今度は女性の年齢構成(左図)を、平成22年9月時点の人口動態統計、福島県・相双管内年齢人口(右図))と比較してみました。右図の年齢構成のカーブ(青線)を、左図に重ね合わせると、特徴が見えてきます。赤色楕円の部分が突出して多い世代で、5歳〜14歳の女子、40歳〜49歳の女性の避難者が多いことがわかります。逆に、黄色楕円の部分、55歳〜59歳の女性の避難者が少ないことがわかります。このデータからは、子育て世代の母子の多くがアリーナに避難してきた、ということが読み取れます。

◇アリーナ避難者の年齢構成の特徴(まとめ):


◇避難者の世帯人数:


 避難者の特徴として、1人世帯、2人世帯、が多いことがわかります。また、10人以上の世帯も見られました。

◇1人世帯・2人世帯の内訳:


 1人世帯では、70歳代の方が24名、60歳代の方が27名、と多く、65歳以上の人口が36%でした。これは、避難者全体(1645名)の65歳人口が23%であることと比較して多く、一人世代の高齢者率が高いことを示しています。
 2人世帯では、70歳代夫婦が22組、60歳代夫婦が21組、80歳代の親を抱えた親子の世帯が15組、70歳代の親を抱えた親子の世帯が7組と多く見られました。ここからは、2人世帯では、高齢者夫婦、および、高齢の親を抱えた親子が多いという特徴が見出されました。

◇アリーナ避難者人口構成からみた、今後必要なケアの対象:


◇原発避難者を国内難民にしないために:


 原発避難者の人口構成を見てみると、女性と子供が多いことがわかりました。国連UNHCR協会のチラシに書かれている文言に照らし合わせると、原発避難者が難民に極めて近い存在であることが見えてきます。開発人類学者の菊池靖(2003)によると、ダムなどの開発によって生じた国内を漂流する難民を「開発難民/国内難民(development or domestic refugee)」と呼びます。原子力発電所という”開発”によって生じた、”国内難民”とも考えられます。今後、原発避難者を”国内難民”にしないために何が必要か、真剣に考えていかなければいけないと考えます。

◇【研究2】『埼玉県震災対策連絡協議会』による「官民協同支援体制の構築」を目指した活動の報告:



◇『埼玉県震災対策連絡協議会』の紹介



◇協議会構成メンバー:


 実際には、上の図のような、民間団体、行政機関、士業団体が参加しています。ここにあげた団体以外にも、協議会に参加されている団体もあります。

◇原発避難者の現在の問題点

 
 2011年11月現在では、埼玉県内のほぼすべての避難所が閉鎖され、避難者は公営住宅や民間住宅に個別避難し、地域での生活を模索している状況です。
 SSNなどの民間団体の相談からは、
 @情報が入らない、支援が届かない、
 A避難先の地域に理解してもらえない(なじめない)、
といった問題が見出されており、今後は個人情報を把握している”官”と、実質的な支援を行う”民”との協同による、「社会的包摂(social inclusion)」の考え方に基づいた新たな支援体制の構築が求められています。

◇埼玉弁護士会からの3つの提案:


 『埼玉県震災対策連絡協議会』の発起団体である埼玉弁護士会では、次のような3つの提案を行っています。
 @個別避難者を支援するための支援情報窓口の設置、
 Aあらゆる分野の相談い対応できる総合的な相談体制の構築。(ワンストップ相談窓口の設置)、
 B官民連携型の協議会の定期的な開催、
の3つです。

 @に関しては、現在のところ、民間の支援団体が企画しているイベントを含む各種の支援情報を県や市町村に預け、各自治体が定期的に集まった資料を避難者へ郵送で届けるという体制がでできあがりつつあります。
 Aのワンストップ相談窓口に関しては、後ほど述べる「寄り添いホットライン」という全国的な電話相談の開設が企画されています。
 B埼玉県震災対策連絡協議会の定期的な開催を続けることになっています。

◇埼玉弁護士会の対案「個別避難者支援モデル」


 埼玉弁護士会が提案した「個別避難者支援モデル」をみてみましょう。避難者の個人情報は各市町村が個別に把握しておりますが、その情報を県が集約し、各市町村と連携して県に支援情報窓口を設置するという案です。「各市町村」、「各士業専門家団体」そして「各民間団体」から、どのような支援を行っているのか、どのような支援ができるのかという情報を県に届け、県がそれぞれの団体に支援を要請し、各団体が個別避難者に支援を実施するという案です。

◇「社会的包摂(social inclusion)」とは?


 これらの活動のバックボーンとして、最近注目されてきている「社会的包摂(social inclusion)」という考え方がとても重要です。障害保健福祉研究情報システム(2011)は、社会的包摂という概念を次のようにわかりやすく紹介しています。
 「全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う」という理念です。
 この概念は、EUやその加盟国に始まり、近年の社会福祉の再編にあたって、社会的排除、失業や技術および所得の低さ、粗末な住宅、犯罪率の高さ、健康状態の悪さ、および家庭崩壊などの、互いに関連する複数の問題を抱えた個人、あるいは地域に対処する戦略として、中心的な政策課題のひとつとされるようになった考え方です。

◇寄り添いホットラインの開設:


 今回の東日本大震災をきっかけに、震災による被災を超えた社会的支援として、「寄り添いホットライン」という画期的な試みが始まりました。2011年10月11日から、岩手・宮城・福島の3県からスタートしており、今後内閣府の予算を得て全国展開するシステムです。フリーダイヤル、279−338、つなぐーささえる、でつながる電話相談によるワンストップ窓口を目指しています。
 
 受け付ける相談内容は以下のようなものがあげられています。
 @生活や暮らしに関する相談
 ADV(ドメスティック・バイオレンス)や性被害の相談
 Bいますぐ辛い気持を聞いて欲しい
 Cその他すべての相談

 今回の震災をきっかけに始まったものですが、対象は被災者だけではありません。「社会的包摂」の概念のところでもでてきましたが、貧困や失業、犯罪の問題、健康問題、障害の問題、家庭の問題、さまざまな社会が抱えている問題への対応が目標です。自殺者数3万人が10年以上続いている日本社会を、少しでも上向きにするセーフティーネットのひとつとなることが目指されています。

 この「寄り添いホットライン」は、電話相談への積極的傾聴(カウンセリング的対応)をベースに、相談内容から、法律相談や、行政への質問、民間支援団体の紹介など、につなげていくプロジェクトですが、今後このシステムを構築していくためには多くの課題があります。
 まず、臨床心理や福祉の素養を身に付けた電話相談員の人数と質の確保が必要です。そして、相談内容に対して、いったいどのような社会資源が活用できるのか、総合的な社会福祉実践をコーディネートすることが大切になります。さらには、それぞれの地域にどのような社会資源があるのかも広くリストアップし、相談者の対応をお願いしたときに、それぞれの団体が紙面上の文言だけでなく、実際にどのようなサポートをしてくれるのかを把握している必要があります。電話口の対応から、コーディネート、そして社会資源につなげるまでの有効なシステムを構築していくために、今後”官”と”民”が真に連携して協同していく道を開拓していかなければなりません。

◇結論:


 結論です。東日本大震災によって直接的な被害を受けた被災地への支援・ケアはもちろんのことですが、震災と原発事故のために、被災地から全国各地に避難してきた方々への支援・ケアも大切です。特に、子育て世代(母と子)と高齢者へのケアが重要です。
 阪神淡路大震災後には、「こころのケア」の必要性が認知されましたが、今回の東日本大震災では、さらに「社会的ケア」の必要性が求められていると言えるでしょう。孤立化や社会的排除によって、避難者を「国内難民」にしないためにも、「社会的包摂」の観点からの社会的取り組み、身近な地域の人と人との「きずな、つながり」づくりが必要だと言えるのではないでしょうか。

■2010年度「第51回日本心身医学会総会」における学会発表
スピリチュアリティの医療化問題―補完代替医療領域の医療人類学調査から

【目的】

1998WHO健康憲章改正案として提出された「スピリチュアリティ」という用語は、我が国では特に緩和医療や補完代替医療領域において歓迎された。人生の意味、絶対的な存在とのつながりと力、畏敬の念、統合性と一体感、心の平安と安寧、希望や信仰、など多様な意味を含みながらも、民族・宗教・価値観の相違を超えた普遍的概念として定義されつつある。一方、従来のWHO健康定義に「社会的に良好な状態」の実現が提唱されていることに対し、医学や健康の専門家に政治的・経済的・社会的なものを含んだ問題を任せてしまう危険性も指摘されている。Illich1975)が指摘した「医療の知識と技術が、臨床の場を超えて人々の日常生活に浸透していき、直接的には医療と関わりのない様々な活動においても医療専門家が大きな権限を持つようになること」すなわち『医療化(medicalization)』の問題である。本研究では、スピリチュアリティが扱われることの多い補完代替医療領域への医療人類学調査から、この問題性を明らかにする。


【方法】

スピリチュアリティを自身の治療的価値観の中に位置付けている補完代替医療治療者(医師・柔道整復師・鍼灸按摩師・ヒーラー・巫女)の臨床現場へのフィールドワーク、治療者および彼らの患者らへのインタビュー調査を行った。


【結果】

慢性の病いを抱え、死を目前に苦悩している人々に対し、死後の世界の存在やひとの生きるべき道について教えようとするスタンスが治療者達に顕著に認められた。これはM.Foucault1975)の言う師牧者権力に相当し、苦悩する生活者の相談を受ける中で、人々の人生だけでなく死後の世界まで支配してしまう権力性に該当する。


【結論】

医療における「スピリチュアリティ」の扱いは極めて慎重に行われるべきであり、臨床現場での患者支配に使用されることのないよう厳重な注意が必要だと考えられた。

 



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■2009年度「第1回日本心身医学5学会合同集会」における学会発表
メタボリックシンドローム言説の抱える問題性―批判的医療人類学の知見から学ぶ

【目的】

20084月よりメタボリックシンドロームに着目した、生活習慣病予防のための新たな特定健診・特定保健指導が開始された。2004年に日本動脈硬化学会・日本肥満学会等の8学会が合同で発表した診断基準をもとに、中高年男性の約半数を心血管病予備軍とみなした、国をあげての公衆衛生政策の実施である。本研究では、このメタボリックシンドロームをめぐる問題性を批判的医療人類学の視点から明らかにする。

 

【対象と方法】

わが国において発表された医学論文の他、新聞・一般雑誌・インターネット情報など、メタボリックシンドロームに関連する様々な言説を分析対象とする。

 

【結果と考察】

現在わが国の健診で使用されている診断基準に対して、医学界内部からもそのエビデンスを疑問視する様々な論文が発表されている。また2007年には、国際糖尿病連盟(IDF)から日本人向けの新たな診断基準が提示され、社会的な“メタボ論争”が引き起こされている。通称“メタボ健診”には、受診者数や指導実績の低い保険者に対する後期高齢者支援金の増額というペナルティが課せられており、その社会的影響力は大きい。2003年に施行された「健康増進法」には、生涯にわたる健康増進を国民の責務と定めており、批判的医療人類学ではこの社会現象を「医療化(medicalization)」および「ヘルシズム(healthism)」の拡大と捉えている。さらにこの方向性は、“メタボ”と診断されながら健康増進に務めない者を、健康増進の義務不履行者として「スティグマ(stigma)=烙印」を押し社会的制裁の対象と見なし得る危険性を内包しているものと考えられる。

 

【結論】

このようなメタボリックシンドロームにおける様々な問題性を認識した上でのヘルスプロモーション活動・臨床活動が求められている。

 

 




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■私にとっての「医療人類学」

 私は、医師(内科医・心療内科医)としての臨床を行うかたわら、「心身医学(Psychosomatic Medicine)」の研究に従事してきました。医学系大学院の博士論文は“The Effect of Qi-gong Relaxation Exercise on The Control of Diabetes Mellitus(糖尿病コントロールにおける気功練習の効果)”というもので、糖尿病を患う方々に中国由来の健康法「気功法」を練習していただき、その効果を医学的+心理学的に実証したものです。

 この研究では、ランダム化比較試験という科学的手法を用いて、気功練習の効果の明確なエビデンスを世界に示すことができました。しかし、この研究を行いながら私の中にはある種の不全感が大きくなっていきました。東アジアに伝統的に伝わってきた“気”の文化を科学的な用語で翻訳したとたんに、その深淵で豊かな世界観が矮小化されてしまうように感じたのです。

 そこで出会ったのが「医療人類学」でした。世界の様々な医療を“文化”として捉え、その豊穣な世界を人類学を駆使して解明してゆく営みに魅了されました。これまで私が行なってきた現象を外部から普遍的・客観的に研究するエティック(etic)な視点ではなく、それぞれの文化を内部者の視点からイーミック(emic)にとらえるようとする学問的姿勢が自分にとってとても新しいものでした。幸い、外科医から文化人類学者に転向したと語る武井秀夫氏というよき師にめぐり合え、この深みのある「医療人類学」の世界に足を踏み入れることになりました。

 思えば、医学部学生時代には、自分の中に足りない“何か”を求めて、インド・チベット・中国・台湾をよく旅をして周ったものです。また、幼少期を南アフリカで過ごした私には、心の深層に“異文化”への複雑な思いが熟成されてきたようにも思います。この“異文化”へのあくなき興味を、広げ、深めていきたいと考えています。



 Photo by Takuya Tsujiuchi 2005

■辻内ゼミの必読書

【ナラティヴ】

     『物語としてのケア:ナラティヴ・アプローチの世界へ』,野口裕二著,医学書院,2002

《↑入門者にお勧め↑ナラティヴの全体像がすっとわかる》

     「病いの語り;慢性の病いをめぐる臨床人類学」アーサー・クラインマン著,江口重幸・五木田紳・上野豪志訳,誠信書房,1996

《↑医療人類学&ナラティヴを勉強する者の必読書!》

     「グリーンハル教授の物語医療学講座」トリシャ・グリーンハル著,斎藤清二訳,三輪書店,2008

《心理臨床・医療にすぐにでも役立つNBMの入門書》

     「ナラティブ・ベイスト・メディスンの実践」、斎藤清二・岸本寛史著、金剛出版、2003

     「ナラティヴと医療」江口重幸・斎藤清二・野村直樹(編),金剛出版,2006

     「ナラティブ・ベイスト・メディスン;臨床における物語りと対話」,グリーンハル/ハーウィッツ(編),斎藤清二・山本和利・岸本寛史(監訳),金剛出版,2001

     「傷ついた物語の語り手;身体・病い・倫理」,アーサー・W・フランク著,鈴木智之訳,ゆみる出版,2002

     「物語りとしての痴呆ケア」,小澤勲・土本亜理子著,三輪書店、2004

     「ナラティブ・セラピーの世界」,小森康永・野口裕二・野村直樹(編),日本評論社,1999

      

 


【医療人類学】

     「医療人類学入門」波平恵美子著,朝日選書491,朝日新聞社,1994

《↑まさに入門者にお勧めの本↑》

     「医療人類学のレッスン;病いをめぐる文化を探る」池田光穂・奥野克巳(編),学陽書房,2007

     「病と死の文化:現代医療の人類学」波平恵美子著,朝日選書414,朝日新聞社,1990

     「いのちの文化人類学」波平恵美子著,新潮選書,1996

     「病気と治療の文化人類学」波平恵美子著,海鳴社,1984

     「病むことの文化」波平恵美子(編),海鳴社,1990

     「人類学と医療(講座:人間と医療を考える第4巻)」波平恵美子(編),弘文堂,1992

     「現代医療の民族誌」近藤英俊・浮ヶ谷幸代編,明石書店,2004

     「病気だけど病気ではない:糖尿病とともに生きる生活世界」浮ヶ谷幸代著,誠信書房,2004

     「実践の医療人類学:中央アメリカ・ヘルスケアシステムにおける医療の地政学的展開」池田光穂著,世界思想社,2001

     「臨床人類学文化のなかの病者と治療者」アーサー・クラインマン著,大橋英寿ら訳,弘文堂,1992

     「ボディ・サイレント;病いと障害の人類学」ロバード・F・マーフィー著,辻信一訳,平凡社ライブラリー文庫,1997

     「医療・合理性・経験バイロン・グッドの医療人類学講義」バイロン・J・グッド著,江口重幸ら訳,誠信書房,2001

     書名:Culture, Health and Illness”著者:Cecil G. Helman, 出版社: Edward Arnold Publishers ; 5th edition, 2007

      

 


【文化人類学】

     「人類学のコモンセンス;文化人類学入門」浜本満・浜本まり子(編),学術図書出版社,1994

《↑入門者にお勧め↑文化人類学の基礎的なものの見方がわかる

     文化人類学(カレッジ版)」波平恵美子(編),医学書院,1993

《↑入門者にお勧め↑医療人類学の基礎となる文化人類学の全体像がわかる》

     「よくわかる文化人類学」綾部恒雄・桑山敬己(編),ミネルヴァ書房,2006

     「文化人類学のレッスン;フィールドからの出発」奥野克巳・花渕馨也(編),学陽書房,2005

     「人類学の歴史と理論」アラン・バーナード著,鈴木清史訳,明石書店,2005

 


【医療社会学】

     「現代医療の社会学;日本の現状と課題」黒田浩一郎(編),世界思想社,1995

《↑入門者にお勧め↑医療社会学の基礎が学べる》

     「医療神話の社会学」佐藤純一・黒田浩一郎編,世界思想社,1998

     「医療社会学のフロンティア:現代医療と社会」黒田浩一郎編,世界思想社,2001

     「医療社会学を学ぶ人のために」進藤雄三・黒田浩一郎(編),世界思想社,1999

     「病気と医療の社会学」田口宏昭著,世界思想社,2001

     「健康病;健康社会はわれわれを不幸にする」上杉正幸著,洋泉社新書,2002

     「脱メタボに騙されるな!」佐藤純一・浜六郎・和田知可志著,洋泉社新書,2008

《↑一読の価値あり!》

      

 


【質的研究・質的心理学】

     「質的心理学;創造的に活用するコツ」武藤隆・やまだようこ・南博文・麻生武・サトウタツヤ(編),新曜社,2004

《↑入門者にお勧め↑ビギナーのためのノウハウ集成》

     「保健医療職のための質的研究入門」、キャロル・ガービッチ著、上田礼子他訳、医学書院、2003年、3200

     「質的心理学研究」第12002No.1、武藤隆・やまだようこ・麻生武・南博文・サトウタツヤ編、新曜社(⇒日本質的心理学会の学会誌シリーズ)

     「〔ライブ講義〕質的研究とは何か;研究の着想からデータ収集・分析・モデル構築まで」西條剛央著,新曜社,2007

      

 


【心身医学】

     「心のストレス病;専門医がやさしく教える」筒井末春著,PHP研究所出版,2008

     「心身医学を学ぶ人のために」末松弘行・河野友信・吾郷晋浩(編),医学書院,1996

     「心身医学標準テキスト;第2版」久保千春(編),医学書院,2002

     「ストレスに負けない生活;心・身体・脳のセルフケア」熊野宏昭著,ちくま新書,2007

      

 



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