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特集・東日本大震災と早稲田大学 <第三回>東日本大震災による就活生への影響 池松健樹[2011/7/22]

 東日本大震災により、多くの人が影響を受けたが就職活動も例外ではない。今回はその点についてまとめる。

例年と今年の就活状況比較

 例年就職活動は早ければ大学三年生の9月(主にテレビ局)から始まり、春採用であれば6月ごろに内々定がそろい始めるというのが通例であった。しかし、今年に関しては6月から採用試験を始めるという企業も少なくない。地震の影響により人によっては遅ければ、7月まで就職活動が終わらないということもあり得るだろう。

震災と企業

 震災の影響を受けた企業がほとんどで、多くは事後の対応に追われる必要があり採用活動が後手に回るのは仕方のないことだ。また被災地の学生についても考慮する必要があり数多くの企業が選考の延期や、例年通りに進めつつも被災地学生用の選考期間を設ける等の対応を行った。新聞社が例年通りに採用活動を進める一方で、金融が5月以降、総合商社が6月以降に遅らせたことが例に挙げられる。また就職氷河期と言われている現状に加え、この震災が重なってしまったため、各企業の採用人数が減ってしまうのではないかという憶測も飛び交った。
 企業の選考が遅れ、就職活動の期間が延び、学生が多くの採用試験を受けられるようになったことで、結果として企業に更なる影響が及ぼされた。つまり、自社に入社する学生の人数を例年以上に正確に把握することが困難になったのだ。大企業の選考が後ろになることで、内定が出た際に、第一志望の企業の結果が出るまで保留し、場合によっては辞退する例も見られるようだ。

震災と私たち

 さて、地震が起きたちょうどその時、私は企業の面接が終わりすでに家に帰っていたのであまり影響を受けなかったが、私の周囲には何人か就活中に地震が来たという人もおり、知人に面接中に地震が起きたという人がいた。その人が言うには、地震が起きた時には机の下にもぐり、収まったのちに再開されたとのことだった。他にも地震の影響で帰宅できないことを考慮した企業側がホテルを用意し、そこに宿泊することができたという人もいた。私は地震後の就活として翌日にはテストセンターを受けに行き、二日後には企業の選考に臨んだ。しかし、ほとんどの企業が採用活動を延期させ、ES締め切りの延期連絡が当日に知らされ、それに伴って面接も遅くなった。

所感

 就活をするにあたり東京に関して言えば被害は多くなく、数日後にはほとんどの交通機関が動いていたので不便さは感じず選考は例年通りでも問題なかったが、やはりほとんどの人が地震に対して敏感になっていると感じた。被災地の方のことを考えると当然のことであるように思う。個人的には先輩から就職活動のピークには企業の面接がかぶってしまい、片方を断ることがあると聞いていた。しかし今年は長い期間で挑むことになったため、それが精神的・時間的なデメリットであるものの、全ての企業の面接をしっかりと受けることができたというのは大きなメリットだった。
 震災により就活生も多くの影響を受けた。以前から開始の時期が早いことによる、勉強への弊害や就職活動の長期化への疑問の声も上がっていた。今回の出来事はある意味特異な例であり、震災だからしょうがないと言われてしまえばそれまでである。しかし、これを参考にして就職活動の長期化問題について議論する意味があると私は思う。この経験を一つの特異な事例とするか意見し合うきっかけとなるかは私にはわからないが、個人的にはきっかけになって欲しいと感じている。

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シリーズ・放送人記者インタビュー2011