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土屋ゼミ2014年度 <第5回>誤報相次ぎ新聞の信頼度に逆風 ―世論調査から見る今後のメディアの展望―

  土屋ゼミ5期 岸下ひとみ

 

2014年10月、新聞通信調査会による「メディアに関する全国世論調査(2014年)」の結果が公表された。それによると、「新聞」を「NHKテレビ」が僅差で上回り、第一回調査から7年連続で信頼性が高いメディアとして首位を「NHKテレビ」が、2位を「新聞」が維持していることがわかった。また、人々の信頼に大きな影響を与える要因は「情報源として欠かせない」「情報がわかりやすい」「社会的影響力がある」の3点が多く挙がった。「情報源として欠かせない」メディアは10代から40代ではインターネットが最も多く、50代以上は新聞と回答する割合が最も高かった。

2014年度の調査結果で非常に特徴的だったのは新聞の信頼度の変化に関するデータである(グラフ参照)。信頼性が低くなった理由の1位は「誤報があったから」であった。「誤報があったから」と回答する割合は28.7%と前年度に比べて24.4ポイント増加していたが、これは吉田調書と従軍慰安婦問題の一件が影響しているのだろう。また、STAP細胞の論文不正疑惑に関する報道でも、「どのメディアもよいと思わない」という回答が最多となるなど、2014年度は新聞をはじめメディアの信頼度に逆風が吹く状況となった。

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出典:公益財団法人新聞調査会「2014年メディアに関する世論調査結果」 3 各メディアの信頼感は?

しかし、全体的な傾向として新聞についての印象は、情報の多様性や正確性など新聞が発信する情報に対する評価は高かった。特に原発関連報道については、「正確な報道」であると新聞を評価する割合が50.9%と高く、他のメディアより評価されていることがわかった。他の憲法改正問題報道など主要な問題に対しても、「NHKテレビ」「新聞」「民放テレビ」に期待する割合は多く、新聞は高い評価を受けていることがわかる。一方、別の調査項目を見ると、新聞の報道倫理に対してはプライバシーや人権の保護について厳しい目が向けられており、ここを打開することが新聞の信頼度向上の大きな鍵となりそうだ。

調査結果からは、新聞自体の評価は決して低いものではなく、新聞への満足度も高いことがわかる。しかし、高い評価の一方で新聞の購読数や新聞を読む時間は漸減する傾向が続いている。将来の新聞の役割について、2014年度の調査では「新聞の役割が少なくなっている」と考える役割減少派の割合が、「新聞の役割は大きい」と考える新聞持続派の割合を初めて上回るなど、徐々に新聞離れが進んでいるのも事実である。インターネットの普及など情報媒体が多様化する中で、新聞は今後どのような方策をとるべきなのか考えていく必要があるだろう。また、メディア全体として、2014年度調査では信頼度の低下が目立つ結果となった。メディアは信頼度回復に向けて、報道のあり方を今一度見直す必要があるのかもしれない。

参考文献

公益財団法人新聞通信調査会「2014年メディアに関する世論調査結果」 http://www.chosakai.gr.jp/notification/pdf/report7.pdf

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