ドイツ語の発音(音標文字の読みかた)

I 母音

1. 単母音

綴り  長さ  音標文字  発音の方法など
a [aː] 日本語の「ア」に相当
[a]
e [eː] 唇の両脇を後ろに引くようにして発音
[ɛ] 唇の緊張が弱い開いた音、日本語の「エ」に相当
ä [ɛː]
[ɛ]
i [iː] 唇の両脇を強く後ろに引くようにして発音、ふつう ie と綴る
[ɪ] 唇の緊張が弱い音、日本語の「イ」に相当
o [oː] 唇をしっかり丸めて発音
[ɔ] 唇の緊張が弱い、日本語の「オ」に相当
u [uː] 唇をしっかり丸めて発音
[ʊ] 唇の緊張が弱いが、丸めを忘れないように(日本語の「ウ」は唇が丸まらない)
ö [øː]

[o](長音)ないし [ɔ](短音)の唇の形で、[e] ないし [ɛ] の舌の位置で発音

「エー」と声を出しながら、唇を [o] [ɔ]の形に丸めてゆくとこの音が出る

[œ]
ü [yː]

[u](長音)ないし [ʊ](短音)の唇の形で、[i] ないし [ɪ] の舌の位置で発音

「イー」と声を出しながら、唇を [u] [ʊ]の形に丸めてゆくとこの音が出る

[ʏ]

2. 二重母音

au [aʊ] 「アオ」のように聞こえる
ei (ai, ey) [aɪ] 「アイ」と聞こえる
eu, äu [ɔʏ] 「オイ」と聞こえる

3. あいまい母音

 e アクセントのない音節で [ə] 「エ」に近く聞こえる

 er

音節末の -er [ɐ]  英語のアクセントのない語末の -er と同じ発音
 r 母音(とくにアクセントのない場合)の後で

Ⅱ 子音(注意を必要とするもののみ)

  ch a, o, u, au の後ろで [x] [k] の位置で奥舌が 上あごから少し離れ、空気がかすれる音

上記以外

(音節末の-ig も)

[ç] 日本語の「ヒ」の子音部分の音
 j [j] 日本語のヤ行子音の音
 l [l] 前舌が(前歯4本分くらいの)歯茎に接触している状態で、歯茎から離れている舌の両脇から空気を出す
 n [n] 語末では注意が必要。日本語は語末の「ン」が鼻母音になることが多いが、ドイツ語ではつねに子音の [n] なので、舌が歯茎全体につき、空気は鼻からのみ出す
 r [ʁ][ʀ] のどひこと奥舌の間で空気がかすれる音[ʁ]、あるいは、のどひこが震え、奥舌と接触・分離を繰り返す[ʀ]うがいをしてだんだん水の量を減らして行き、水なしでできるようになれば出せるようになるといわれる。
[r] 巻き舌のr 。舌が震え、歯茎と接触・分離を繰り返す。江戸っ子の「べらんめえ」調のラ行子音

 sch

(語頭のst-, sp- も)

[ʃ]  「シ・シャ・シュ・ショ」の子音に似た音だが、唇を丸めて発音する
tsch [tʃ] 
「チ・チャ・チュ・チョ」の子音に似た音だが、唇を丸めて発音する