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Research

主な研究対象:予冷ターボジェットエンジン


  • 予冷ターボジェットエンジンとは

  •  佐藤研究室の主な研究対象である予冷ターボジェットエンジンとは, ジェットエンジンにおけるインテークと圧縮機の間に熱交換器(予冷器)を置き、圧縮機に流入する空気をあらかじめ冷やす極超音速機用ジェットエンジンです。
     高マッハ数での飛行ではインテークにおいて流入する空気の速度が減速され、運動エネルギが熱エネルギに変換されるため、インテーク後の温度が非常に高くなります(大気温度と比べてマッハ5で1000度以上高くなる)。 さらに圧縮機で空気が圧縮されることで、その温度はより高くなります。
     このままでは圧縮機の翼が溶けてしまうので、予冷器を設置して空気を冷やすことにより高いマッハ数でも作動可能にしようということが、このエンジンの狙いです。
予冷ターボジェット(Sエンジン) (JAXA提供)

エンジンシステムの研究:システムチーム


  • 極超音速システム/航空用水素エンジンの最適化

  •  広い飛行マッハ数領域を持つ超音速/極超音速旅客機では、非設計点での問題が多く存在するため、 設計点だけでなく全体の性能を最適化する必要があります。 そこで極超音速の巡航機の多目的最適化を行うことによって、巡航マッハ数・燃料・用途によるエンジンパラメータの違いを調べ、 今後の設計などに役立つデータを得ることを目的とした研究をしています。 多目的最適化に関しては遺伝的アルゴリズムを多目的に拡張したMOGAを用いて計算しています。 本年度は超音速複葉機の重量推算モデルの構築などを行い、より高精度な最適化を目指しています。


    エンジンモデル
  • 極超音速エンジン動的シミュレータの開発研究

  •  エンジントラブル発生時に、原因究明のための有力な手法として数値シミュレーションが挙げられる。 また、エンジンの信頼性向上においても、開発設計段階で燃焼試験前にエンジンシステム全体の始動、停止、 故障時などの過渡特性を把握しておくことが重要である。 そこで、本研究ではJAXAで開発中の極超音速エンジンの過渡特性を解析する能力を有するシミュレータプログラムを開発することを目指す。
  • 予冷ターボジェットエンジンを対象とした動的シミュレータの構築

  •  極超音速エンジンにおける非定常状態のシミュレータを開発する。 これはエンジンの起動・停止・不具合といったような非定常運転時における各モジュールの挙動のシミュレートを目的としている。
     特に不具合発生時には、バルブ破損などの不具合想定原因を組み込んだ結果を実験結果と比較することで、原因を特定できる可能性がある。 ゆえにトラブル解析ツールとしての活躍が期待されている。 開発者だけではなく誰もが使用できるようなシステムの必要性から、GUIを用いた動的シミュレータの開発を行っていく予定である。

空力要素に関する研究:空力チーム


  • 空気取入口(エアインテーク)

  •  宇宙往還型スペースプレーンへの搭載が有力視されている予冷ターボジェットエンジンなどの超音速エンジンには、 高性能かつ高い信頼性を持ったインテークが必要となり、超音速インテーク班ではそれらのインテークに関する研究を進めています。 具体的にはインテークの先端形状、壁面荒さ、バズ特性などがどのようにインテークの始動性に影響を与えるかをCFD(計算流体力学)と 実験の両面から調査しており、 JAXA相模原キャンパスにて毎年約二週間の風洞試験を行っています。


    シュリーレン画像

    数値解析
  • 圧縮機

  •  極超音速機は静止状態から巡航状態(Mach5以上)まで非常に広い飛行マッハ数領域を持ちます。 そのため圧縮機の動作を常に設計点に保つことは困難です。 特に巡航状態においては、本来回転する翼によって空気を圧縮する圧縮機が、 風車のように空気によって回転させられるウインドミルと呼ばれる状態に近づくのではないかと考えられます。
      そこで本研究では非設計点、特にウインドミル状態での圧縮機内部流れを解析することにより、 ウインドミルの構造調査と性能向上、極超音速巡航時のウインドミルに近い状態での動作の問題点などを探ります。

熱流体要素に関する研究:予冷却チーム


  • 予冷器における着霜に関する研究

  •  予冷ターボジェットエンジンでは,伝熱管表面へ空気中の水分が付着する着霜現象が問題となっている. この着霜によって予冷器による空気の冷却効果は著しく減少し,同時に流路の閉塞によりエンジンの運転の妨げとなる.
     そこで本研究班では,この着霜対策をテーマとして実験研究を行っている.
     昨年度は伝熱管の断面形状に着目し,異なる断面形状を持つ伝熱管の着霜及び熱交換性能の比較を目的として実験研究を行った.実験から,今回新たに考案した断面形状を持つ伝熱管は従来の円形状に比べて大きな着霜抑制効果を示すことがわかった.また,冷却面温度によって霜の性質が異なり,着霜量が変化することも観測された.
     今後は,計測系を改善するとともに,伝熱管の多管化や内部に冷媒を流す場合の性能評価を行ったり,本研究の結果を踏まえた新たな着霜対策案を検討したりする予定である.




    熱流体要素に関する研究:二相流チーム

  • 二相流に関する研究

  •  Sエンジンの燃料には液体水素が使用されている。供給初期は沸騰しガス化するが、配管内壁温度の低下により液相へと相変化し、流量が増加する。 燃料流量増加によりコアエンジンの起動制御は非常に困難になるため、事前のシミュレーションが必要である。
     シミュレーション結果を元に状況に応じて要求水素流量をコアエンジンへ供給できるシステムをSエンジン実機へ搭載することが目標である。 シミュレーションを行うにあたり液体水素の相変化を正確に捉える必要があるため、水素沸騰二相流の熱伝達特性を取得する必要がある。 水素沸騰二相流熱伝達特性取得実験は今秋、JAXAあきる野実験施設にて実施予定である。 亜臨界、超臨界条件下での実験を予定しており、低圧条件においては沸騰状態の可視化も予定している。 現在は水素沸騰二相流熱伝達特性取得実験に向けて計測手法確立のため水−空気二相流を用いて実験を行っている。

液体水素の流速、ボイド率計測

コアエンジン液体水素供給系構成図

数値解析に関する研究:CFDチーム


  • 多孔壁通過流れのモデリング

  •  航空機の開発において風洞試験による空力の計測は 欠かせず、その計測の高精度化に様々な試みがなされている。 その一つとして、風洞内の流れをCFD(数値流体力学)によって再現し、 流れ場を調査する風洞全体解析が行われている。
     風洞全体解析において対象となる遷音速風洞の多孔壁をモデル化する 必要があるが、風洞多孔壁に対応できるモデルは現在存在しない。 よって本研究では風洞多孔壁に対応できるモデルの開発を 主にCFDのアプローチから目指している。

    多孔壁面におけるマッハ数分布


    抽気孔内流れの可視化図

BLIに関する研究:BLIチーム


  • BLIの研究

  • 環境適合性に優れた次世代航空機としてBlended Wing Body (BWB)という胴体と翼が一体となった航空機が研究されている.BWBにおいて採用が検討されている技術に,境界層吸込み式(Boundary Layer Ingestion:BLI)エンジンというものがある.本技術はエンジンを胴体翼上面に埋め込むように設置することで,機体表面で発達した境界層をエンジンに吸い込ませるものである.これにより,境界層の吸い込みのない条件と比較し,後流のエネルギー散逸を減少させ,エンジンの必要仕事を低減する事ができ,特に,高バイパスファンやコア分離型電動分散ファン推進系に効果的であることが知られている.一方で,エンジン入口の全圧減少や非一様流によるエンジン性能の劣化対策やファンの非一様流耐性が求められる. そこで,本研究では,BLIによるターボファンエンジンの性能変化に注目し,JAXA調布航空宇宙センターの高空性能試験設備にて BLI模擬による実験を進めている.将来的には,実験と数値計算を併用し,また,エンジンのみならず機体も統合した形で性能の評価ならびに向上に向けた指針を得る研究を実施する予定である.

    Turboelectric propulsion system(JAXA提供)


    BLI模擬時におけるファン前方の二次元分布図

その他の推進系に関する研究




気球落下型エンジン飛行試験機(BOV) JAXA提供

宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究により、
様々な宇宙関連の研究を行なっています。