学習カリキュラム

ゼミのおおまかな学習カリキュラムです。現在3年生(16期生)の活動をベースに書いております。

到達目標

ゼミを通して身に付けてほしいスキルはこのようになっています。
各スキルの詳細は番号を付けて以下で説明していきますので、そちらをご覧ください。

プレゼミ(2年秋学期)

ビジネスモデル(BM)分析

ゼミに入ると、最初にビジネスモデル分析(以下、BM分析)を行います。BM分析では、対象企業に対して興味深い問いを立て、「誰」に対して「なに」(どのような価値)を「いかに」して提供しているのか、をグループに分かれて分析します。このBM分析において最も重要な事は、「汎用性」と「独自性」を理解することです。「汎用性」のみを語っても、「独自性」のみを語っても、そのビジネスを本当の意味で理解したことにはなりません。私たちのゼミでは「そのビジネスの型・構造」を理解して初めて、「独自性・模倣困難性」を解き明かすことができると考えています。そのために、文献調査だけでなく、フィールドワークも重視しており、企業訪問や顧客インタビューなどの実地調査を何度も行います。そうして得られた情報をもとに、プレゼンテーションを行い、他のグループメンバーや大学院生、教授の前で研究成果を披露します。

新入生向けコースワーク

ビジネスモデル分析と並行して上級生による新入生向けコースワークを行います。
2021年度のコースワークでは、BM分析の進め方に留まらず、「ロジカルシンキング」とフィールドワークにおいて非常に重要な「聴く力」の2つのコアスキルを身につけてもらいます。

<本年度に扱う書籍例>
・井上達彦、中川功一、川瀨真紀(2019)『ベーシック+経営戦略』中央経済社
・照屋華子、岡田恵子(2006)『ロジカルシンキング』東洋経済新報社
・古賀史健(2021)『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』ダイヤモンド社

また、私たちのゼミではグループで本ゼミでの発表や研究を行います。そのため、このコースワークで、グループワーク・グループディスカッションの行い方を学びます。



<到達目標>
❶論理思考力
 適切な問いを立て、問いを構造化できるようになる
 問いに対して論理的に答えることができる
❷聴く力
 インタビュー対象に自由に語ってもらえるようになる
 言葉の中から本質的な情報が何かを判断できるようになる
❸BM分析力
 対象企業のビジネスモデルの面白さを語れるようになる
❹表現力
 伝えたい内容をプレゼンテーションを通して過不足なく伝えられるようになる
❺仮説検証力
 半年間のBM分析を通して、常に仮説をもちながら考動できるようになる
❻文章作成力/企画構成力
 外部の人に対して深い理解を促すような文章作成力を身につける
 動画作成を通じて、視聴者を惹きつけるような企画構成を考案できるようになる
 仮説を小さく早く賢く検証することができる

上記のようなBM分析と事前コースワークを2年生の秋学期に行う事で、3年生から始まるゼミ活動のスタートダッシュ成功に繋がります。

本ゼミ(3年春学期)

春Q

国内外のビジネスモデルの文献を幅広く扱います。毎週、発表班は担当する文献の理論に関する問いを立て、全体でディスカッションを行います。問いを突き詰めて皆で話し合うことで、独学では得られない気づきを導きます。
この作業を通じてビジネスモデルへの理解を深めます。一般に、ビジネスモデルの定義は多様で捉えどころがないとも言われますが、自分なりの捉え方ができるようになってもらいます。

<到達目標>
❼内容理解力/守破離の”守”
 学術論文の読み方を学び、内容を理解できるようになる
 研究において、まずは既存研究の深い理解が必要不可欠であることを理解できる

夏Q

秋の調査のリサーチデザインに向けた準備に取り掛かります。
1.ビジネスモデル研究をするのに有用な学術論文を読みます。
2.リサーチデザインの基礎を学びます。
3.グループを編成して調査課題を明確にしてもらいます。
 生まれて初めて本格的な研究をするという学生たちでも、スムーズに取り組めるように「研究の領域」と「研究の模範例」を明確に示します。
 研究室として継続性と新規性を重んじ、先輩たちの取り組みの上に新しい成果を生み出せるように協議を重ねます。

<到達目標>
 ❽批判的思考力/守破離の”破”
  文献・論文に対して問いを投げかけ、既存研究の批評を行うことができる
  対象論文をどのように拡張することができるか考えられるようになる       

      

秋調査(3年秋学期)

   

 春学期末のリサーチデザインにしたがって秋研究に取り組んでもらいます。現場のフィールドワークを通じて仮説を導出したり、データを用いて実証研究を行います。
 学期中はグループごとに研究の進捗を報告してもらいます。1学年4チームが目安なので、隔週で発表の機会があります。テーマについての相互理解が深まっているので、同期からも活発なコメントがなされます。
 教員のみならず大学院生や4年生からも助言がもらえる貴重な場となります。

<到達目標>
❾企画力
 各々が調査したいテーマを明確にすることができる
 RQに対して適切なリサーチデザインを立てられるようになる
❿仮説検証力(分析・発想・試作・検証)
 考動する知識人を体現し、仮説をもって戦略的に調査を行うことができる
⓫表現力
 研究内容をプレゼンテーション/教材/論文を通して過不足なく伝えられるようになる

※4年春学期は、基本的に就職活動に専念していただきます。ゼミに出席できない場合が多いので、合宿などを補講に充填したり、それまでに提出した課題から換算して単位を修得していただきます。
 私たちのゼミでは、就職活動中に研究成果をストーリーとして語ることで希望する企業から内定をいただいています。これもプレゼンテーションの演習とみなしています。また、リクルータや面接員が関心を持ってくださったポイントや質問から卒業論文の課題が明確になることも少なくありません。

        
    

卒論(4年秋学期)

     

 就職活動が終わると、ゼミ生活の集大成である卒業論文の執筆を行います。選定したテーマに関して既知の研究範囲を情報収集により調査し、その上で自分たちなりの切り口や視点で仮説をたて、それをデータなどで検証します。ゼミは発表とそれをめぐる議論という形で進めます。
 発表者は、リサーチクエッションの設定、根底にある問題意識、研究方法、論文としての意義など、様々な項目についてプレゼンテーションを行います。その後、参加者の間で発表をめぐって質疑応答と討論を行い、最後に教員と院生のコメントで締めくくられるというのが基本的な流れです。
 教員や院生のアドバイスはもちろんのこと、ゼミ生同士のアドバイスは自分では発見できなかったことを気づかせてくれるためとても大切です。テーマは違えど、より良き研究を行うという同じ目的に向かってお互いを支えあいながら日々努力しています。

   
               
  

サブゼミ(3・4年通期)

サブゼミ 3年春学期 春Q

 「ビジネスモデル」を研究するといっても、興味深いリサーチデザインをするためには学術的な視点が必要です。そこで、サブゼミでは入山章栄さんの「世界の経営学の経営理論」の連載を輪読することにします。
 夏Qから学術論文が読みこなせるように基本コンセプトを理解できるようになることが目標です。秋調査や卒論では、ここで学んだ理論レンズやコンセプトをビジネスモデルと掛け合わせて調査課題を設定しましょう。
 サブゼミでは、ファシリテーション担当者には、その日に扱う連載の輪読をリードしてもらいます。常に、自らが調査研究することを意識して、理解を深めてさせてください

サブゼミ 3年春学期 夏Q

 リサーチメソッドについての書籍を読んだり、学術論文を読んだりします。
 井上達彦『ブラックスワンの経営学』日経BP『日本経営学会誌』『組織科学』などの国内の学会誌や海外のジャーナル(院生や先輩たちが翻訳してくださったもの)を扱います。

ワークショップ・講演会

企業の協力を得てゼミ内でワークショップを開催したり、学会や実業界の第一線で活躍する方々をゲストスピーカーに招くこともあります。
過去のワークショップ例
・アート×イノベーションワークショップ~今、なぜアート思考なのか?
・株式会社ニトリ共催 商品開発ワークショップ~デザイン思考を学び、実践する~
・ゼロからつくるビジネスモデル~中国スタートアップから学ぶビジネスモデルの好循環
・株式会社Spectee×早稲田大学AIやIoTを用いたビジネスに興味のある学生必見! テクノロジーでつくる起業アイデアセミナー

過去の講演会例
・神戸大学小川進教授
・一橋大学楠木建教授
・ビジネスバンク浜口隆則代表

インゼミ

 井上ゼミでは年に数回早稲田大学内のゼミや他の大学のゼミと合同ゼミを行います。過去には早稲田大学の山野井ゼミや広田ゼミ、横浜国立大学の谷地ゼミ、慶應大学の三橋ゼミ、法政大学の稲垣ゼミとインゼミを行ってきました。ゼミ生とは違った視点からのフィードバックを貰うことができ、研究の良いヒントとなるとともに、多様な人との人脈を築くことができます。
 2018年度より、全国の主要大学のインターゼミが開催されるようになったので、現在ではそのイベントへの参加を目指して活動する予定です。

その他

以下の授業にも積極的に参加しています。

BID:Business Idea Design(3年春学期前半)

3年春学期前半には並行履修科目として発想力を育むBIDを受講します。2年秋から活動して得られた知識、分析力を生かし、ビジネスアイデア発想の練習を行います。
以下が講義概要になっています。

【到達目標】
・ビジネスモデルの設計や起業の技術について学び、アイデアを生み出す素養を身につけます。
・ビジネスアイデアを創出する手法を学び、実際に使いこなせるようになります。

【学習内容】
ある週に学んだ発想法を用いて、次週までにビジネスアイデアを準備します。グループワークが基本で、毎週グループで考えたビジネスアイデアを3分間のピッチ(プレゼンテーション)で披露します。

【授業概要】
 起業を考えている人たち悩ませる三大要因をご存知ですか。それは、 (1)資金がない、(2)アイデアがない、(3)リスクがある、というものです(「起業意識に関する調査」)。素晴らしいアイデアがあれば、資金も集めやすくなりますし、リスクも減らせます。この講座では、その「ビジネスアイデア」の悩みを解決するためのお手伝いをします。ビジネス設計のフレームワークや制約を学び、単なる思いつきを超えた実践的なアイデアを創出する方法について学びます。アイデア創出は、新製品開発や企画業務にも役立ちます。起業を目指す人のみならず、社内でイノベーションを起こそうという人にも受けていただきたいと思います。ビジネスゲーム的な発想で毎週アイデアを創出する演習を行いますので、土曜日の2コマ連続で開講します。自らも起業し、数々の起業家を支援してきたエキスパートの協力を得て、実際に役立ったツールを体験してもらいます。ユニークなゲストも招きます。授業の最後には、受講者が生み出したビジネスアイデアに対して、実際に値段をつけてもらいます。起業家たちと一緒にセッションを創り上げて行きませんか。

BMD:(3年春学期)

BMD:(3年春学期)3年春学期には、BIDでの学びをより身につけるため、並行履修科目としてBMDを受講します。
以下が講義内容となっています。
【到達目標】
・観察やインタビューによってビジネスアイデアを発想できるようになる
・アナロジーを用いてビジネスアイデアを発想できるようになる
・逆転の発想によってビジネスアイデアを発想できるようになる
・それぞれの手法が有効である理由を学術的な研究と照らし合わせて理解する

【学習内容】
ビジネスモデルをデザインするための実践的な演習を行います。海外の先進プログラムや実際の起業家で用いられている発想法を紹介します。なぜそれぞれの手法が有効であるかの理由についても学術的に解説します。

【授業概要】
・授業でビジネスモデルデザインのための手法を学ぶ
・実在する企業に協力いただき、その企業の課題を提示してもらう
・授業で学んだ知識やフレームワークを活用してその課題に応えるべく発想、ビジネスモデルを提案する