早稲田大学 政治経済学術院
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研究科長より

 

公共経営研究科長より


公共経営研究科長
縣 公一郎
   本大学院は、2003年4月設立以来、初代片岡寛光科長、そして第二代石田光義科長を中心に、社会全体もしくは一定セクターにおける政府・民間・シヴィック三部門の分業・協力に基づく共通問題の解決を公共経営の本質的要素として捉え、そこにおける公平と効率の均衡を中心的視座として教育と研究を展開して参りました。08年9月より第三代研究科長として、この流れに沿った運営を担当させて頂きます。

 公平と効率の均衡を図るために、本大学院における研鑽では、少なくとも三つの目を養って頂きたいと思います。その第一は、自己利害をはっきりと捉える目です。まず、特定の社会状況において、当事者としての自分がどのような点に利益を見出し、どのような損失を被り得るのか、これをまず確と見極める必要があります。勿論自分のことですから、情緒が先導する場合もあるとは思いますが、 冷静に自己を見つめることが肝要でしょう。

 第二の目は、反対者の利害を理解しようとする目です。自分の利害には、必ず反対する立場が存在します。しかも、必ずしも、第一の目で捉えた自己利害の正反対を想定すればよい、というものではないかも知れません。自己と反対者を相対化することで、対立状況を十分に捉え、それぞれの考え方を弁えることが重要でしょう。

 そして最後に、社会全体の利害を俯瞰する目です。自己をも、そして反対者をも超えて、社会全体にとって望ましい方向性とは、いったい何であるのか、また、社会全体にとって回避すべき状況とはどのようなものなのか、これを、社会を運営する当事者の立場に立って考えられる目を培って頂きたいと思います。

 社会の在り方に問題を感じた時、単に現状を批判することは容易いことです。批判するのではなく、どのようにすれば感得した問題点を克服できるのか、積極的な代替案を提示できることこそ、社会の一員として目指すべき姿ではないでしょうか。その際、もちろん行動体系の効率性は追求すべき重要な観点ではありますが、それのみではなくやはり公平性をも重視し、それぞれの専門・職業領域における状況に応じて公平と効率の均衡を図ろうとすることが、現代そして未来の社会において求められている視座であると思います。

 本大学院において、教員と学生それぞれの自主性に基づいた教育と研究を継続し、こうした視座と姿勢が涵養されるならば、大学院設置の趣旨が更に実現することとなりましょう。共に精進致したく思います。