トップ>第19回 - ラリー・イングラム・クローショー,Dr. Larry Ingram Crawshaw
氏名: ラリー・イングラム・クローショー(Dr. Larry Ingram Crawshaw) 国籍: アメリカ合衆国
早稲田大学の所属大学院 スポーツ科学学術院
所属機関 ポートランド州立大学、オレゴン・ヘルス・アンド・サイエンス大学
早稲田での滞在期間 2010年9月から2010年11月まで


研究テーマ

体温調節、恒常性制御、行動


私はアメリカのカリフォルニア州で生まれました。1972年にはカリフォルニアを離れましたが、今までもこれからも「カリフォルニア・ボーイ」であることには変わりはないでしょう。小学校、中学校、高校、大学(UCLA)時代は南カリフォルニアで過ごし、大学院はカリフォルニア大学サンタバーバラ校で、ハリス・カーライル博士(生理心理学)に学びました。その間に多少の冒険もしたかったので、平和部隊に参加、1968年と1969年にネパールのある村に滞在し、政治制度パンチャーヤットのトレーナーとして働いたり、小学校で英語を教えたり、高校で科学を教えたりする経験をしました。帰国して大学院での博士最後の2年間を終えると、カリフォルニア大学サンディエゴ校(スクリップス海洋学研究所)でハロルド・T・ハメル博士のもと、比較生理学の分野の博士研究員になりました。この間は、南極大陸の調査隊に参加して、ペンギンとアイスフィッシュの研究を行うという冒険を存分にさせてもらいました。

その後、ジョン・B・ピアス基礎研究所とイェール大学で4年間、体温調節について研究しました。1976年、ポートランド州立大学に移りましたが、その後、数年間はコロンビア大学医学部でも研究をしました(1978-1980)。それ以降はポートランド州立大学に属しています。また、オレゴン・ヘルス・アンド・サイエンス大学には1990年頃から籍を置いています。


私の学術的な活動は広い意味で体温調節に焦点を当てたものです。今までに多くの動物の種を研究し、運動やアルコールの効果による体温調節反応を研究してきました。私の研究業績のいくつかを下記に紹介します。さらに詳細なリストについては、Google Scholarもしくは上記の2つの大学のウェブサイトをご覧ください。

1973年 Science誌 「カリフォルニア・オニカサゴのえら換水に与える脳幹温度の影響」(H.T. Hammel , W. Gareyとの共著 )
1975年 Pflugers Archiv.誌 「局所冷房の発汗率と冷覚に与える影響」(E.R. Nadel, B.A. Stamford, J.A.J. Stolwijkとの共著)
1978年 Scientific American誌「脊椎動物の体温調節器官」(H.C. Heller, H.T. Hammelとの共著)
1980年 Annual Review of Physiology「脊椎動物の体温調節」
1981年 American Scientist誌「脊椎動物の体温調節器官の進化的発生」(B.P. Moffitt, D.E. Lemons and J.D. Downeyとの共著)
1985年 Physiological and Biochemical Zoology誌「オオクチバスの低温に対する行動と代謝の調節」(D.E. Lemonsとの共著)
1986年 FASEB米国連邦実験生物学会 (現在はFB) ミーティングの温度調節晩餐会において招待講演
1989年 American Journal of Physiology誌 「頭蓋内エタノールと酸素欠乏(L.P. Wollmuth , C.S. O`Connorとの共著)
1994年 American Journal of Physiology誌「エタノール依存症から離脱するまでのネズミの温度調節(C.S. O`Connor, J.C. Crabbe, D.L. Hayteasとの共著)
2000年 American Journal of Physiology誌 「低酸素症と内因性エタノールが体温調節に及ぼす影響」(R.N. Rausch , H.L. Wallaceとの共著)
2005年 Alcohol誌 Effects of alcohol on thermoregulation during mild heat exposure in humans. (T. Yoda, M. Nakamura, K. Saito, A. Konishi, K. Nagashima, S.Uchida, K. Kanosueとの共著)
2011年 著書Wilderness Medicine(近刊)において体温調節の章担当(K. Nagashima, T. Yoda, M. Nakamura, K. Tokizawa, Y. Uchidaとの共著)


私は早稲田大学を周期的に訪れています。スポーツ科学学術院の彼末一之教授と有意義で楽しい連携研究を行うためです。日本語を習うことも今では私の人生の大切な部分になりました。数年前にはCAEプログラムのインストラクターとして、ポートランド州立大学に留学する早稲田大学の学生の準備のためのコースを教えました。早稲田の学生がポートランド州立大学の秋学期ではよい成績を収め、様々な点で成長していくのを見ることができたのは喜ばしいことでした。

早稲田大学の教員も学生も実に有能であり、勤勉であると思います。教員の方々はとても社交的で、すぐに知り合いになれます。来日するたびに多くの方々と友情を深め、おいしいビールや世界最高の食べ物を味わいながら楽しい夕べを過ごしたりしています。時には一緒にカヤックや釣り、サーフィンをしたり、自転車でのツーリングやハイキングにもよく出かけたりします。ここはまさにパラダイスのようです。

大学側に用意していただいたゲストハウスはとても快適です。キャンパスのどこに行くにも便利で、私が仕事をするフロンティア・リサーチ・センターにも、昼食やジムや興味深いシンポジウムなどがあるメイン・キャンパスにもかんたんに行けます。キャンパスは風光明媚で閑静な場所にありますが、すばらしい運動施設や研究施設の整った活気のある知的コミュニティが存在しています。景観の良さはキャンパスが大きな貯水池と自然保護区との境に位置しているからでしょう。リラックスできる散歩や自然の中のハイキングコースなどもたくさんあります。

キャンパス内の活動もエンジョイしています。学生や教員の野球に参加することもあります。何よりも、もうすぐ始まる早慶戦を応援することをとても楽しみにしているのです。

さらに早稲田で楽しいひとときは、家族が訪ねて来るときです。妻のポーレット、2人の息子ネイサンとギャレットは、私と一緒に大学のゲスト宿泊施設に滞在中、早稲田大学や日本社会、都会や田舎などにたいへん感銘を受けていました。先日はネイサンの妻レイチェルもやってきましたし、来年はギャレットとその妻マリアも来日して日本の経験を分かちあえることができればと思っています。

これからも早稲田大学のスポーツキャンパスで、教育と研究の両方の領域で彼末教授と共同研究を続けられることを願ってやみません。それは私自身だけでなく、ここの学生や教員の方々にとっても有意義なことだと思います。科学や文化について、そしてスポーツへの共通の関心についてお互いのアイデアを交換することは楽しく、実りのあることなのです。いつも早稲田大学を応援しています!
フレー、フレー、ワ・セ・ダ!



彼末教授とクローショー教授

研究業績
- 1973 Science Brainstem temperature affects gill ventilation in the California scorpionfish. (with H.T. Hammel and W. Garey)
- 1975 Pflugers Archiv. Effect of local cooling on sweat rate and cold sensation. (with E.R. Nadel, B.A. Stamford and J.A.J. Stolwijk
- 1978 Scientific American The thermostat of vertebrate animals. (with H.C. Heller and H.T. Hammel)
- 1980 Ann. Rev. Physiol. Temperature regulation in vertebrates.
- 1981 American Scientist The evolutionary development of the vertebrate thermostat (with B.P. Moffitt, D.E. Lemons and J.D. Downey)
- 1985 Physiol. Zool. Behavioral and metabolic adjustments to low temperature in the largemouth bass. (with D.E. Lemons)
- 1986 Invited speaker at Temperature Regulation Dinner – FASEB (now EB) Meeting.
- 1989 Am. J. Physiol. Intracranial ethanol and ambient anoxia elicit selection of cooler water by goldfish. (with L.P. Wollmuth and C.S. O`Connor)
- 1994 Am. J. Physiol. Temperature regulation in mice during withdrawal from ethanol dependence. (with C.S. O`Connor, J.C. Crabbe and D.L. Hayteas)
- 2000 Am. J. Physiol. Effects of hypoxia and endogenous ethanol on thermoregulation. (with R.N. Rausch and H.L. Wallace)
- 2005 Alcohol Effects of alcohol on thermoregulation during mild heat exposure in humans. (with T. Yoda, M. Nakamura, K. Saito, A. Konishi, K. Nagashima, S.Uchida, and K. Kanosue)
- 2011 (in press) Wilderness Medicine (Book) - Chapter on Temperature Regulation. (with K. Nagashima, T. Yoda, M. Nakamura, K. Tokizawa and Y. Uchida)
最終更新日 2010.11.04
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