研究テーマ
環境保全:UV技術を応用した新規手法による水中および気相からの揮発性有機化合物の除去
早稲田での研究生活について

写真に写っているUV−BCR(紫外線バブルカラム反応器)は私たちの研究室が独自で開発した反応装置です。気相中の汚染物を液相に移動させ,OHラジカルを用いることで水相にて酸化します。 |
1997年10月、私は東京にやってきました。暖かく日差しあふれる秋の日、私の心もこれから日本のトップクラスの大学で勉強ができるという興奮でいっぱいでした。博士号を取得した後、環境研究室で助手として働く機会が与えられました。そこでは平田教授や常田教授のような著名な研究者が、80人もの学生達に囲まれながら研究に勤しまれていました。日本のハーバード大学ともいえるこの早稲田大学には、人間としても研究者としても成長させてくれる環境があるのだと感じました。
学位を修得した後、早稲田大学で研究活動を継続できるという機会に恵まれたとき、これは決して逃してはならないチャンスだと確信しました。担当教授の方々の高い評判に加えて早稲田の名声はたくさんの新しい可能性を開いてくれました。国際学会等での研究成果発表を通じて素晴らしい研究者の学術的なネットワークを築くことができましたし、世界で最も著名な研究者達が私の担当教授の知り合いで、私にまで快く話をしてくださるということもありました。
飲料水や大気中に存在する有機汚染物質の光化学的酸化、化学工学と光化学の融合、物質移動、ラジカル反応、システム設計・分析・統合といった研究の性質上、他部門の教員と協力して作業することもしょっちゅうありましたが、彼らはいつも快く時間を割いてくださり、アドバイスや支援をしてくれました。必要な研究資料はすぐ手に入り、先端的な分析機器等も環境保全センターで簡単に利用することができました。我々の研究活動のほとんどは産業界との協力のもと行われていたので、現実的な問題を解決したり、プロジェクトの経済的分析について学ぶことができたことも非常にプラスになったと言えます。それはまた早稲田での研究生活に格別の意義を与えるものでした。
チームワークを大切に、あらかじめ十分に調整を行い、できるだけ対立を避けようとする。そんな日本文化の側面を理解し尊重することは重要ですが、国籍の異なる相手とそれぞれのやり方で国際交流事業を進めるためには、自分自身のアイデンティティを持ち続けることも必要です。研究室の友人達は私と共に活動をしていく中で、(日本人の苦手な)「ぶっつけ本番」といった予想外の事柄にもうまく対処できるようになったと感じます。日本人はいったん研究室を出るとプライベートライフについてほとんど話をすることはありません。しかし研究室の彼らは仕事が終わった後も喜んで共に時間を過ごし、世界で最も物価の高い街の一つ、東京でどう自分なりに暮らしていくべきかを教えてくれます。友人の助言を心にとめたら、あとは東京でのライフスタイルを受け入れるだけです。「郷に入れば郷に従え」とことわざにあるように。
将来の計画
在職期間の終了後は、日本 - スロベニア友好協会を通じて双方の自然科学的・経済的・文化的な交流を促進していくことを考えています。国連環境プログラムで働き、これまでの環境保全についての知識、経験と広い専門的・科学的なネットワークを活用して、現代、次世代のための緑豊かな将来や福祉、環境維持開発に関わりたいと専門的な見地から計画しています。同時に、日本とヨーロッパを結ぶ投資機関の橋渡しをして、アジア地域に安全な水供給を可能にするインフラ基盤への投資を促したい、そして日本、ヨーロッパ、アジア各国間の異文化理解を促進し新しい架け橋となるべく、私の得た工学知識、アジアとヨーロッパの人々の文化やコミュニケーションスタイルについての知識を活かしたいと考えています。
コメント
早稲田大学での生活・仕事は、国際的職務を始めるにあたって大きな飛躍の場となります。日本で学び働くことは本当に類まれな人生を豊かにする経験です。世界中のどこに行ってもこのような専門的、社会的、文化的な喜びとなる機会を得ることはできません。ここで得る経験や友人は生涯にわたって続く財産です。最初のうちは日本人は内気だと思うかもしれませんが、やがて彼らの仕事への励ましや勇気づけ、さまざまな面での助けを受けながら、いつのまにか新しい環境に慣れ、日本に来る前には遠く感じられた日本の人々や文化に心底魅了されていることに気づくでしょう。
著書・発表論文等
Alibegic, D., S. Tsuneda and A. Hirata, Oxidation of Tetrachloroethylene in a Bubble Column Photochemical Reactor Applying the UV/H2O2 Technique, Can. J. Chem, Eng. 81 (3-4) 733-740 (2003).
Alibegic, D., S. Tsuneda and A. Hirata, UV-Bubble Column Reactor (UV-BCR) for Photolytic Removal of Tetrachloroethylene (PCE) From the Vapor Phase. Methodological Approach, J. Chem. Eng. Jpn. 36 (2) 178-186 (2003).
Alibegic, D., S. Tsuneda and A. Hirata, Kinetics of Tetrachloroethylene (PCE) Degradation and Byproducts Formation During UV/H2O2 Treatment in UV-Bubble Column Reactor, Chem. Eng. Sci. 56 (21-22), 6199-6207 (2001).
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