早稲田大学 ソーシャル&ヒューマン・キャピタル研究所
Waseda Institute of Social and Human Capital Studies (WISH)

研究テーマ

持続可能な社会における社会厚生の在り方に関する実証的・理論的研究
副題:「個」から「地域」へ、「地域」から「社会」へ、そして、次世代への人的資本の継承と社会関連資本の蓄積

研究概要

 人口の急激な少子高齢化に伴い,労働力としての移民を受け入れてきた欧米では,難民問題が深刻化している. また,OECDのほとんどの国において,子ども貧困率が社会全体の貧困率よりも高く,また,増加傾向にある.20世紀後半以降, 先進地域における経済成長の鈍化が人口動態の劇的な変容に拍車をかけ,さらには,国家によるパターナリズムの下で充実が 図られてきた公助・共助機能の持続可能性が危ぶまれている.現在,こうした様々な要因が,人的資本(Human Capital:HC) の蓄積過程の阻害要因となる貧困や格差,さらには,人々の間に紛争をもたらし,「個」や「世代」を超えた負の連鎖を引き起こしている. こうした社会不安は,21世紀における地球規模での共通課題といえるだろう.
 そこで,ソーシャル&ヒューマン・キャピタル研究所(Waseda Institute of Social and Human Capital Studies:WISH)では, 教育や健康に代表されるHCが,「個」としていかに蓄積され, 「個」や「世代」を超えていかに継承されるか,そのメカニズムの本質について, 量的・質的なビッグデータの活用やフィールドでの調査・実験を通じて,社会経済的要因(socio-economic status: SES)や社会関連資本 (social capital: SC)とHCとの関連性に着目した様々な仮説に対する, 実証と理論の両側面からの検証を行う.WI SHが掲げるテーマは, 国際社会が向き合わなければならない喫緊の政策課題であると同時に,人類社会にとっての持続可能な社会システムの在り方を模索する上で 不可欠な中・長期的な課題でもある.近・現代を通じた研究の結果,HCを代表する教育 ・健康やSESとの間に有意な相関が存在することについては, 概ね,研究者間でコンセンサスが得られている.しかし,多岐にわたる様々な要因が,どのようなメカニズムを通じて私たちのHCと相互に関連し合うのか, また,その影響の有意性や大きさはどの程度のものなのか, といった問いに対する確たる結論は,理論的にも実証的にも得られていない.
  また,従来の人的資本論は,個に閉ざされたHCの蓄積過程を明らかにする一方,「個」に蓄積されたHCが,「個」や「世代」を超えて,コミュニティー や人類社会に継承され,SCの蓄積に寄与するものなのか, という問題意識に対しては十分な回答を与えているとは言えない.HCには外部効果があり過小に 蓄積されてしまう可能性が高く,HCの蓄積が個に規定されている限り,効率的にHCを蓄積出来る個と出来ない個の間での格差が拡張し,それが現代における社会不安や紛争の主要な原因の1つと なっているではないか. 以上のような問題意識に基づき,WISHでは,「医療・介護」,「教育」,「環境」,「開発」等の具体的なテーマを対象に,SCの蓄積からHCの蓄積へ, または,HCの蓄積からSCの蓄積へと,双方向の扉の鍵を見つけ出すことを目的とする.

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新着情報

2018.4.17
重岡仁先生(カナダ・サイモンフレーザー大学経済学部助教授)に、“Estimating return to health care ”というタイトルで,学生向けの講義をして頂きました.
2018.1.15
田中隆一先生(東京大学・社会科学研究所・教授)に、"Do Teachers Matter for Academic Achievement of Students?:Evidence from Administrative Panel Data”というタイトルで、セミナーをして頂きました(早稲田大学・実証政治経済研究拠点(CPPE)との共催).
2017.12.19
重岡仁先生(カナダ・サイモンフレーザー大学経済学部助教授)に,“Estimating return to health care ”というタイトルで,学生向けの講義をして頂きました.
2017.11.29
重岡仁先生(カナダ・サイモンフレーザー大学経済学部助教授)に、“Patient Cost-sharing and Health Care Utilization among Children ”というタイトルで、セミナーをして頂きました(早稲田大学・現代政治経済研究所との共催).
2017.10.27
「高度データ関連人材育成プログラム」キックオフシンポジウムにパネリストとして参加しました.
2017.10.19
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2017.10.17
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2017.9.7
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2017.9.2
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2017.7.10.
経済学研究科・助手のRong Fu氏が,Boston大学で開催された第12回国際医療経済学会(iHEA)で, “Moral Hazard in The Long-Term Care Market : Evidence From Japanese Claims Data (co-author : Haruko Noguchi)” を発表しました.
2017.7.10.
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2017.6.3.
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2017.4.18.
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2017.3.21.
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2016.4.1.
WISH研究所のプロジェクトの一環として,平成28年度基盤研究(B) (平成28年度から30年度)に,「子どもの人的資本の蓄積メカニズムに 関する実証研究-足立区の挑戦から学ぶこと-」が採択されました.

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