公益財団法人日工組社会安全財団からの一般研究助成(2012年度)活動報告(2013年度)
2013年度の主な研究活動は以下のとおりです。
訪問した機関・団体は、以下のとおりです。
@宮城刑務所
A仙台保護観察所
B宮城県地域生活定着支援センター
C仙台地方検察庁
5月31日(土)に、千葉県地域生活定着支援センター長の岸恵子氏を早稲田大学にお招きしての意見交換会を開催しました。参加者および意見交換の概要は以下のとおりです。
なお、岸氏の報告の詳細につきましては、WIPSS紀要第6号に掲載する予定です。
1. 参加者
@石川 正興(社会安全政策研究所所長、法学学術院教授)
A小西 暁和(社会安全政策研究所研究所員、法学科学学術院准教授)
B宍倉 悠太(社会安全政策研究所事務局員、大学院法学研究科博士後期課程)
C朴 春蘭(社会安全政策研究所事務局員、大学院法学研究科博士後期課程)
D三枝 功侍(社会安全政策研究所事務局員、大学院法学研究科博士後期課程)
E李 程(社会安全政策研究所事務局員、大学院法学研究科博士後期課程)
F吉満 圭祐(社会安全政策研究所事務局員、大学院法学研究科修士課程)
2. 意見交換会概要
本意見交換会では、主に以下4点の報告を踏まえた意見交換が行われた。
@千葉県地域生活定着支援センターにおける以下に関する報告
(i)矯正施設出所後のコーディネート業務及びフォローアップ業務
(ii)矯正施設入所前の被疑者・被告人に対する相談支援業務
A相談支援業務について、その依頼元の分布と支援に対する姿勢についての報告
相談支援の依頼元としては、本人、弁護士、家族、特別支援学校、自治体の福祉担当者、地域の社会福祉施設や相談支援事業所、中核地域生活支援センター、保護観察所、矯正施設などが挙げられた。また、被疑者・被告人に対する支援は、勾留されている本人に弁護人と共に会いに行き、釈放された後の居場所や役割のコーディネート・フォローアップを行い、矯正施設に収容された場合は文通などを通して本人の「心を支える支援」・「モチベーションを支える支援」を行なっている。
B相談支援業務の中で司法関係者との連携が生まれた過程についての報告
千葉県地域生活定着支援センターでは、知的障害者の裁判員裁判を契機として弁護士との連携体制が構築され、その後弁護士や福祉関係者が出席している「司法福祉千葉モデル勉強会」を毎月開催しているということであった。勉強会では、定着支援センターと司法関係者との多機関連携のあり方や、実際のケースに関する事例検討などを行っている。また、定着支援センターでは、関係者への啓発活動として講演会や研修会も度々開催している。
さらに、今後千葉県において「障害者刑事弁護人制度」をつくる動きがあるということであった。
C地域生活定着促進事業の「千葉モデル」についての報告
千葉県地域生活定着支援センター事業を受託している「NPO法人生活サポート千葉」は、「千葉県知的障害者福祉協会」を母体としている。NPO法人生活サポート千葉は、大規模な社会福祉法人と異なり、自前の施設やシェルターは持たないものの、約200の障害者の通所・入所支援を行う施設・団体とのネットワークを有している。
そこで定着支援センターでは、いわば地域を耕し、受け入れ施設を拡大して事業の理解者を増やすことで連携の仕組みを構築し、各施設に矯正施設出所者の受け入れを依頼できる仕組みを整えていった。実際、事業が周知されるにつれ、「矯正施設出所者を受け入れたい」という高齢者施設からの問い合わせもきているという。
このように千葉県地域生活定着支援センターでは、地域社会ネットワークを基盤としたモデルの構築を行っているということであった。
訪問した機関・団体は、以下のとおりです。
@新潟刑務所
A新潟保護観察所
B更生保護施設「新潟川岸寮」
C新潟県地域生活定着支援センター
訪問した機関・団体は、以下のとおりです。
@栃木刑務所
A宇都宮保護観察所
B栃木県地域生活定着支援センター
訪問した機関・団体は、以下のとおりです。
@福島刑務支所
A福島保護観察所・自立更生促進センター
B福島県地域生活定着支援センター
訪問した機関・団体は、以下のとおりです。
@札幌刑務支所
A札幌保護観察所
B北海道札幌地域生活定着支援センター
訪問した機関・団体は、以下のとおりです。
@徳島刑務所
A徳島保護観察所
B更生保護施設「徳島自立会」
C徳島県地域生活定着支援センター
訪問した機関・団体は、以下のとおりです。
@前橋保護観察所
A群馬県地域生活定着支援センター
B独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
訪問した機関・団体は、以下のとおりです。
@長野刑務所
A松本少年刑務所
B有明高原寮
C長野保護観察所
D長野県地域生活定着支援センター
訪問した機関・団体は、以下のとおりです。
@大津保護観察所
A滋賀県地域生活定着支援センター
B大津地方検察庁
本研究は、2012年4月1日から2013年9月30日までの研究期間を無事終了し、同年10月31日に財団へ一般研究助成報告書を提出しました。
日工組社会安全財団に提出した一般研究助成報告書が、同財団HPにアップロードされました(報告書はこちらからご覧いただけます)。
なお、本報告書には、財団が要請する紙数制限との関係上、実施した地域生活定着支援センターの全ての調査結果を収録してはおりませんが、2014年7月に刊行した『司法システムから福祉システムへのダイバージョン・プログラムの現状と課題』(石川正興編著、成文堂刊)の中で、本報告書において省略した調査結果についても追加・補正した形で収録しております。
以上