JST研究開発プログラム「犯罪からの子どもの安全」領域

平成21年度採択課題

「子どもを犯罪から守るための多機関連携モデルの提唱」

◇本プロジェクトについて

1.JST及びRISTEXについて

JST(科学技術振興機構)は、科学技術振興を目的とした文部科学省所管の独立行政法人であり、このJSTの実施する事業の一つがRISTEX(社会科学研究開発センター)である。RISTEXでは、「犯罪からの子どもの安全」をはじめ、社会的・公共的価値の創出を目指して幾つかの研究開発領域が設定され、社会問題解決型の研究開発が推進されている。

2.「犯罪からの子どもの安全」領域への応募及び採択の経緯

「犯罪からの子どもの安全」領域は、上述したRISTEXの研究開発領域として、以下の3項目を目標として平成19年度に設定されたものである。

(1)犯罪からの子どもの安全に取り組む人々と研究者の両方を含む関与者の間で情報共有し協働するための、開かれたネットワークを構築する。

(2)本領域の活動が、我が国において科学的根拠に基づく犯罪予防の重要性が認知され、定着する一つの契機となることを目指して、防犯対策の基盤となる科学的知見及び手法を創出する。

(3)子どもが犯罪被害に巻き込まれるリスクの低減を目指して、科学的知見及び手法を活用し、地域の実情に合わせた効果的かつ持続的な防犯対策について、政策提言、実証等の具体的成果を創出する。

この研究開発領域における平成21年度のプロジェクト公募に対し、本研究所の「少年非行の多角的検討」グループメンバーにて応募したところ、採択を得ることとなった。この結果を受けて本研究所では、「子どもを犯罪から守るための多機関連携モデルの提唱」をテーマに、以下のような形で本プロジェクトを構想・実施していくこととなった次第である。

◇本プロジェクトの基本構想

1.目標

現在、子どもの犯罪者化・被害者化を防止するための取り組みは、いわゆる「タテ割り型」の体制になっていることが多い。しかし、子どもの犯罪者化・被害者化を適正かつ有効に防止するためには、こうした「タテ割り型」の対応では不適切かつ不十分であり、各機関相互のヨコの繋がりを強化する有機的連携体制が取られることが求められる。本研究は、子どもの犯罪者化・被害者化を防止するための「適正かつ有効な多機関連携モデル」を提唱することにより、「犯罪からの子どもの安全」という目標の実現に貢献することを意図するものである。

2.研究の進め方

本プロジェクトでは、子どもの犯罪者化・被害者化を防止するための多機関連携を行っている地域を選定し、そこでの多機関連携モデルの現状と問題点を調査・検証する方法を採る。概略は、以下のとおりである。

(1)子どもの犯罪者化・被害者化防止のために相互連携体制を採っている児童相談所学校・教育委員会警察(少年サポートセンター)3機関に対して個別の聞き取り調査を実施し、多機関連携の採用によって子どもの犯罪者化・被害者化の防止につながった「成功事例」と、防止にはつながらなかった「失敗事例」とを分別収集する。

(2)上記の各機関による「成功事例」と「失敗事例」との分別評価はいわば「主観的な」評価である。そこで、その評価が適切なものであるか否かを検証するために、他機関からの外部(第三者)評価を加え、評価の客観性を高める作業を実施する。その外部評価としては、@上記3機関の相互評価、A上記3機関以外の犯罪対応機関(家庭裁判所・保護観察所・地域ボランティア団体)からの評価、B異なる形態の3機関連携体制を採用する北九州市札幌市による相互評価を考えている。

 こうした方法により、適正かつ有効な多機関連携モデルを検証した上で、さらにそのモデルを実際に社会において展開する場合に求められる諸条件、とりわけ法的に整備する必要のある諸条件を検討していく。

3.研究開発予算(概数)

 平成21年度 12,500,000

 平成22年度 17,500,000

 平成23年度 15,000,000

  総額      45,000,000

4.実施期間

平成21101日〜平成24331

5.JST研究開発実施報告書

実施報告書(概要版)

実施報告書(全文)

評価結果報告書

※参考

RISTEX「犯罪からの子供の安全」内WEBページ 石川プロジェクト紹介

 

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