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Waseda Institute of Medical Anthropology

研究員所員profile

■ 辻内 琢也 [所長](早稲田大学人間科学学術院准教授、医師、医療人類学)
研究の統括
研究代表者として、以下の8つの研究領域を統括し、学会からの招聘研究者との学術院的交流を推進する。
 @こころとからだの健康課題
 A人びとの絆・つながりと健康課題
 B地域復興における福祉課題
 C子どもと家族をめぐる課題
 D住宅や周辺環境をめぐる建築課題
 E地域文化・環境の継承と復興をめぐる課題
 F保障や賠償に関する法的課題
 G民間団体による支援方略をめぐる課題、である。

また、専門とする医療人類学の立場から、身体面や心理面に現れるさまざまな問題が、いかに社会や文化とのかかわりにおいて表象されるのか、フィールドワーク調査を中心に明らかにしていく。

■ 菊池 靖 [顧問](早稲田大学名誉教授、国連大学客員教授、開発人類学)
菊池靖先生は、早稲田大学アジア太平洋研究科在職中に、総合研究機構プロジェクト研究所「医療人類学研究所」(2007〜2011年)所長を勤められ、本研究所の発案者である。本研究所は、災害復興に特化した医療人類学研究所として設立されることとなった。菊池靖先生は、1995年阪神淡路大震災が発生した折に、ハーバード大学難民トラウマ研究所の Richard F. mollica 教授らと共に、人類学者として被災地の調査及び心的外傷後ストレス障害やうつ病を予防し、生活再建をしていくための日本政府への意見書提出まで行った。
本研究所では、是非、阪神淡路大震災における経験と、これまでに長年蓄積されてきた開発人類学及び医療人類学の知見を元に、顧問として研究所の研究推進に関するご指導をいただきたい。

■ 熊野 宏昭 [研究所員](早稲田大学人間科学学術院教授、医師、行動医学)
こころとからだの健康課題(震災関連死、トラウマ、放射線被曝の問題、など)
阪神淡路大震災以降、わが国においても、震災後のうつ病やPTSDを含む心身の健康課題は、心理社会的なケアが必要なものてあるという知見が蓄積されてきた。2011年に発生した東日本大震災は、これまで人類が経験してきた地震・津波災害に加えて原子力災害が加わり、放射線被曝の問題を含めた新たな心身の課題が提示されてきている。本研究では、「こころとからだの健康課題」について、臨床心理学・心身医学・行動医学の観点から、可能な限り実証的なデータの収集と解析を行っていく。

■ 根ヶ山 光一 [研究所員](早稲田大学人間科学学術院教授、発達行動学)
子どもと家族をめぐる課題
「生存」を確保し、「生活」基盤を整える段階を経て、「人生」展望する段階に入りつつある避難生活において、現在「(長期的展望に立った)居住場所の選択」「家族の再編成」が起ころうとしている。そういった事態に対する家族の決断やそれに伴う家族関係の変化について、「子育て」「老親介護」などの親子問題と関連付けながら検討していく。さらに、「避難先・帰還先のコミュニティと家族の関連性」「避難・帰還生活における子どもの適応・ストレス」「子どもを対象とした支援活動」等についても並行して調査を進めていく。

■ 西村 正雄 [研究所員](早稲田大学人間科学学術院教授、文化人類学)
地域文化・環境の継承と復興をめぐる課題(文化破壊・環境破壊の問題、など)
世界各地域における文化と環境の継承を目的とした、文化遺産をめぐる開発の問題は、政治的・経済的・社会的・歴史的な問題、エスニシティや宗教的問題、人間の尊厳や人権の問題など、きわめて複合的な問題群を提示している。
本研究では、これまでにフィリピン・ラオス・カンボジア等の東南アジア研究で培ってきた眼差しを、東日本大震災・原発事故、スマトラ島沖地震、フィリピン巨大台風災害、などの災害による文化と環境の破壊と復興という現象に注ぐ。地域の文化と環境が根こそぎ奪われた後、元の土地だけでなく移住先においても、自らの文化を継承し復興しようとする民衆の力と、それを阻む壁について検証する。

■ 小島 隆矢 [研究所員](早稲田大学人間科学学術院准教授、建築環境心理学)
住宅や周辺環境をめぐる建築課題(復興住宅問題、防災意識問題、など)
福島原発の事故による県外避難者の住環境評価から課題を明らかにして、その知見を大規模災害時における定量的な指針として提供、及び支援策の検討を行う。
震災前後の住環境の現状及び満足度に関するアンケート調査データを用いて、
 @「震災前の福島での生活」と「現在の住宅」の種類と建て方・転居回数の現状
 A住環境評価の年度変化及び「国土交通省の住生活総合調査」との比較
 B住環境の満足度を指標とした意向モデルの構築を行う。
これらの分析から、住環境の現状と意向との関連を明らかにして、県外避難者の生活の再構築にむけての支援策及び復興住宅のあり方を考える。

■ 扇原 淳 [研究所員](早稲田大学人間科学学術院准教授、社会医学)
人びとの絆・つながりと健康課題(健康情報、ソーシャルキャピタルの問題、など)
大地震や原発事故をはじめとした災害において、避難を余儀なくされる被災者は今までの地縁や地域組織を離れ、新たな地域において生活せざるを得ない状況に置かれる。新たな地域での生活において、近隣住民との信頼関係を構築することや近所づきあいを活発に行うことは容易ではなく、近隣からの孤立化が懸念されている。当研究室では、被災者が移転先で抱える地域からの孤立感と避難に関わる生活困難及びソーシャル・キャピタルとの関連を明らかにする研究を行う。また、移転先での生活を向上させ、ソーシャル・キャピタルを高める活動について研究を行う。

■ 増田 和高 [研究所員](早稲田大学人間科学学術院助教、社会福祉士、地域福祉学)
地域復興における福祉課題(人間関係、コミュニティ再建課題、など)
避難先での人間関係、体調不良等によって引き起こされる避難者の福祉的課題について、時間的経過に伴う「多様性」「個別性」を配慮しつつそれらを明らかにするとともに、避難者の生活の質を低下させる要因について、それらの課題がどのような影響を及ぼしているのかということについて言及していく研究を行っていくこととする。

Richard F. Mollica [招聘研究員](ハーバード大学難民トラウマ研究所所長、医師、ハーバード大学医学部教授)

● 安田 常宏 [招聘研究員](ハーバード大学医学部・マサチューセッツ総合病院、医師、心臓核医学)
● 仲佐 保 [招聘研究員](国立国際医療研究センター国際医療協力局・国際派遣センター長、医師)


● 関谷 雄一 [招聘研究員](東京大学大学院総合文化研究科准教授、開発人類学)
関谷氏は開発人類学の専門家として、西アフリカを中心とした一連の村落社会の開発として「緑の推進協力プロジェクト」に関わってこられた。
東日本大震災後は、被災者が避難生活をおこなう、つくば市・福島市を中心とした支援と調査研究をつづけ、2014年度から「震災復興の公共人類学:福島県を中心とした創造的開発実践」と題した文部省科学研究費の代表を務めている。
 本研究所では、関谷氏を中心とした科研費グループが行っている研究内容を紹介していただき、早稲田大学学内の研究所員とのコラボレーションを通じて、震災復興に資する包括的な開発支援プランと政策策定をともに行っていきたい。

● 土田 マリサ [招聘研究員](東京女子医科大学公衆衛生学教室、医師、Idente Missionaries Sr.)
土田マリサ氏は、ペルー及び米国で医師免許を所得した日系医師であり、2007年に来日して以来、南米日系人移民労働者の医療領域における困難や課題について支援するとともに疫学的調査研究を行ってきた。
東日本大震災以降は、本研究所所長と共に、原発事故避難者の心身の健康に関する課題を研究し、共同して論文執筆を行ってきた。今後も引き続き、研究射程の「1.こころとからだの健康課題」について共同研究を行っていきたい。

● 北村 浩 [招聘研究員](公益財団法人・政治経済研究所主任研究員)
公益財団法人政治経済研究所主任研究員及び震災支援ネットワーク埼玉(SSN)の副代表を務めている。また、2007〜2011年に埼玉県議会議員(一期)を勤めた。東日本大震災以降は、研究者と支援者という立場から、社会科学や社会思想、現代社会論をベースに、おもに原発の災害の被害の補償・賠償・被害回復などの問題を分析してきており、特に研究の射程の「7.補償や賠償に関する法的課題」及び「8.民間団体による支援方略をめぐる課題」への貢献が期待できる。
本研究所では、学術的及び支援実践の観点の双方に熟知した北村氏と共に、現場に密着した問題解決法を議論し、探索したい。

● 猪股 正 [招聘研究員](震災支援ネットワーク埼玉代表、弁護士)
猪股氏は、長年、弁護士として消費者問題・貧困問題等に取り組んできており、東日本大震災以降は、震災支援ネットワーク埼玉の代表として、埼玉県内で避難生活を送る被災者らの支援刈る同の中心的役割を担ってきた。
本研究所代表と共に、震災後1年、2年、3年と毎年継続的に、埼玉県及び東京都への約4000世帯の生活実態を調べるための大規模アンケート調査を実施してきた。それらの結果をもとに、震災支援ネットワーク埼玉では、健康や生活に対する心理福祉的支援に加えて、賠償や保障といった面に対する法的支援を融合させた、新しい支援モデルの構築を目指した支援活動を行っている。
本研究所では、研究の射程「7.補償や賠償に関する法的課題」及び「8.民間団体による支援方略をめぐる課題」の2点について、猪股氏と共に、現場に密着した問題解決法を探索したい。

● 佐藤 純俊 [招聘研究員](埼玉県杉戸元気会代表、社会福祉主事)
ご自身が東日本大震災及び福島第一原子力発電事故の被災者であり、埼玉県にて避難生活を送っていた。自宅が帰還困難区域に該当したため、埼玉県への移住を計画している。震災後、差玉健杉戸町を中心とした避難当事者の自助グループ(杉戸元気会)を組織し、生活困難者の支援活動及び避難者の生活再建を行ってきた。また、社会福祉分野での職業経験をもとに、杉戸長に障害を持つ学童児のデイケアセンターを設立した。現在はNPO法人日本社会福祉事業協会やNPO法人全国福島県人友の会の代表や副代表を務めており、被災当事者の視点と社会福祉職の視点の双方の観点から、災害復興を目指した現場主義に基づいた活動を行っている。
本研究所では、現在に密着した被災者主体の問題解決法を探索するための知恵を賜りたい。
● 牧野 冬生 [研究所員](早稲田大学アジア太平洋研究科助教、建築人類学、建築計画) 
研究の射程として示された8つの課題のうち、主に5の「住宅や周辺環境をめぐる建築課題」に焦点を絞りつつ、被災者の住居を通してみる人間関係、家族の再編、コミュニティの再建、文化の破壊と再生といった復興時における生活と住まいに密着した課題について触れることで、災害復興の過程で必要とされる本来的な「住まいの在り方」について考えたい。災害初期、避難時、仮設住宅、復興住宅といった住まいの変遷(住居移転)の流れを、行政の視点ではなく住民のボトムアップの視点から考え直すことで、自然災害と人為災害からの回復と復興に資する具体的な建築計画のモデルを提示し、本プロジェクト研究所の設立経緯である”災害復興に特化した医療人類学”への貢献へ繋げたい。その意味で、研究の射程については、5以外にも関連して3「地域復興における福祉課題」、4「子どもと家族をめぐる課題」、6「地域文化・環境の継承と復興をめぐる課題」についても関心を広げたいと考えている。
● 石島 このみ [研究所員](早稲田大学人間科学学術院助手、発達行動学)  
根ヶ山教授の研究チームの一員として、震災・原発事故により避難を余儀なくされた子どもと家族をめぐる問題(家族再編成、居住地の決定、子育て・教育の問題など)についての調査を進め,その実態を明らかにする。さらに、子どもとその家族を対象として、避難先での新たな地域ネットワークづくりを目的とした支援活動も行っていく。

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災害復興医療人類学研究所

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