早稲田大学台湾研究所/COE・CAS「アジアの社会開発研究会」/台湾中央研究院アジア太平洋地域研究センター共催

ワークショップ「東アジアにおける市民社会と民主化―日台韓の比較」

日時:2005年7月23日(土)午前9:50〜午後6:00
会場:早稲田大学大学院アジア太平洋研究科(西早稲田キャンパス19−713教室)
参加者:発表者7人(下記のとおり)、司会者西川潤、聴講者天児慧、坪井善明、山本武彦、園田茂人、猿田一秋、内山早和、金淳和、任哲、
孫海洋、許雅ニ、韓沛君、趙秀梅、金燦錫、Hay Hunleng, 簡子晏等計30名ほど。

司会者:昨年7月台北で行われた第1回のワークショップ「現代アジアにおける市民社会組織の日台比較」に引き続き、本日は第2回のワークショップを開催します。 「市民社会と民主化」という日台共同研究の枠内で、さらに視野の拡大を考慮し、韓国の報告者も入れて、3地域の比較研究を行い、東アジア地域の市民社会、 民主化を概観し、議論を深めていくのが今回の目的である。

第1セッション(午前10時−11時):
Mr. HSU Shi-Jung(徐世栄、政治大学土地経済学教授)とMr. HSIAO H.H. Michael(蕭新煌、中央研究院亜太地域研究センター所長)は共同で “New Social Movement, NPO and the Emergence of Community in Taiwan”(台湾の新社会運動―NPOと社区の出現)という題で、 新社会運動の理論的枠組みと都市社会運動理論を用いて、近年の台湾におけるNPOと社区運動の勃興について説明した。 国民党の開発独裁期に浸透した効率優先の資本主義市場経済の諸弊害に対し、市民ベースの社会正義を訴求する新しいタイプの社会運動が勃興してくる。 台湾の特殊な歴史背景の下で、それはNPO運動、社区運動等として現れた。

第2セッション(午前11時−正午):
横田克己(参加型社会システム研究所長)は「日本における参加型社会形成の可能性と課題―生活クラブ生協の経験を踏まえて」 と題して、高度成長期における公害・環境問題を通じ、またバブル崩壊後の日本社会において、基層の住民と中流社会、特に女性がいかに「自立、参加、環境と合理性」 の理念の下で自ら生活協同組合を立ち上げて、社会運動を展開したかについて述べた。横田氏はスウェーデンの「ライト・ライブリーフッド(Right Livelihood賞」 をこの運動によって受けた生活クラブ生協の初代理事長である。報告の中で横田氏は、生活クラブ生協の成し得たこと、また成し得なかったことを分析して、 聴衆に感銘を与えた。

第3セッション(午後1時半−2時半):Mr. PARK Tae-Kyu(朴泰圭、延世大学東西研究所長)は “Non-profit Sector of Korea: development and structure” (韓国の非営利部門の発展と構造)について1945年戦後から1987年、次いで1987から1997年という区分で、非営利部門の発達とその特徴、及び構造を明らかにした。 政府部門との係わり合いと現在の規模・財政問題、及び今後の展望について自ら行った調査を題材として示した。

第4セッション(午後2時半−3時半:Mr. PARK Yoon-Chul(朴允哲、Hoseo大学中国研究所)は “The Mobilization Strategies and Socio-political Characteristics of Social Movements in South Korea”(韓国における社会運動の動員対策と社会政治的特徴)について報告した。 軍事独裁後の韓国文民政府の下で、社会運動もかつての暴力的な対抗から合法的かつ平和的な手段を用いたものに変わった。 中でも新旧の社会運動はどのような社会的状況の下でどのような変容を遂げてきたか、その特徴は何か、について分析した。

第5セッション(午後3時半−4時半:Mr. CHI Chun-Chieh(紀駿傑、国立東華大学族群関係研究所)とMr. HSIAO (同前) が連名で “From Popular Protest to Institutionalization and Beyond: Environmentalism in Taiwan, 1980-2004”(台湾の環境運動:大衆抗議から制度化へ)と題し、 台湾の環境運動の過程を社会学的に分析した。環境運動の担い手である中産階級は未だ「物質主義」を捨てきれずにいることと、中国の政治的・軍事的脅威が いかに台湾社会の環境優先意識と市民社会の形成を阻んでいるかについて論じた。

第6セッション(午後4時半−5時半):Ms. JIAN Tzi-Yen(簡子晏、早稲田大学博士課程)は “Community Movement in Taiwan from the Perspective of Endogenous Development”(内発的発展論から見る台湾の社区運動)と題した報告を発表した。 これは、内発的発展論の視点を通して台湾における社区運動の内容と特徴を分析したもので、内発的発展論と社区運動はどのような位置関係にあるかについても論述した。

第7セッション(午後5時半−6時半)では以上6本の発表について総合的な討論を行った。日台韓3地域の特徴と共通性について議論が行われ、東アジアの市民社会と民主化に関して相互理解を深めた。 会議中に千葉県が震源地としての強い地震(マグニチュード6震度5強)が発生したのは一エピソードとなった。 第3回目のワークショップを明年1月に開催することを申し合わせて会議を終了した。

(文責:簡子晏)


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