早稲田大学 台湾研究所
Waseda University Taiwan Research Institute
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研究内容
本研究所はこれまで、以下研究プロジェクトを立ち上げ、研究活動を行ってきました。それぞれの概要、活動内容は以下の通りである。
(1)「市民社会と民主化-日台の比較」プロジェクト
1.研究代表者:西川潤 教授(早稲田大学)
2.共同研究機関:中央研究院亜太区域研究専題中心
3.研究期間: 2004年5月~2007年3月
4.研究概要:
本研究は、台湾中央研究院アジア太平洋地域研究センター蕭新煌教授を代表とする台湾側チームとの共同研究である。
アジアにおける市民社会研究は近年、アジアの民主化進展と共に、急速に人々の注目を惹くようになったテーマである。一九九〇年代以降、台湾、韓国、タイ、インドネシア、フィリピン等で、民主化の動きは急激に進み、従来の国家独裁型体制を変容させつつある。しかしながら、その動因としての市民社会については未だ十分な研究は存在しない。工業化と共に増大した中産階級が基盤となるとの説、独裁体制に対抗する市民運動が世界的な情報化により活気付けられたとする説、あるいは開発優先主義に抵抗する草の根運動が基盤であるとの説、等、市民社会の実体把握についても諸説がある。
本研究計画は先ず、日本と台湾の両方で市民社会とはどのような社会層を指すか、市民社会の政治的要求がどのようなものか、市民社会と国家体制の民主化とはいかなる関係があるか、市民社会がめざすポスト冷戦体制の東アジアの国際関係イメージはどのようなものか、を調べた。そのために、毎年、台湾中央研究院との共催でワークショップを開催し、台湾の見地と日本の見地とを突き合わせる試みをしてきた。その上で、2005年度に更に「東アジアの市民社会」に関する国際シンポジウムを開き、研究成果を書籍として上梓した。
5. 活動内容
・「グローバル市民社会とアジアの市民社会-理論的基礎と民主化にとってのインプリケーション」於:台湾・中央研究院亜太区域研究専題中心(Center for Asia-Pacific Area Studies, Academia Sinica)(2004年10月22日開催)
・韓国ソウル市延世大学にて早稲田大学台湾研究所・台湾中央研究院・韓国延世大学共催国際ワークショップ:「グローバル/民主化ガバナンスに向けての市民社会の役割」(The Role of Civil Society for Global and Democratic Governance)(2006年3月3日開催)
・早稲田大学にて台湾研究所・中央研究院アジア太平洋地域研究センター共催:
ワークショップ「日台の文化関係-歴史、現状、将来展望」(Japan-Taiwan Cultural Relationship: History, Current State and the
Future Prospect)(2006年9月29日開催)
・「東アジアの市民社会と民主化」プロジェクトの成果は、「台湾研究叢書」の第1冊として明石書店より2007年2月刊行
・沖縄県那覇市にて、中央研究院アジア太平洋地域研究センターとの共催で「沖縄―台湾関係」ワークショップを開催(2007年3月)
(2)「戦前・戦時・戦後の台湾―1940年代を中心として」プロジェクト
1.代表者:凃照彦教授(國學院大學)
2.共同研究機関:中央研究院近代史研究所・台湾史研究所
3.研究期間: 2004年5月~2007年3月
4.研究概要:
戦後(1945年以降)台湾経済は、内外情勢の変転の下で独自の「国民経済」(メルクマークとして自国通貨制度と自主関税制度の確立)として生成し発展してきた。まず国内市場指向の輸入代替工業段階から出発し、次に国際市場向けの輸出指向工業段階に移行し、さらに対外直接投資段階に進展し、そしていまや世界有数のIT基地に到達した。この間の過程は決して順風満帆ではないものの、台湾をして途上国からNIES(新興工業経済地域)に躍進せしめ、緊迫する国際社会の中で驚異的な強靱性をみせ示した。この「強靱性」は一体、どこにその源泉が見出せるか。台湾経済発展の「秘密」はこの「強靱性」にあるのかもしれない。
本研究はこの「強靱性」の把握にあたり、独自の「国民経済」が生成し定着する1940年代に着目する。従来の台湾研究は、1945年の「光復」をもって戦前と戦後の段階区分が定着し、それぞれ異なった視点(論理)と枠組みで扱ってきたし、それに異議を挟む者は皆無に等しい。この従来の研究方法に対して、本研究は違った視点に立ち、1940年代を戦前と戦後に区分せず、むしろ10年間を貫通した一つの段階として捉え、斬新な問題意識からその位置づけを措定する。つまり、1940年代を戦後体制すなわち独自の国民経済枠組みの形成期(移行過程)と規定し、その全過程を解明しようと試みる。かいつまんでいうと、日本植民地経営末期の40年代前半は、戦時体制の拡散と深刻化にともない、台湾経済をして否応なしに「自給自足」的枠組みの構築に向かわせしめ、そうした体制形成期の前段階と措定する。そしてそれが戦後以降「国民経済」の萌芽的先駆形態として基底をなしたと考える。この点の解明が本研究の意図とするところであるが、それを10年間一貫(一つの段階と)して国民経済形成期と捉え、その過程を検証したことが、本研究の最大の特色である。
5. 活動内容
研究会開催
①2005年5月 台湾経済史研究例会(早稲田大学台湾研究所)
②2005年6月 台湾経済史研究会(早稲田大学台湾研究所)
③2005年7月 研究報告会(於:中央研究院近代史研究所)
④2005年9月 台湾経済史研究会(早稲田大学台湾研究所)
⑤2006年2月 台湾経済史研究会(早稲田大学台湾研究所)
⑥2006年5月 台湾経済史研究会(早稲田大学台湾研究所)
⑦2006年9月 研究報告会(於:中央研究院台湾史研究所)
(3)「戦前台湾判決資料の調査および整理」プロジェクト
1.代表者:浅古弘教授(早稲田大学)
2.共同研究機関:司法院・台湾大学法学院
3.研究期間: 2004年5月~2007年3月
4.研究概要:
早稲田大学台湾研究所は、早稲田大学東アジア法研究所との共同プロジェクトとして、台湾の地方法院・高等法院等に現存する日本統治時代の裁判記録(所在が確認されているもの700余冊)を研究に供するために、適切な方法を確立し、学界共有の財産として公開利用できるように整理し、目録作成を行うこととしている。
東アジア法研究所では、台湾に関する歴史資料として、早稲田大学図書館に寄贈された「岡松家旧蔵図書・文書資料」の整理、台湾総督府の休暇調査会の台湾所在資料調査、日本統治時代の裁判記録の所在調査を終え、台北の司法官訓練所図書館所蔵の裁判記録の目録作成を試行的に始めている。東アジア法研究所は、台湾の司法院、司法官訓練所、台湾大学法学院(王泰升教授)との間で共同事業として台湾に現在する裁判記録の整理保存公開について、共同事業として実施する基本合意ができており、当研究所の台湾史に関するプロジェクトとして、実績のある東アジア法研究所と共同のプロジェクトを組むことが、研究成果を上げる効率的な方法であると考えている。
本研究は、①日本・中国・台湾・韓国に現存する近代法制資料を通して、東アジアにおける近代法形成に果たした日本法の意義と東アジアの各地域の法の相互の影響について実証的に研究し、併せて、現存する東アジア近代法制資料を研究資料として広く研究者に公開するために適切な保存・整理の方法を検討し、研究の基礎を整えようとする事業の一環である。
①東アジア諸国のなかで一歩先んじて西欧法を受容し近代化を行なった日本法が、植民地支配を通じて台湾や朝鮮の社会に持ち込まれ、あるいは日本への留学生や近代法典の編纂事業に対する日本の法整備支援を通じて、東アジア諸国・地域の法に大きな影響を与えたことは、周知の事実であるが、東アジア諸国・地域の近代的諸法典編纂事業では、日本・台湾・朝鮮・中国・満洲の各地域の法が互いに影響しあい、「法の回廊」をなしていたといわれている。本研究は、近代東アジアにおけるこの「法の回廊」を実証的に明らかにし、その歴史的意義を検討するとともに、そこにおける日本法の影響とその意義を明確にしたことに意味があった。
5. 活動内容
①台湾における資料調査(計4回、於:国家図書館台湾分館・国立台湾大学図書館・国立政治大学・台湾司法院・司法官訓練所図書館)
②台湾戦前判決原本の調査および複写を通じて6,000件以上を仮目録として採録した。
③以上の成果について、日本法制史学会および日本台湾学会で発表を行った。また、成果の一部については、日本において出版する予定。
④学会報告
・(ミニ・シンポジウム「岡松参太郎の学問と政策提言」法制史学会第55回総会
於:早稲田大学)。
・セッション「法学博士・岡松参太郎と台湾総督府の立法政策」
日本台湾学会第5回学術大会 (於:関西大学)
(4)「日台の文化関係-歴史、現状、将来展望」プロジェクト
1.代表者:西川潤教授(早稲田大学)
2.共同研究機関:中央研究院亜太区域研究専題中心
3. 研究期間: 2006年4月~2008年3月
4. 研究概要:
21世紀に入り、グローバリゼーションの進展の中で、東アジア情勢も新たな地域主義の台頭など急速に変わっている。また、東アジア諸国でも台湾、韓国など民主化が急速に進展しており、一昔前の開発独裁体制が変貌しつつある。2015年は、清国による日本への台湾割譲から120周年に当たり、両国にとって上述のような変化の中で、日台関係が2006~15年の時期にどのような意味、役割を持つかを、政治、経済、歴史、社会、文化の観点から検討することは双方にとって重要だろう。両国にとって2006年~15年の10年間にグローバリゼーション下の東アジア情勢の進展との関連で、日本・台湾交流の歴史、現状分析を踏まえつつ、両者にとっての課題、可能な進展方向を明らかにする。
5. 活動内容
2006~2007年度の2年間プロジェクトとする。この間に3回のワークショップを開催し、2007年度内に報告書をまとめる。
①2006年9月 第一回ワークショップ(早稲田大学)
②2007年3月 第2回ワークショップ(沖縄)
(5)「WTO,FTAの東アジア経済へのインパクト-特に農業構造を中心として」プロジェクト
1.代表者:原剛教授(早稲田大学)
2.共同研究機関:淡江大学日本研究所
3.研究期間: 2004年5月~2007年3月
4.研究概要:
本研究は、日本の早稲田大学、台湾の淡江大学の研究者を中心に、日本、台湾両国において、WTO,FTA下に貿易自由化がどの程度進み、それが産業構造の変化をどの程度促し、とりわけ農業にどのようなインパクトを及ぼすかを検討し、現在転換期にある両国の農業に対して、グローバリゼーションの下でいかなる農業政策が最適のものとして考えられるか、を比較考察するものである。農業はいうまでもなく、国民の安全保障に関連した基幹産業であり、かつ、農村工業による雇用創出、環境保全、景観維持等の任務をも担う重要な産業であることを考えるとき、農業は単純に自由貿易の進展により、切り捨てられるべき比較劣位の産業ではない。
そこで本研究では、投資・貿易の自由化と国家規制の緩和を前提として、日台両国を中心に、随時、同じ条件をかかえている韓国、中国の例をも参照しつつ、東アジア各国でいかなる形で規制緩和がすすみ、いかなる新たな農業政策が現れているか、WTO,FTAの各国農業、農村工業に対するインパクトは何か、各国間の利害の共通点、相違点は何か、これらを分析することによって。グローバリゼーションの時代に即した、単なる保護主義の再興にとどまらない、各国の実情に即した農業・農村発展政策を考察することにした。この日台共同研究によって、東アジア諸国がグローバリゼーション、WTO/FTA時代に、共通の問題をかかえ、共通の農業・農村発展課題に直面していることを認識することによって、東アジア諸国の協力体制の構築にとっての農業の面からの貢献を行うことが、本プロジェクトの目的であった。
5.活動内容:
①韓国ソウル漢陽大学にて「WTO,FTAの東アジア経済へのインパクト~特に農業構造を中心として~」第2回ワークショップ(2006年4月開催)
②山形県高畠町にて「WTO,FTAの東アジア経済へのインパクト~特に農業構造を中心として~」第3回ワークショップ(2006年9月開催)
③「WTO,FTAの東アジア経済へのインパクト~特に農業構造を中心として~」プロジェクトの成果は、報告書を作成し2007年9月に刊行予定
・2005年7月 プロジェクト打合せ
・2005年9月 台湾におけるシンポジウム開催に向けた協議
・2005年10月 淡江大学におけるシンポジウム開催
・2005年12月 研究会開催
(6)「台湾人元日本兵の研究、および資料整理」プロジェクト
1.代表者:松永正義教授(一橋大学)
2.研究期間: 2006年9月~2008年3月
3.研究概要:
近年台湾人元兵士については、台湾で多くの口述歴史が出版されており、また日本でも林えいだいの研究や当事者の回想の出版などが見られる。本プロジェクトはこうした研究状況を総括しながら、台湾における研究状況を日本に紹介することを目的とする。また、本プロジェクトの研究成果については、2007年度台湾学会の分科会セッション、もしくは独自のシンポジウムを開催する予定。最終的には明石書店より、研究成果の公開として、陳千武氏『活著回来』、および『台湾人元日本兵に関する研究と資料』(仮題)の出版をめざす。
4. 活動内容:
①台湾現地聞き取り調査および資料所在の確認のため、2006年9月、国史舘、中央研究院台湾史研究所、国史舘台湾分館などで調査を行った。
②2006年年度、早稲田大学において研究会(3回)を実施。
③2007年3月、台湾での聞き取り調査を実施。
④2007年度『台湾人元日本兵に関する研究と資料』シンポジウムを開催予定。
(7)「台湾教科書研究プロジェクト」
1.代表者:江正殷(早稲田大学)
2.研究期間:2006年4月~2008年3月
3.研究概要:教科書の編集方針は以下の通りである
・網羅的、概説的であるよりは、問題提起的な記述を。
・通史にはしないでポイントを絞る。
・大学1年または修士1年でも読めるように、基本的な事項、理論の解説をふくめて。
・教科書のタイトルは『台湾を考えるための25の扉』(仮)とし、編集責任者は松永正義、栗原純、丸川哲史、江正殷の4名で構成する。
(8)「戦前期日本における台湾・日本関係年表-1868~1945~」研究プロジェクト」
1.代表者:駒込武(京都大学教授)
2.研究期間:2007年4月~2008年3月
3.研究概要:年表の整理、編集方針は以下の通りである
目的:戦前期の日本における、台湾と日本の関係をあらわす事項の年表を作成する。
歴史的経緯を具体的に明らかにし、日台関係の理解のための一助となるような基礎的なツールを提供する。また、作業過程で着目すべき事項に関する統計なども、付録として付する。
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