梅森直之 台湾研究所所長


映画上映後のアンケート記入風景


酒井充子『台湾人生』監督

2009.12.16 台湾映画『海角七号―君想う、国境の南』上映会開催

2009年12月16日、早稲田大学早稲田キャンパス22号館201教室において
『海角七号―君想う、国境の南』上映会が開催された。会場は定員200名の
大教室であったが、16:30の開場後あっという間に席が埋まり、この映画の
認知度の高さを物語るものであった。

上映に先立って、初めに本研究所の梅森所長から挨拶がなされ、早稲田大学
台湾研究所および台湾研究テーマスタディの概要について紹介がなされた。
次に、特別ゲストとしてお招きした『台湾人生』酒井充子(あつこ)監督から、
日本人からみた映画のみどころや面白さ等についてお話をいただいた。
まず、映画を観る前の基礎知識として、ご自身が監督された映画『台湾人生』に
からめながら簡単に台湾の歴史が紹介された。

酒井監督と『海角七号』の魏監督とは1969年生まれでおない年だとのことだが、
以前、「戦後世代の二人がなぜ台湾と日本について考えるのか」ということに
ついて議論をする機会があったという。その問題について、酒井監督は
ドキュメンタリーという形式をもって作品を作り上げた。他方、魏監督は台湾の
これからについて皆が考える必要があることを強調されたという。日本と台湾の
双方が「写し鏡」であり、台湾を知るということは日本の近現代を知ることである、
と酒井監督は強調された。

『海角七号』はエンターテイメント性あふれる作品であるものの、この映画を
きっかけに植民地統治や戦争についても考えてほしい、と監督は述べられた。
戦後48万の人が台湾から日本に引き揚げてきたが、全体をみれば約650万人
もの人々が各地から日本に引き揚げてきた。第二次世界大戦では230万の
軍関係者が亡くなり、合計すれば310万人もの命が戦争で失われた。それら
戦没者の多くには、10代や20代の若者が多く含まれていた。このことをぜひ
忘れないでほしい、と監督は強調された。

なお、映画では「野ばら」の歌が幾度か流れるが、ゲーテがこの曲を書いた
いきさつについて知った後、魏監督の演出の意図が理解できたような気がした、
という。最後は、映画館での臨場感を味わうためには、「ぜひ映画館に足を
運んで再び観てほしい」、との言葉で酒井監督からのお話が締めくくられた。

この映画は魏監督のデビュー作であり、現在はモーナルーダオと霧社事件を
主題とした第二作目を製作中であるとのこと。『海角七号』は台湾では『タイタニック』
を超えて興行一位となる大ヒットを記録したが、学生たちは時には笑い、時には
涙しながら熱心に見入っていた。上映後、簡単な感想をアンケートに記入してもらい、
上映会は盛況のうちに終了した。

一般公開は12月26日からであり、今回は配給会社のご好意により一般上映に
先駆けての上映会であったが、一般公開後は日本でも数多くの人がこの映画を
通じて現在の台湾を知り、日台の若い世代をつなぐような映画として日台の
相互理解の一助となってくれることを期待したい。