Jeong sil, MOON, Associate Professor of Sociology, Chubu Gakuin University

文 貞實HP

中部学院大学人間福祉学部助教授
早稲田大学地域社会と危機管理研究所客員研究員

連絡先 〒501-3993 岐阜県関市倉知4909-3 中部学院大学人間福祉学部
TEL:0575-24-2211  http://www.chubu-gu.ac.jp/  E-mail: [email protected]
 
 

 


 



プロフィール

学歴及び主な職歴

◇学歴

1995年3月、明治学院大学大学院社会学研究科社会学・社会福祉学専攻博士後期過程単位修得満期退学(社会学修士)

◇職歴

1995年4月〜1997年3月 明治学院大学社会学部兼任講師(社会学、基礎演習担当)
1995年4月〜1997年3月 東京女学館短期大学国際文化学科兼任講師(福祉社会担当)
1997年4月〜1998年3月 岐阜経済大学経営学部兼任講師(社会学、現代社会担当)
1998年4月〜2000年3月 日本福祉大学社会福祉学部兼任講師(社会福祉調査論担当)
1999年4月〜2003年3月 同朋大学兼任講師(社会学、社会病理学担当)
1997年4月〜 中部学院大学人間福祉学部人間福祉学科 専任講師
2001年4月〜 同大学 助教授  現在に至る。

関心領域

  現在の問題関心は労働市場における女性不安定就労層の実態解明に関心がある。具体的に、進行中の調査研究としては、

1)静岡県の温泉地域でのサービス業に従事してきた・している女性労働者(旅館ホテル従業員、芸妓、コンパニオンなど)を対象とした調査研究、
2)東京足立区のエスニック・コミュニティの地域産業(おもに内職業)に従事してきた在日1世や、新規参入の外国人労働者の事例調査などがある。

■■■研究の背景■■■

1) 数年来、東京・山谷周辺で女性野宿者の聞き取り調査をおこなってきているなかで、彼女らの多くが(中高齢層)義務教育を終了時が日本の高度経済成長期にあたり、紡績工や自動車産業などの工場に勤めはじめたひとたちである。その後のライフステージのなかで大きな困難に遭遇し、夫や家族から逃避し東京に出てきたひとが少なくない。野宿までの職業移動をみると、学歴や職歴を必要としない仕事として「旅館の仲居」「製造業」「水商売」などの職業を経ていた。労働市場の周辺部のさらなる周辺で働いてきた女性たちが新規参入しやすい職業は狭まれている。サービス産業の不安定層のなかには、彼女らのような家族資源、学歴資源をもたない多くの女性が吸引されているといえる。そのようなサービス業の女性労働の実態を明らかにしたいと思ったのが本研究の背景にある。

2) 95年の阪神・淡路大震災後、神戸市長田地域で当該地域の地域産業であるケミカルシューズ産業の復興と在日韓国・朝鮮人の生活再建をテーマに現地に入った。そのときに出会った多くの在日1世・2世たちの聞き取り調査から、在日1世2世たちがどのような経緯で日本社会のなかで生活の基盤をつくっていったか、戦前戦後の社会的な差別のなかでの移動障壁が結果的に当該地域に在日コミュニティを形成し、かつ当該産業の周辺部にいた在日の労働者たちが中心を担うようになったプロセスは社会的・経済的な要因を抜きには語れないことを学んだ。また、震災後のマイノリティの側であるエスニック・コミュニティの危機感が「復興まちづくり」の過程で、地域の再建に大きな役割を担うなかで、新たな「共生のまちづくり」の可能性を体験する機会を得た。

■なぜ「温泉地域のサービス産業従事者」なのか?

 1)調査対象地域の温泉地は、戦前は中国大陸からの引き上げてきた女性たちを、戦後60年代以降の高度経済成長期には、九州の筑豊炭鉱の閉山にともない職を失ったサービス業に従事してきた女性たちを大量に吸引してきた背景をもつ地域であり、また長年、旅館の従業員として北海道や東北地方から出稼ぎ女性を受け入れてきた地域でもある。現在は、東京方面の若年フリーター層を短期・季節型の雇用形態で受け入れている。当該地域のサービス産業に従事する女性労働者の実態解明は、日本の労働市場におけるサービス産業従事者の不安定性や雇用調整弁としての女性労働の実態を明らかにするうえで重要な視点を提供するといえるから。

■なぜ「エスニック・コミュニティの女性労働」なのか?

2)従来のエスニック・コミュニティ研究では、地域社会をフィールドとした研究の知見が必ずしも十分蓄積されているとはいえない。エスニック集団の意識調査や類型化や政治的・文化的な資源動員論などや、近年の外国人労働者の流入と定着を背景としたエスニック・ネットワーク論など様々な研究がおこなわれているが、なぜ、彼ら彼女らが生活の場として、「その地域」に流入・定着化したのか、どのように彼ら彼女らに仕事と住居を用意する条件を生み出す地域の経済や歴史についての視点は十分だといえない。とりわけ、韓国・朝鮮人の在日1世たちが地域産業の周辺部で仕事をもち生活の基盤を作るにいたったプロセスでの家内工業的な職業の獲得と進展が、日本社会での生活の基礎をつくりだし、その後の新規参入層に仕事を用意するようになったメカニズムの研究は少ない。そこで、東京の周辺部として足立区が戦前から細民の集住地域として、その後は地域産業として再生資源業関連業を発展させていくなかで、その関連産業に組み込まれながらも生活基盤としての製造業・家内工業に携わるようになる1世たち(女性)の生活史と当該地域の地域史の重なりを研究することが求められる。  

社会活動歴

その他