根来龍之監修 早稲田大学IT戦略研究所編
  『mixiと第二世代ネット革命:無料モデルの新潮流』

 

根来龍之監修 早稲田大学IT戦略研究所編『mixiと第二世代ネット革命:無料モデルの新潮流
 (東洋経済新報社、20060826日発売)

SBN4-492-50162-2 \2,200 (税込\2,310)

 

<<内容紹介>>−「はじめに」から−
 
 本書は、第二世代の誕生というネットワールドの構造変化を背景にして、SNS(ソーシャル・ネットワーキングサービス)におけるネットワーク行動の特性と無料サービスの収益性確立のプロセスについて論じるものである。

 

 わが国では、Yahoo!や楽天が第一世代だとすれば、本書がとりあげる「mixi」や「はてな」が第二世代になる。これらのサイトは、2000年以降に本格的に活動を始めた。
 
第一世代の特徴は、「バーチャルワールド」を、リアルワールドとは異なるもの、あるいはリアルワールドと対立するものとして捉える点にあった。簡単に言えば、ある価値に興味のある人が集まるネットワーク上の場所が、物理的な場所とは別に、リアルワールドとは分離したものとして発展したのが、第一世代だった。2ちゃんねるのようなネットコミュニティや楽天市場のようなネットショッピングモールがその典型だ。第一世代においては、このリアルとは異なる場所は、それぞれのサイトとして個々別々にあるいは相互に競い合う形で発展した。それに対して、ネット第二世代の特徴は、「バーチャル×バーチャル」と「リアル×バーチャル」という二つのキーワードで捉えることができる。詳しくは、本書エピローグを参照いただきたいが、簡単に言うと、二つのキーワードは以下を意味する。
 
「バーチャル×バーチャル」とは、バーチャルなサイトとバーチャルなサイトが自動化技術で結びつく、あるいはバーチャルなコラボレーションが半自動的に集合的付加価値をつくり出す仕組みを意味する。これは、第一世代の特徴である「サイト間の孤立的発展」の補完である。もうひとつの特徴である「リアル×バーチャル」とは、リアルとバーチャルの対立を融合へと変化させる仕組みを意味する。その典型が、SNSの登場による、リアルな人間関係にバーチャルな人間関係が加わる「リアル×バーチャル」という世界の実現である。これは、第一世代においてリアルとは異なる世界として発展してきたネットコミュニティの補完である。(第二世代は第一世代の置き換えではなく、第一世代を補完する発展である。)

 

 本書では、上記の第二世代の二つの特徴のうち、主に第二の特徴、「リアル×バーチャル」の世界の発展とビジネス化に焦点を当てる。そのために、まず、プロローグでは、わが国のSNSの旗手であるmixiのサービスとビジネスの内容について紹介する。次に、第一部では、mixiに関する早稲田大学IT戦略研究所の調査をふまえて、「リアル×バーチャル」の世界の参加者がもつネットワーク行動の特性について論じる。第二部では、ビジネスモデルとしての無料モデルが成功するための条件を論じる。これは、mixiのような第二世代の成長サイトが無料サービスとして発展していることをふまえたものである。無料モデルは、Yahoo!のようなネット第一世代で重要な役割を果たし、第二世代でも引き続き主要なビジネスモデルの一つとして存続している。
無料モデルについて、本書が強調したいのは、「市場差別化」(サイトの人気)と「収益性の確立」との原理的乖離である。通常の事業活動(販売対価モデル)においては、サービスの差別化の構築が、同時に収益モデルの確立をほぼ意味するのに対し、無料モデルにおいては差別化の構築と収益モデルの確立には不均衡が存在する。無料サービスをメインビジネスとし、それを自立させるにためには、利用者基盤の蓄積だけでなく、無料サービスのコスト構造が、広告・データ分析・システム販売などの実際の収入源の規模と見合うような事業規模の確保やコントロールが必要である。そのためには、通常の販売対価モデルと同様に、経営資源の模倣困難性の計画的構築が必要である。「とにかく人を集める」だけでは成功できない。

 

 本書の構造を要約すれば、第一部では第二世代のネットコミュニティに特有な現象について議論し、第二部では第一世代から引きついだ無料サービスという収益モデルについて考え、エピローグにおいて第二世代ネット革命の二つの特徴について詳述するということである。

 

 

目次

 

第二世代ネット革命:mixiと無料モデル(仮題)
根来龍之監修 早稲田大学IT戦略研究所編

 

プロローグ mixiとは?:その誕生と成長
 ・ソーシャル・ネットワーキングサービス(SNS)とは?
 mixi誕生の背景
 mixiの誕生
コラム@ アメリカのSNS
・ライバルとの拮抗
・収益性の確立
mixiの新たな取り組みと課題
    コラムA 地域SNS

 

第一部 mixiにおけるネットワーク行動

 

第1章 「第二世代ネットコミュニティ」としてのmixi
・「第一世代ネットコミュニティ」と「mixi」を比較してみる
・「ネットワーク分析」の視点から見た「mixi」のつながり
コラムB web2.0

 

第2章  mixiの構造と特性 -多様なネットワークを形成する源泉-
mixiの「システム特性」と結果として「もたらされる特性」
コラムC ROMRAM
・第一世代にはなかった構造 mixiにおける「リアル特性」×「バーチャル特性」
     コラムD RSSRich Site Summary

 

第3章  mixiにおけるコミュニケーション -情報の発信・伝播と消費行動-
mixiを行きかう情報は限りなく「コンサマトリー」
・関係の階層がもたらす「情報の信頼性」への影響
mixiのコミュニケーション活動はとても活発! 
・マーケティング(消費行動)へ影響を及ぼす情報
mixiは理想的な「口コミ」ネットワークか?
     コラムE 口コミマーケティング
mixiの「書いて伝える口コミ」はより効果的に伝播する
コラムF CGMConsumer Generated Media

 

第4章  「バーチャル特性」が果たす役割 
・「リアル特性仮説」の導出
・二つの「リアル特性仮説」検証のためのより具体的な仮説の設定
・「リアル特性/バーチャル特性」の「傾向」を考える
・形成される「リアル特性」が高い参加者の影響モデル」とは
・アクティブなmixiに集う人々(調査結果の要約)
・「リアル特性/バーチャル特性」と「信頼に関する特性」との関係
mixiにおける信頼の相互関係
・検証結果 -バーチャル特性が果たす役割-
・特徴ある傾向! 「見知らぬマイミクシィ」に対して信頼のおける参加者たち

 

第5章  「第二世代」特有の存在
・「リアルな基盤」と「バーチャルな特性」を併せ持つことの意味
・「バーチャリアラー」がmixi(SNS)発展の鍵になる!
・「バーチャリアラー」とは?
・現代社会で「リアル」と「バーチャル」の線引きはできるか?
・仮想空間とうまく付き合うスキルやバランス感覚
コラムG EPIC2014

 

第二部 無料サービスのビジネスモデル

 

第6章 インターネットの歴史とビジネスモデル
・「無料モデル」登場の背景
・ビジネスモデルとは何か
 コラムH ロングテール

 

第7章 無料サービスにおける収入源
・サービスの有料化
・有料オプションの販売
・物財の販売
・広告スペースの販売
    コラムI google
・アフィリエイトの手数料
    コラムJ リコメンデーション機能
・情報の分析と販売
・システム販売
    コラムK ネット上の「場」のビジネス:仲介プラットフォーム

 

第8章 無料サービスの事例紹介1 フォトハイウェイ・ジャパン
 ・オンラインフォトアルバムの持つ機能
 ・事業内容と売上構成比率
 ・収入モデル
 ・サービスの変遷

 

第9章 無料サービスの事例紹介2 旧ライブドア
 ・livedoorのサービス
 ・旧ライブドアの会社概要と沿革
 ・会員数の推移
 ・収入モデル
 ・旧ライブドアのコストモデル
 ・旧ライブドアの収益モデルの捉え方
    コラムL ビットバレー

 

10章 3社のビジネスモデル整理
・3社の戦略モデル
 ・3社の収益モデルと経営資源
 ・収益源と資源の関係

 

11章 3社事例の比較分析
 ・3社事例の損益図
 ・時間の経過による収益モデルの変化
 ・3社にみるネットワーク外部性
 ・3社の発展経路及び成否の差異

 

12章 無料モデルが成否に至る経路の特徴
 ・無料モデルの発展経路
 ・分析から読み取れること
    コラムM ネット企業のIPO

 

エピローグ 第二世代ネット革命とは何か?
・対立第一世代の特徴:リアルとバーチャルの対立
 バーチャル×バーチャル
    コラムN Wiki
 Webサービスの技術
    コラムO Webサービス
 ・リアル×バーチャル
・第二世代の二つの特徴の補完的関係

 


付録  mixi参加者の属性と行動(早稲田大学IT戦略研究所調査結果)
参考文献

 

あとがき
執筆者紹介

 

執筆者紹介

 

■監修/エピローグ:根来龍之(ねごろ たつゆき)

早稲田大学商学学術院教授(IT戦略研究所所長、商学研究科MBAコース<経営戦略とIT>モジュール責任者)。1952年三重県生まれ。京都大学卒業(社会学専攻)、慶應義塾大学ビジネススクール修了(MBA)。鉄鋼メーカー、文教大学などを経て現職。1990-91年、英ハル大学客員研究員。組織学会評議員、Systems ResearchEditorial Board、経営情報学会誌元編集長、国際CIO学会誌編集委員長。ミッション経営研究会副主宰。主な著書に、『代替品の戦略』(東洋経済新報社)、『デジタル時代の経営戦略』(監修,メディアセレクト)、『製薬・医療産業の未来戦略』(共著,東洋経済新報社)、『経営戦略と企業革新』(共著, 朝倉書店)、『ネットビジネスの経営戦略』(共著, 日科技連出版社)など。訳書に『資源ベースの経営戦略論』(共訳,東洋経済新報社)など。

 

■早稲田大学IT戦略研究所(略称:RIIM):http://www.waseda.jp/prj-riim/

情報技術(IT)が経営戦略、経営組織などに与える影響について、研究・提言を行うことを目的として、20033月に設立されたプロジェクト研究所。同大学大学院商学研究科に設置されている社会人向け夜間MBAコースの<経営戦略とIT>モジュールと連動した活動も行なっている。

 

■第1部主担当/付録/コラムCE:青木孝次(あおき たかつぐ)

千葉大学卒業、早稲田大学大学院商学研究科修了(MBA)。広告代理店勤務、米国系ネット広告会社の日本法人設立参画等を経て、現早稲田大学IT戦略研究所リサーチメンバー。

 

■プロローグ/第2部主担当:鍛地研介(かじ けんすけ)

早稲田大学商学部卒業、同大学院商学研究科修了(商学修士)。電子メーカー勤務。

 

■コラム@AFJK浜屋敏(はまや さとし)

京都大学法学部卒業、米ロチェスター大学経営大学院修了(MBA)。富士通総研主任研究員。早稲田大学IT戦略研究所客員研究員。

 

■コラムBGHLM:湯川抗(ゆかわ こう)

米コロンビア大学大学院修了(MS)。東京大学工学系研究科博士課程修了(Ph.D)。富士通総研上級研究員。東京大学先端科学技術研究センター客員研究員

 

■コラムDINO:加藤和彦(かとう かずひこ)
豪シドニー大学大学院国際学研究科修了(MA)、豪ボンド大学経営大学院修了(MBA)。現早稲田大学IT戦略研究所リサーチメンバー、外資系ITベンダー勤務。