ヴェスヴィア地区の調査 − 古代イタリア研究の今後の展望
ジュゼッピーナ・チェルッリ

回は、イタリアでの最近の研究調査、その中でも特にヴェスヴィア地区での調査に焦点を当てました。


「近年の新しい調査結果をどのように扱うべきか?」

以前から問題にされてきた考古学資産の保護法が強化され、広範囲にわたって適用されるようになりました。その結果、考古学的な予備調査が計画されると、それに対する資金援助も為されるようになりました。このために、高度な調査や新分野における新たな実例が与えられました。つまり、古代ローマ時代の道路、通信網、交易の諸発展に留意しながら探求することで、さらなるデータを得ることができますし、科学的データが実地調査機関によって準備されています。
イタリアでの考古学的発見への関心が、多くの大学および研究機関を広い分野(地質学、火山学、植物学、動物学、医学など)にわたって巻きこみました。その結果、各分野の専門家たちに古代人の生活環境の研究に従事する機会が与えられており、そのことが非常によい結果をもたらしています。

「調査によって何が得られるか?」

上述のような調査から獲得された新しい資料の一例を挙げます。
まず第一に、イタリア沿岸部においては、生活の環境的・文化的変動が頻繁にあったものの、有史以前からローマ時代以降まで、人間は居住していたということです。そして、絶え間ない移住があったことで、人々の生活が継続し、迅速な統合が可能となる要素をもっていたことです。これらに関しては、ギリシアの歴史、文学、伝説、神話がさまざまな情報を与えてくれ、そのことの理解のきっかけとなっています。特にローマ人による支配以前においては、情報伝達の手段が制限されており、古代の歴史叙述家たちは、叙述家自身の時代と彼らが属していた都市の様式にふさわしいと感じられるような、文明創造に関連した民話を選びとっていたのです。
古代ギリシア人は古代イタリアについての知識を充分にもっていました。それは、彼らの神話に関する知識と同じ意味合いにおいてです。古代ギリシア人が古代イタリアの住民に関して残している情報が混乱しているのは、彼らが多くの情報に接していて、そのために古代イタリアの人々についても、古代ギリシア人自身の時代の精神と哲学によって解釈する傾向にあったからであります。そのために今日においては、考古学的証拠がより一層、検討の対象とされてくるのです。私たちには情報が残されており、さらには、文化の伝播がいかに予期せぬ仕方で為されていたかが理解されているのです。


Copyright ©早稲田大学地中海研究所
本ページの無断転載を禁ず