

日本には多くの遺跡があります。かつては少数の考古学研究者による学術的発掘調査がなされるのみでした。しかし、高度経済成長に伴う開発事業の増加により遺跡が失われていく中、せめて記録保存しようと事前に大規模な発掘調査が実施されてきました。この発掘調査で中心となって活躍するのは、専門的な発掘調査技術を持つ調査員、調査補助員と呼ばれる発掘技術者たちです。しかし、発掘従事者が貴重な国民共有の財産たる埋蔵文化財の調査を実施するという、きわめて大事な立場にもかかわらず明確な資格は与えられておらず、そのために曖昧な立場におかれています。本プログラムは、発掘技術者が6ヶ月間ほどの専門教育を受けることにより、明確な資格を与えることを目的としています。この資格制度によって、調査環境の改善を促し、考古学的な発掘技術者の雇用を促進し、明確な権利と社会的責任をあきらかにし、新たな就職の機会を生み出すことを企図しています。近年では、社会の様々な面でコンプライアンスへの国民的意識が高まり、発掘調査が適切に実施されているか、調査報告書が適切に公表されたか等を含めて、専門的な立場からマネジメントすることも求められています。 本プログラムでは、3年間の事業実施期間中に遺跡発掘調査業務の実務に従事している社会人を主たる対象として、大学での学び直しの機会を提供し、リカレント教育を通じて資格を授与するシステムを構築することを目的としています。またあわせて、大学の考古学コースの学生には、学部・大学院のカリキュラム修了時に、資格条件が整う仕組みを構築します。 これら資格は社会に認知され、責任あるものにしていく必要がありますが、早稲田大学のみで継続実施するつもりもありませんし、できるものではありません。考古学関連コースをもつ他大学にも趣旨をご理解をいただき、私どもの経験を公開して社会人や学生に対する資格認定システムへの参加と協力を広げていきたいと思っています。そのためにも第三者機関を完全に大学の外部に設立し、プログラム終了後も資格授与を継続することで社会的認知を得られるよう進めていく予定です。 |