

「考古調査士養成プログラム」は、文学学術院考古学コースの先生方を中心に、2007年度の文部科学省の委託事業として開始されました。その事業では埋蔵文化財発掘調査に必要な専門知識と技術を涵養し、それに対して「考古調査士資格」という資格を授与する仕組みを構築しました。 早稲田大学では、その仕組みを社会人にまで拡大し、すでに実務に携わっている人にも門戸を開き、「科目等履修生」として大学で再度学び直していただくことを勧めております。 考古学という学問は、遙か昔の原始・古代遺跡を相手に発掘調査という独特の方法を用いて古代文化や社会を明らかにすることを任務としております。遥か古代のロマンを夢見させてくれるだけに、どこか浮世離れした印象が残りますが、しかし埋蔵文化財調査というのは、国土の開発などと密接に関連し、埋蔵文化財の発掘調査が進展しないと開発事業が滞るなど、実質的な社会的任務と責任を帯びています。その意味で社会との接点を持つわけで、決して浮世離れした領域ではないことがわかります。 文化財保護法で埋蔵文化財は「国民共有の財産」と謳われており、それを代表して調査するには、科学的な専門知識と技術が必要であることはいうまでもありません。「考古学調査士養成プログラム」はその社会的責務を明確にし、専門知識と技術を資格によって裏づけるという意義をもっております。現代社会においてそのようなニーズが高揚していることもまた疑いないところです。 埋蔵文化財に限らず、現代社会はあらゆる分野で今までの制度が破綻を来たし、制度の社会的信用が揺らぎ始めました。「安心・安全」のスローガンが社会のあらゆる領域で唱えられるのも、そのような時世を反映しているからでしょう。 早稲田大学の「考古調査士要請プログラム」が、斯学の発展と社会貢献に寄与するならば、大学人としてこれに勝る喜びはございません。社会と連携して社会貢献することはこれからの大学に求められることで、その意味は大変大きなものと考えます。 本プログラムが社会において大きな信頼を勝ち取り、ますます埋蔵文化財、ひいては考古学の世界において大きな進展をもたらすことを祈念いたします。 平成22年9月21日 浦野正樹 |